教養・新書
私は無神論者ではないが、それは死後の世界の存在を信じたいという意味におけるものであって、現世に神が介入することがあるとはないと考えている。そして、私たち人間が神の特別な被造物であるとも考えていない。 私がそう考える理由の一つは、私たち(ある…
◆この記事は◆各出版社から刊行されている「新書」について、8つのレーベルを取り上げてその特徴をご紹介します。 「新書」とは何か、ご存じでしょうか。 「新書」という言葉には「新しい書物」を指す場合もありますが、ここでいう「新書」とは「新書判」(約…
ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』という本がある。 最初この本を書店で見た時、「変なハウツー本が出てる......」と少し軽蔑した目で見てしまったのだが、一方で、この本に対しての興味を抑えられなかったのも事実であった。 …
最近読んだ新書の中で面白かったのが、青木健氏による講談社現代新書の『ペルシア帝国』である。 軽妙にして深遠、今年の世界史ジャンルの新書では今のところ一番面白いかもしれない。ということで、今回はこの本について紹介をしたい。 本書が描く対象 アケ…
新書を買いそろえるのが趣味なのだが、最近は忙しくあまり読めていない。 その中で、非常に読みやすく、かつ面白かったのが、ちくま新書から出た大塚英志監修/山本忠宏編『まんが訳 酒呑童子絵巻』である。 その名の通り、『酒吞童子絵巻(酒天童子絵巻)』…
私は現在、文系の大学院修士課程の学生であるが、なかなか厳しい道であることを自覚している。 そうというのも、一般に文系で修士・博士まで進んだ学生というものは、一部が大学教授の職を得られるほかは、社会的栄達と全く無縁の生涯を送ることになるからで…
家の本棚にある中公新書のバックナンバーを見ていたら、異様に番号が若い本がいくつかあった。 その一つが、この三田村泰助『宦官―側近政治の構造』ーー通し番号で7冊目の中公新書ーーである。(もう一つは宮崎市定『科挙―中国の試験地獄』(中公新書15)だ…
岩波新書には多少「お堅い」イメージがあるが、もちろん例外もある。 その最たる例が、手塚治虫『ぼくのマンガ人生』だろう。 この本は、日本を代表する漫画家・手塚治虫の講演をまとめた本であり、最後の30ページほどはマンガであることもあって非常に読み…
最近、各書店の新書売り上げランキングなどで、池上俊一『動物裁判 西欧中世・正義のコスモス』(講談社現代新書)という本が上位にランクインしていることが多い。 この本は30年も前の本なのであるが、どうやら、ラジオ番組をきっかけにある書店が売り出し…
フランス文学の一番楽しく読める入門書は?ーーと聞かれたら、この鹿島茂『悪女入門』(講談社現代新書)を薦める。 この『悪女入門』という本、その名の通り男を誘惑し破滅させる「悪女」(ファム・ファタル)になるためのハウツー本なのであるが、そのテキ…
私は大学院生である。それも、世にも珍しい文系大学院生である。 文系大学院生になってから、いつになったら定職に就けるのか不安で不安で仕方がない。ならば大学院など行かなければ良いではないかといわれそうだが、そういわれるとしんどい。 大学院生は大…
このブログのコンテンツの一つに、「美術館・展覧会」を掲げている。 だが、ブログの記事を書くようになってから、新型コロナウイルスの影響で全く美術館に行けなくなってしまった。というわけで、美術館に行けずフラストレーションがたまっていると同時に、…
荒木飛呂彦『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』を読んだ。著者はご存知の通り、「ジョジョの奇妙な冒険」の作者である。 この本は、「ホラー映画の入門書」「おすすめのホラー映画の載ったハンドブック」としても面白いし、また、荒木飛呂彦先生がどのような…
貴方はチョコレートが好きですか? 好きならば、なぜ好きなのですか? どのようなチョコレートが好きなのですか? もしかすると、この上野聡「チョコレートはなぜ美味しいのか」は、この問いに対して科学的な答えを与えてくれるかもしれない。チョコレートを…
新書はよく読む方である。まず大きさがいい。本棚にすっぽり収まる。 というわけで新書はよく買うのだが、ここで新書の主要なレーベルの「デザイン」について独断と偏見で評論してみたいと思う。 岩波新書 NHK出版新書 角川新書 講談社現代新書 光文社新書 …
昨年の新書の中で一番売れたという、「ケーキの切れない非行少年たち」。はじめて読んだのはずいぶん前だが、ここに感想を記す。
昨日、相模原障害者殺傷事件の植松被告に死刑判決が下った。 色々思うところがあったのだが、しっかりとこの事件についての論評を読むことも大切なのではないかと考え、今更ながら「現代思想 2016年10月号 緊急特集 相模原障害者殺傷事件」を読んだ。ここで…
3月8日は「国際女性デー」である。 実はこの「国際女性デー」は、東欧の国々には交際「女性の権利向上のための記念日」以上の存在感を持っている。それは、1917年の国際女性デーにペトログラード(現サンクトペテルブルク)で起きたデモがきっかけとなり、「…
新書大賞2020も受賞した、大木毅「独ソ戦」(岩波新書)を読んだ。 なるほど新書大賞を受賞するだけのことはあり、面白かった。この本を読んで、考えたことについて記していきたい。 著者について なぜ「新書大賞」をとれたのか? 「世界観戦争」と「収奪戦…
世界の神話は、不思議と似たような関係を持っているものがあるということは、よく知られた事実だろう。 古代メソポタミア時代に成立した人間最古の物語の一つ、ギルガメシュ叙事詩には「大洪水」が描かれており、これの話は、旧約聖書「創世記」中の「ノアの…
大木毅「『砂漠の狐』ロンメル」を読んだので、感想を記そうと思う。 結論から言えば、非常に面白い本であったと思っている。 本書の概要ーロンメルとは何者か 物語としての面白さ 「面白すぎる」新書
三田一郎『科学者はなぜ神を信じるのか コペルニクスからホーキングまで』(講談社ブルーバックス)を読んだので感想を記す。 「科学者はなぜ神を信じるのか」概要 キリスト教信仰のもとに成り立った近代科学 現代の科学者と「神」の関係 「弁神論」としての…
小林道彦『近代日本と軍部 1868-1945』という本が発刊された。さっそく読んだので、感想を記そうと思う。 近代日本と軍部 1868-1945 (講談社現代新書) 作者:小林 道彦 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2020/02/13 メディア: 新書 この本について 「近代日本…
展覧会によく行く人は、きっと次のように思うときがあるだろう。 「展覧会に行きそびれた!」とか、「あの展覧会で展示されていた作品を思い出したい!」 とか、あるいは「もう一度あの展覧会を体験したい!」という感情である。 そんな時に展覧会の図録があ…