- 2020年4月12日
レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』感想ー「ハードボイルド小説」を確立した名作
ハードボイルド小説とは何か? この問いに最も的確に答えてくれる作品は、レイモンド・チャンドラー『ロン……

海外文学の良いところは、他国の歴史や文化を感じることができるところだ。日本の文学も好きだけれど、それぞれ違った良さがある。
海外文学を読んでいるうちに、主要な海外文学を死ぬまでに読んでみたいという気持ちになってきた。だが、「海外文学はどんな本を読んだらいいだろうか?」と悩む方は多いのではないだろうか。
そんな中、新潮社『考える人』2008年の春号に掲載された「海外の長編小説ベスト100」が、読書の道しるべとして有用そうだったのでここにまとめ、読んだものについては感想を付した。
なお、このランキングには(主に長すぎるという理由で)必ずしも万人受けするわけではない作品も多く含まれている。そのため、「海外文学を初めて読む参考にしたい」という方は、こちらの「地域別・文庫一冊以内」の海外文学おすすめ記事を見ていただきたい。また。本ブログでは「海外文学おすすめ診断」も公開中。
この記事で読了したものについては独断と偏見で「読みやすさ」と「面白さ」のコメントを付したが、あくまで個人的感想であり、またランキング内での相対評価であることはご了承いただきたい。
(読了・記事投稿次第随時更新)
*一覧は記事のいちばん最後にあります。
コメント:海外文学マニア必読!ラテンアメリカの雰囲気に陶酔しよう(読みやすさC/面白さB)
このランキングの1位は『百年の孤独』。作者はガブリエル=ガルシア・マルケス(1982年ノーベル文学賞受賞)。
過去にこの小説についてはこのブログでも紹介したことがあるが、「マコンド」という架空の町の建設から滅亡までの記録で、まるで神話のような現実と幻想が入り混じった語り(いわゆるマジックリアリズム)が特徴。かなり分厚い本で、ところどころ難解すぎるので、私は読み切るのに2か月近くかかった。だが、南米の独特な語りのリズムはまさに「海外文学を読んでいる!!」という気持ちになる。
この本は長年文庫化されてこなかったことでも有名で、この記事を投稿した時には全く文庫化される気配がなかったのだが、2025年にとうとう文庫化されて大きな話題になった。
ただ、ガルシア=マルケスの面白さを最初に味わうには、150ページほどの中編で非常に緻密な技巧が凝らされた小説である『予告された殺人の記録』(83位・後述)もおすすめ。
第2位は『失われた時を求めて』。
第一篇のみ読了。このランキングの中で一番長い作品の一つだが、話自体はある程度独立している。なので気負わずに、少しずつ読んでいっていい作品だと思う……と思いつつ第二篇以降をまだ読んでいない。
第一篇第一部第一章のラストの場面で、紅茶に浸したプチ・マドレーヌを味わった瞬間に過去を思い出すシーンは有名。まさに「死ぬまでに読みたい小説」である。
未読(上巻の半分くらいは読んだ)。
3位は言わずと知れたドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』。サマセット・モーム『世界の十大小説』の一つにも選ばれている、非常に評価の高い作品。なお、モームの『世界十大小説』はすべてランクインしている。
コメント:戦国時代の小説なのに今も読み継がれるのは理由がある(読みやすさA/面白さA ※長いところを除けば)
4位はセルバンテスの『ドン・キホーテ』。
この物語のタイトルを知らない人はほぼいないと思うが、どのような物語なのかというと、騎士道物語の読みすぎで自分が騎士だと思い込んで旅に出た中年の主人公によるドタバタ劇である。
作者のセルバンテスは1547生まれ、1616没(徳川家康と同じ没年)で、『ドン・キホーテ』という小説も古い滑稽本ではあるが、本作で描かれた現実世界と空想の世界の混乱はポストモダン文学にも通じるところがあり、そして驚くのは極めて現代的な思想を持った登場人物も登場するところである(これについてはこのブログでも記事にしている)。文庫で全6巻を読むのは大変だろうが、電子1巻だけでも読んでみてほしい。
