- 2022年1月29日
- 2022年10月19日
安部公房『壁-S・カルマ氏の犯罪』あらすじ・感想ー「名前」を失った人間の話
安部公房は、日本で最もノーベル文学賞に近かった作家の一人であると言われる。 それは安部公房が海外で高く評価されていたからであるが、現代の私が読んでみても、安部公房の作品は「海外文学的」である。もちろん安部公房の作品が生まれた土壌には渺茫とした満洲での経験や敗戦後の日本での体験があるはずだが、安部公房はそれを描くための手 […]
安部公房は、日本で最もノーベル文学賞に近かった作家の一人であると言われる。 それは安部公房が海外で高く評価されていたからであるが、現代の私が読んでみても、安部公房の作品は「海外文学的」である。もちろん安部公房の作品が生まれた土壌には渺茫とした満洲での経験や敗戦後の日本での体験があるはずだが、安部公房はそれを描くための手 […]
20世紀のイタリアの作家ディーノ・ブッツァーティは、代表作の長編『タタール人の砂漠』も有名だが、多くの優れた短編を残した小説家としても知られている。 ブッツァーティの短編は非常に面白いが、星新一のショートショートのように奇抜な設定やオチの秀逸さを楽しめるものでも、オー・ヘンリーの短編のように心温まるラストを楽しめるもの […]
人生とは、有限で、老いとともに色々な可能性を失っていくもので、短く、たいていの人は何かを成し遂げることさえできずに終幕を迎えるものである。 そのようなことをテーマにした世界文学の名作として、イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティの『タタール人の砂漠』という作品がある。 ディーノ・ブッツァーティは「イタリアのカフカ」と呼 […]