- 2025年8月18日
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アゴタ・クリストフ『悪童日記』という圧倒的な傑作文学【書評・解説】
読み終わった後に茫然自失になるほどの衝撃を受ける文学を読みたいのであれば、アゴタ・クリストフの代表作『悪童日記』をおすすめしたい。 アゴタ・クリストフは、1935年にハンガリーで生まれ、子どもの頃に第二次世界大戦を体験する。その後1956年、クリストフが21歳の時にハンガリー動乱が起き、オーストリア […]
読み終わった後に茫然自失になるほどの衝撃を受ける文学を読みたいのであれば、アゴタ・クリストフの代表作『悪童日記』をおすすめしたい。 アゴタ・クリストフは、1935年にハンガリーで生まれ、子どもの頃に第二次世界大戦を体験する。その後1956年、クリストフが21歳の時にハンガリー動乱が起き、オーストリア […]
2025年上半期は、芥川賞も直木賞も受賞作がないという、およそ28年ぶりの珍事が起きて話題になった。 いったいどんな議論の末に受賞作が決まったのか(あるいは今回のように受賞作なしに決まったのか)。その議論の様子や議事録は公開されないが、実はどのような議論があったのかは、選評を読むことで窺い知ることが […]
ジョージ・オーウェルの『1984』といえば、現代の監視社会などを予言した小説として有名である。 私は5年前に、このブログで『1984』について書いたことがある。その時、私がオーウェルが『1984』の中で提示した概念の中で、最も現代性があると感じたのが「二重思考」や「ニュースピーク」という概念だった。 […]
このブログでは読んだ本の感想を気ままに書いているが、これまでに記事を書いたアメリカ文学もそれなりの数になってきたので、このページでまとめて紹介したい。 海外文学には、それぞれその国の特徴があるわけであるが、アメリカ文学にも特徴がある。 これまで読んできたアメリカ文学の特徴を簡潔にまとめると、以下のよ […]
日本の軍人を描いた戦争小説の中で最も有名な作品は何かという問いの一つの答えは、大岡昇平の『野火』であろう。 『野火』は、作者のフィリピンでの戦争体験をもとにした小説であり、作者自身の戦場での体験が色濃く反映されている。 作品自体はフィクションだが、日本軍とフィリピンの住民との関係、軍人の持つ二面性、 […]
2025年という、戦後80年という節目の年を迎えた。私は戦時下の記憶を持つ祖父母に接して育ち(祖父母も当時はほんの子どもだったのだが)、戦時下の体験というものを、ある程度身近に感じて育ってきた。しかし、私より下の世代にとって、戦争はもっと遠い存在なのだと思う。 思えば私が子どもの頃は、(ほぼ会話を交 […]
仕事をしたくない! ということで、仕事をしない奇人を描いた短編小説を紹介したい。 ハーマン・メルヴィルが1853年に発表した短編小説『書記バートルビー』(Bartleby)である。170年も前の、わずか100ページの作品でありながら、いまもなお多くの批評家に言及される小説である。そして、いま読んでも […]
短編小説の名手として知られるノーベル文学賞作家、ホルヘ・ルイス・ボルヘスが「およそ文学における最高傑作のひとつと言っても過言ではない」と評価した短編小説が、19世紀アメリカの作家ナサニエル・ホーソーンの「ウェイクフィールド」という短編である。 (正確には「ホーソーンの短編のうちの最高傑作であり、およ […]
特に条件もなく、アメリカ文学のおすすめ作家を誰か一人挙げてほしいと聞かれたら、結局エドガー・アラン・ポーの名前を挙げるかもしれない。 エドガー・アラン・ポー(1809-1849)は、1776年のアメリカ建国以後、アメリカで文筆によって生計を立てようとした最初期の作家の一人である。ポーの名前を挙げる理 […]
いま私たちは、SNSのアルゴリズムが世論を動かし、選挙がゲームと化した時代を生きている。 「民主主義は最悪の政治形態である、ただしこれまでに試みられてきた他の全ての政治形態を除いては(It has been said that democracy is the worst form of gover […]