コメント:くせになるつまらなさ!(読みやすさC/面白さC)
5位はカフカの『城』。カフカはトップ10に2作ランクインしている。
主人公がたらいまわしにされる物語。
このブログの感想記事でも紹介したことがあるが、娯楽作品を求めるなら平坦すぎて正直つまらない小説である。だが、色々な解釈が可能で多くの批評を生んできた作品で、色々と考えさせるところはある。そして、つまらない小説ではあるのだが、そのつまらなさがシュールというか……。カフカは代表作『変身』(主人公ザムザが虫に変身する小説)をギャグ小説として書いていたという説があるが、『城』を読んでいてもそうかもしれないと思わせる。万人におすすめというわけではないが、興味を持った方はぜひ読んでみてほしい。
コメント:普通に面白いから読んでほしい!(読みやすさB/面白さA)
このランキング2度目のドストエフスキーは、言わずと知れた名作『罪と罰』。名前は知ってるけど、読むのは疲れそうだなあ……と思っている人が多いと思うが、実はかなり面白い。野心のある主人公が高齢者の財産を狙って罪を犯すという構図は、全くもって現代と同じである。このブログでも以前紹介したことがあるが、それゆえにこの小説は「現代の予言書」と呼ばれることもある。
そして『罪と罰』は、推理小説としての面白さも持っている。犯人の主人公・ラスコーリニコフ追い詰められていくところは、刑事コロンボにも影響を与えている。もちろん娯楽小説ではないし重厚な小説だが、非常に面白い読書体験ができることは保証できる。難しそうだと敬遠していた人にはぜひ一度読んでみることをおすすめしたい。
アメリカ文学の創成期の記念碑的作品だが、当時の捕鯨についての雑学がやたらと長かったりして、決して読みやすい作品ではない(作者メルヴィルの捕鯨船への乗船体験が基になっている)。だが、アメリカ文学の礎を築いた小説として今も読み継がれている。
余談だが、スターバックスの店名は『白鯨』の登場人物の名前に由来する。こういう雑学的な気づきを得られるのは、海外文学を読む醍醐味だろう。サマセット・モーム『世界の十大小説』の一つ。
コメント:長いことを除けば面白い!小説の神髄が味わえる(読みやすさA/展開の面白さB)
読了。
8位はトルストイの『アンナ・カレーニナ』。意外と読みやすいが……めちゃくちゃ長い。長いのは、主人公アンナ以外の物語も多く描かれているから。半分以上アンナは出てこないし。だが、このブログでも紹介したことがあるが、やはりこの小説は恋愛小説・不倫小説の傑作である。丹念な人物描写や群像劇は小説として見事というほかなく、小説というものを愛する人にはぜひ一度読んでみてほしい作品である。
ところでロシア文学の代表的作家と言えば、一般的にはトルストイとドストエフスキーが双璧とされるだろうが、2人の作風はかなり異なっている。大土地を所有する貴族の家に生まれたトルストイが壮大な愛や死、歴史を繊細な文学描写で描いたのに対し、下級貴族の家に生まれ一時は革命に身を投じ死刑判決も受けた(死刑直前に恩赦された)ドストエフスキーが人間の狂気や善悪を描いたのは対称的である。さらにドストエフスキーは小説を口述筆記させていたこともあり、描写や文章が繊細というよりはプロットと哲学の面白さに比重が置かれている。
文学的技巧が凝らされた傑作『ロリータ』を書いたナボコフが、『ナボコフのロシア文学講義』などでもトルストイを高く評価し、ドストエフスキーは評価しなかったのは納得できる。トルストイとドストエフスキーを初めて読むという方は、以上の特徴を念頭に置いて書店に足を運んでみてほしい。
9位は『審判』。
カフカはトップ10に2作ランクイン。『審判』は全く読んでいないので解説できない。
10位は『悪霊』。このランキング3度目のドストエフスキー。2冊続けてだが『悪霊』も読んでいないのでコメントできない。
コメント:前半で投げ出さず読むべし!(読みやすさB/面白さA)
読了。
女性作家の中での第一位は『嵐が丘』となった。作者エミリー・ブロンテは、ブロンテ姉妹の三女。小説はこの作品のみを残し30歳で夭逝した。
