• 2024年4月3日
  • 2024年4月3日

『神のみぞ知るセカイ』は最終回が最も素晴らしいマンガの一つである

私は幼少期よりジャンプよりサンデーが好きだった。サンデーの方が、ジャンプよりも良くも悪くも「ゆるさ」があったのだと思う。 そんなサンデーの中で私にとって思い出深いマンガの一つがが、若木民喜先生の『神のみぞ知るセカイ』という漫画である。   私は、このマンガはラブコメディのあらゆる要素を含んだ素晴らしい作品であ […]

  • 2024年3月31日
  • 2024年3月31日

人々が本を読まなくなった時代に『華氏451度』を読む【あらすじ・感想】

東京都・清瀬市で3月28日、市立図書館6館のうち4館を廃止することなどを盛り込んだ条例改定案が可決されたというニュースを見た。 私は清瀬市民ではないし、人口減少社会で図書館の数も減っていくことには一定の理解はするが、しかし図書館が減るということは悲しいことだと思う。 大袈裟な飛躍かもしれないが、図書館の廃止のニュースを […]

  • 2024年3月31日

岩尾俊兵『世界は経営でできている』(講談社現代新書)について語りたい【書評・感想】

岩尾俊兵『世界は経営でできている』(講談社現代新書)という本の感想などを最近よくSNSで見る。 それで私も気になったので読んでみたが、『世界は経営でできている』という本は、「感想を書きたくなる新書」だということである。なるほど、だからSNS上にはここまでたくさんのこの本の感想が書かれているわけか……と納得した。 そのよ […]

  • 2024年3月13日
  • 2024年3月13日

映画も素晴らしい大人向けの寓話『シチリアを征服したクマ王国の物語』(ディーノ・ブッツァーティ)【あらすじ・感想】

たびたびこのブログで紹介してきた作家にディーノ・ブッツァーティというイタリアの作家がいる。 私がこのブッツァーティという作家が好きな大きな理由は、この作家の描く不条理が好きだからである。どこかホラーのような、しかし人間社会の不条理のようなものをついている『神を見た犬』や『現代の地獄への旅』といった短編集は非常に面白いし […]

  • 2023年7月3日
  • 2024年3月19日

『ダロウェイ夫人』【あらすじ・感想】ーヴァージニア・ウルフが命を賭けた小説

ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』 は、ちょうど今から100年前を舞台にした小説である。 この小説は、近代文学を代表する作品であるジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』同様、ある一日を「意識の流れ」と呼ばれる手法で描いた小説である。ちなみに『ダロウェイ夫人』の舞台は1923年6月13日で、ぴったり100年を迎えた時 […]

  • 2023年6月18日
  • 2023年7月2日

知の巨人・エーコの遺作『ヌメロ・ゼロ』―衰退してゆく国家への視線【あらすじ・感想】

ベルルスコーニが死んだ。ベルルスコーニといえば、実業家として特にテレビ局などのメディアを掌中に収めた「メディア王」であり、汚職や脱税など数多くの不正疑惑で捜査を受けつつも、合計9年以上イタリアの首相の座にあった人間である。アメリカのトランプもベルルスコーニに重ね合わせられることも多かったが、そういう人間である。こういう […]

  • 2023年5月1日
  • 2024年4月1日

三島由紀夫のライトノベル&クマ小説『夏子の冒険』あらすじ・感想

「なにか日本の小説を読みたいんだけど、何を読めばいい?」 ――というようなことを聞かれると、「とりあえず三島由紀夫を読めばいいんじゃない?」 と、やや投げやりとも捉えられがちな答えをしてしまうが、しかしこれは私の本心である。 とはいえ、私も三島由紀夫の作品をすべて読んだことがあるわけではないのだが(なざなら、三島作品を […]

  • 2023年4月18日
  • 2024年4月3日

手塚治虫のエログロ問題作『奇子』【書評・感想】ー敗戦国と人間の業の深さ

手塚治虫の作品の中でも、最も悪名高い(?)問題作の一つは、『奇子』(あやこ)だろう。 悪名高い、問題作という言葉について誤解のないように書いておくと、この作品は、手塚治虫作品の中で劣っているなどということではない。最高傑作とは言えないとしても、手塚治虫が描いた成人向け漫画の中で屈指の名作の部類であるのは間違いない。 こ […]

  • 2022年8月8日
  • 2023年7月4日

『死の家の記録』【書評・感想】ードストエフスキーが描くシベリア監獄のリアル

あまりにも有名だが、ドストエフスキーは、かつて死刑囚であった。 若き日のドストエフスキーは、ペトラシェフスキーの主宰する社会主義サークルに所属し、皇帝(ツァーリ)の統治下にあって、社会の変革を目論んだために官憲に逮捕された。ペトラシェフスキーはじめ、ドストエフスキーらサークル員は死刑判決を受けたが、銃殺直前になって皇帝 […]

  • 2022年5月18日
  • 2022年10月19日

アチェベ『崩れゆく絆』が絶対に読んでほしい海外文学である理由【あらすじ・感想】

海外文学や古典的作品の醍醐味は、その物語の舞台が私たちの日常とは異なる「異世界」でありながら、そうした世界は現実に存在していた、あるいはしているというところにある。 個人の好みではあるが、私はそうした「まったく知らないけれど、現実に存在していた世界」との邂逅が好きである。 こうした海外文学を読む喜びを感じさせてくれた一 […]