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近現代日本文学

  • 2023年5月1日
  • 2024年4月1日

三島由紀夫のライトノベル&クマ小説『夏子の冒険』あらすじ・感想

「なにか日本の小説を読みたいんだけど、何を読めばいい?」 ――というようなことを聞かれると、「とりあえず三島由紀夫を読めばいいんじゃない?」 と、やや投げやりとも捉えられがちな答えをしてしまうが、しかしこれは私の本心である。 とはいえ、私も三島由紀夫の作品をすべて読んだことがあるわけではないのだが(なざなら、三島作品を […]

  • 2022年1月29日
  • 2022年10月19日

安部公房『壁-S・カルマ氏の犯罪』あらすじ・感想ー「名前」を失った人間の話

安部公房は、日本で最もノーベル文学賞に近かった作家の一人であると言われる。 それは安部公房が海外で高く評価されていたからであるが、現代の私が読んでみても、安部公房の作品は「海外文学的」である。もちろん安部公房の作品が生まれた土壌には渺茫とした満洲での経験や敗戦後の日本での体験があるはずだが、安部公房はそれを描くための手 […]

  • 2021年11月12日
  • 2022年10月19日

『燃えよ剣』の土方歳三像の考察【司馬遼太郎の原作小説&原田眞人監督の映画との違い】

司馬遼太郎の小説を原田眞人監督が映画化した映画『燃えよ剣』を観た。その後司馬遼太郎の原作『燃えよ剣』も読んだ。 まず、映画を観た感想としては、殺陣が見事である。 主演の岡田准一のアクションへのこだわりと、原田監督の「時代劇という伝統を絶やさない」という矜持を感じる。非常に見ごたえがある映画であった。映画を観終わって、こ […]

  • 2021年11月8日
  • 2022年10月19日

小川洋子『博士の愛した数式』は最高の野球小説でもある【書評・感想】

プロ野球の日本ハムに、来季から新庄剛志が監督として就任することが決まった。 新庄剛志というと、メジャーリーグからの復帰先に日本ハムを選び、野球の実力もさることながら、華やかなパフォーマンスで注目を集めた選手である。エンターテイナーとして随一の才能を持っており、最近も現役復帰を目指して話題を呼んだ。 私も、日本ハム時代の […]

  • 2021年10月19日
  • 2022年10月17日

映画『ドライブ・マイ・カー』と、村上春樹の原作との違いと【感想】

映画『ドライブ・マイ・カー』を観たので、今更ながら感想を書こうと思う。 この映画は、村上春樹の短編集『女のいない男たち』に所収されている短編「ドライブ・マイ・カー」を原作とする、濱口竜介監督による映画である。カンヌ国際映画祭で脚本賞も受賞した。 上映時間が180分近い大作なのだが、まったく飽きることのない映画であった。 […]

  • 2021年10月11日
  • 2022年10月17日

井伏鱒二『黒い雨』あらすじ・感想ー原爆の不条理さに翻弄される庶民

最近(2021年)「黒い雨訴訟」が話題となった。 「黒い雨」というのは、原爆投下後に降り注いだ、原爆投下時に生じた煤や放射性物質を含んだ、言葉通り黒色をした雨のことである。 つまり、原子爆弾によって直接被爆しなかった場合であっても、放射性物質を含む「黒い雨」を浴びてしまった人は、放射性物質に被曝し、健康被害が出ていたの […]

  • 2021年10月7日
  • 2022年10月18日

文庫1冊以内! おすすめの日本文学の名作10選

このブログでは海外文学ばかり取り上げてきたが、日本文学も好きである。 以前海外文学のおすすめ10選を取り上げたので、せっかくなので対になるように日本文学のおすすめもしてみようと思う。 海外文学には、その地域特有の文学の魅力がある。しかし、日本文学も当然「日本の文学」であり、特有の魅力があるのである。 ここではおすすめの […]

  • 2021年1月29日
  • 2023年4月5日

宇佐美りん『推し、燃ゆ』は、若者だけの話ではない【感想・考察】

第164回芥川賞に輝いた『推し、燃ゆ』(おし、もゆ)を読んだ。 結論から言うと、主人公にあまり共感は出来なかった。だが、主人公に共感できないというのは、小説が面白くないということではない。小説としては「推し」という現代的なテーマを純文学で描いたという点で画期的で、非常に面白かった。 この作品が注目され、芥川賞にも選ばれ […]

  • 2020年11月8日
  • 2023年4月6日

日本ゲイ小説の金字塔―三島由紀夫『禁色』【あらすじ・感想】

今月25日で三島由紀夫の没後50年である。 三島由紀夫といえば「同性愛」のイメージがつきまとうが、その中でも『禁色』(きんじき)という作品は、同性愛をテーマにしながらエンターテイメント的にも非常に面白い作品である。 同性愛をテーマにした小説で、この作品ほどスリリングで、また考えさせられる作品を、私はまだ知らない。 『禁 […]

  • 2020年10月26日
  • 2023年4月8日

星新一の作品を大人にこそおすすめしたい理由【ショートショートの神様】

私の中学時代の読書体験の80%は星新一で出来ていると言ってよい。 しかし、中学から高校に入ると、私は星新一を「卒業」してしまった。 それは、一つには星新一作品をほぼ読みつくしたからであるが、もう一つには高校生になって星新一を読んでいるのはダサいんじゃないかという思いがあった。 だが、私は今では、星新一を読むことは幼稚だ […]