荒涼とした大地を舞台に、孤児ヒースクリフの狂おしい愛と苛烈な復讐を描いた小説。1847年の出版当初は、構成や時系列の複雑さなどから酷評されたというが、現代ではその小説技法が高く評価されている。そしてこの小説で描かれた愛と復讐は、現代でも多くの読者に深い衝撃を与えている。サマセット・モーム『世界の十大小説』の一つ。
私は昔一度読んで挫折したままになっている(登場人物が多すぎる……)。トルストイを読むならその前に先述の『アンナ・カレーニナ』を読むのがいいと思う。読みやすいし、『戦争と平和』に比べれば短いので。こちらもサマセット・モーム『世界の十大小説』の一つで、モームは最も偉大な小説と評している。
コメント:先入観に囚われず読むべし!(読みやすさA/面白さA)
13位はナボコフの『ロリータ』。
言うまでもなく「ロリコン」「ロリータ・コンプレックス」の語源となったという意味でも非常に有名な小説であるが、このブログでも過去に紹介した通り小説としての面白さや凝らされた技巧の実力は圧倒的である。いわゆる「ロリータ」の語源って何なんだ? という気持ちで読んでみるのも良いし、また今まで敬遠していた読書家にもぜひ読んでみてもらいたい本である。巧みに伏線が張り巡らされていて、推理小説としても面白い。そして作者ナボコフはロシア出身にもかかわらず、ロシア革命で亡命したのち(ナボコフの父は立憲民主党(カデット)の幹部だった)、母語でない英語でこの言葉遊びが多用された小説を書いたという点にも驚嘆させられる。先入観を排してぜひ読んでみてほしい作品。
20世紀前半のモダニズム文学におけるもっとも重要な作品の一つと評される長編だが、非常に難解。こちらも死ぬまでに読みたい小説である。
私も長いこと積読している(単行本1巻目の3分の1くらいをよんで放置)。『ユリシーズ』を読む前に、とりあえずジョイスの『若い藝術家の肖像』(このランキングでは90位)を読んでおいた方がいいかもしれない。
『若い藝術家の肖像』は、『ユリシーズ』の主人公の一人の幼年~青年時代を描いているので、読んでおくと『ユリシーズ』を読むときに役立つ。
15位はスタンダール『赤と黒』。サマセット・モーム『世界の十大小説』の一つでもある。
19世紀フランス文学の代表作。製材屋の息子で身分が低いが野心と美貌にあふれた若者ジュリアン・ソレルが、自らの美貌や知識を駆使して成り上がろうとする物語。一般的にタイトルの「赤と黒」は、軍服(赤)と聖職者の法衣(黒)、すなわち下級階層から成り上がるための2つの道を表しているとされる。
またこの小説の副題は「1830年代史」であり、19世紀フランスの社会とはこんな感じだったのか、ということを知るのが楽しいと思える方にはおすすめしたい小説。
ちなみに余談だがスタンダールは『恋愛論』という本も書いていて、恋愛について考察した古典としてなかなか面白い(ということをこのブログで過去に紹介している)。
16位はトーマス・マン『魔の山』。堀辰雄の『風立ちぬ』同様、サナトリウム(結核療養所)を舞台とした小説。「ドイツ文学は長大で重厚すぎる」というイメージの原因となっている小説の一つ。もちろんいつか読んでみたいが、個人的にはやや苦手意識がある小説の一つである……。
コメント:これを読んで海外文学の適性を測るべし!(読みやすさA/面白さA)
17位はカミュの『異邦人』。カミュはアルジェリア出身のフランスの小説家で、1957年にはノーベル文学賞を受賞している。
「今日、ママンが死んだ」という書き出しと、主人公・ムルソーが法廷で述べた「太陽が眩しかったから」という台詞が圧倒的に有名な本作は、私たちの常識に疑問を投げかけるような内容で一般的に不条理文学と呼ばれる。だが、このブログでも過去に紹介したことがあるが、ムルソーは本当に狂人なのか?という問いを立てるのも面白い。
おそらくランキングの中で一番短い作品の一つ。最初に読む本として、ぜひお薦めしたい。『異邦人』が全く面白くなかったら、他の海外文学作品を読むのは厳しいかもしれない……。
