不眠の子守唄

海外文学などの書評や洋楽のレビューを書いているブログ。

読書-ロシア・東欧文学

ドストエフスキーの『罪と罰』は、「現代の予言書」なのか?【感想・考察】

2021年に生誕200年を迎えたドストエフスキーの作品は「現代の予言書」と言われる。誰が言い始めたのか厳密にはわからないが、たとえば新潮文庫版『カラマーゾフの兄弟』に寄せられた原卓也の解説には「この作品は今日でもなお、人類の未来に対する予言的なひ…

『アンナ・カレーニナ』あらすじ・感想ーなぜアンナは自殺しなくてはならなかったか

世界文学上に今なお燦然とその輝きを放ち続ける巨匠レフ・トルストイの作品『アンナ・カレーニナ』は、現代でも名前はおそらく多くの方が聞いたことがあると思う。 そしてこの物語が、主人公アンナ・カレーニナが、熱狂的な恋愛の末、鉄道自殺を遂げる……とい…

チェーホフ『ワーニャ伯父さん』あらすじ・感想ー絶望の中で生きるということ

先日、映画『ドライブ・マイ・カー』を観た。この映画の中で重要なモチーフとなっているのが、チェーホフの戯曲『ワーニャ伯父さん』であるが、この作品の内容が気になったので積読していたこの本を読んでみた。 今回は、『ドライブ・マイ・カー』で言及され…

【コミックと原書の違い】『戦争は女の顔をしていない』解説・感想

2015年にノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシェーヴィチの代表作であるノンフィクション『戦争は女の顔をしていない』は、岩波現代文庫からも出ているが、KADOKAWAからコミック版(作画・小梅けいと)も出ている。 ここでは、原書とコミック版…

ミラン・クンデラはデビュー作の『冗談』がおすすめな理由【あらすじ・感想】

ミラン・クンデラが2020年のフランツ・カフカ賞を受賞したらしい。フランツ・カフカ賞というのは、2006年に村上春樹が受賞したことで日本でもよく知られるようになった、チェコの文学賞である。 クンデラといえば、『存在の耐えられない軽さ』があまりに有名…

ロシア文学入門! 甘酸っぱいようで衝撃的な恋愛小説ーツルゲーネフ『はつ恋』【あらすじ・感想】

ロシア文学と言えばドストエフスキーとトルストイの二大巨頭があまりに有名だが、この二大巨頭の作品を読むのはあまりに骨が折れる。 ーーそんなイメージでロシア文学を敬遠している人も多いかもしれない。 だが、ドストエフスキー作品と対極に属すような、…

ナボコフ『ロリータ』にまつわる誤解―『ロリータ』【あらすじ・感想】

いわゆる「ロリコン」や「ロリキャラ」あるいは「ゴスロリ」「ロリータファッション」などの「ロリ」というのは、ロシア出身のアメリカの作家ウラジーミル・ナボコフの小説『ロリータ』に登場する少女ドロレス・ヘイズの愛称「ロリータ」に由来している。 「…

ミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』が不朽の名作である理由

私は寝る前に本を読むのだが、私の「寝る前に読む本」シリーズで最高に素晴らしかったのが、このミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』である。 正直、この本は恋愛小説としてはつまらないかもしれない。だから集英社文庫の帯にある「20世紀恋愛小説…