18位は『白痴』。このランキング4度目のドストエフスキーである。『白痴』も未読了なので作品についてはコメントできないが、一般的にドストエフスキーについては『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』が「四大長編」と呼ばれている。さらに『未成年』を加えて「五大長編」と呼ばれることもある。
だが、個人的には『罪と罰』(割と読みやすく有名)以外にドストエフスキーを読むとしたら、まずは『死の家の記録』(91位)をおすすめしたい。というのも、『死の家の記録』はドストエフスキーが自身の流刑体験をもとに書いた半ノンフィクション的な小説で、ドストエフスキーの小説家としての原体験が記された小説だからである。
ミュージカルなら観たことがあるが…… 原作はなかなか長くて読めていない。ヴィクトル・ユーゴーによって1862年に出版された、ユーゴーの代表作。
『トム・ソーヤの冒険』の続編。トム・ソーヤーの冒険の主人公はトム・ソーヤーで、町の飲んだくれの息子で学校にも通わないアウトサイダー的なハックルベリー・フィン(ハック)と行動をともにする筋書きだが、本作はそのハックを主人公とした小説。『トム・ソーヤの冒険』の続編。トム・ソーヤーの冒険の主人公はトム・ソーヤーで、町の飲んだくれの息子で学校にも通わないアウトサイダー的なハックルベリー・フィン(ハック)と行動をともにする筋書きだが、本作はそのハックを主人公とした小説。
『トム・ソーヤーの冒険』よりも、黒人差別問題への批判的なまなざしなどが多く、文学的評価は『ハックルベリー・フィンの冒険』の方が一般的に高い。だが、もちろん先に読むのは『トム・ソーヤーの冒険』のほうがおすすめである。
コメント:ノンフィクション好きなら絶対読むべし!(読みやすさA/面白さA)
21位はトルーマン・カポーティの『冷血』。カポーティというと『ティファニーで朝食を』など現実離れした物語に定評があるが、うってかわって『冷血』は実在の殺人事件を描いたノンフィクション・ノベル。
過去にこのブログでも『冷血』については紹介したことがあるが、犯罪の捜査や殺人犯の生い立ちや心理に迫ったノンフィクションの名著であるとともに、カポーティによる巧みな描写や構成によって小説としての価値も非常に高い。ノンフィクションが好きな人にお薦めしたい作品第一位。訳が新しいのも良い。
22位は『嘔吐』。
言わずと知れた、ノーベル文学賞を辞退したことでも有名な哲学者サルトルを代表する小説。1938年に、サルトルが自身の哲学を平易に解説するための手段として書かれた。一般的に邦題は『嘔吐』だが作中で主人公が嘔吐することはなく、原題の直訳としては「吐き気」が正しい。その「吐き気」の正体とは……サルトルの哲学に興味のある方はぜひ読んでほしい。
23位はフロベール『ボヴァリー夫人』。これもサマセット・モーム『世界の十大小説』の一つ。
19世紀フランス文学の傑作と称される。医者シャルル・ボヴァリーが再婚した農家の娘・エマが主人公。
19世紀のフランス文学はその多くが不倫や野心がテーマになっていて、変わり映えがしない面があるのだが、一般的にフローベールは徹底して「文体」にこだわった小説家と言われる。私はフランス語は解さないのでわかりかねる部分もあるが、19世紀のフランス文学を初めて読むという場合は、その表現や訳などの文体が気に入ったものを読むのもいいかもしれない。
コメント:厭世観を持っている人間必読の書(読みやすさB/面白さB)
24位はルイ=フェルディナン・セリーヌ『夜の果てへの旅』。
この小説は、東京大学出版会の『教養のためのブックガイド』という本では「読んではいけない」本に指定されている。本書についてはこのブログで紹介したことがあるが、この本は作者セリーヌが第一次世界大戦前後の社会に対して怨嗟の言葉を投げ続ける、一種「すべてを否定する呪いの小説」ともいえるような小説だからである。もともと中公文庫で出ていたが、2024年に新装版が新たに刊行された。
ちなみにセリーヌはこの本で時代の寵児となったが、第二次世界大戦前・戦中に反ユダヤ主義的言説を行ったこと戦後亡命することにもなった曰く付きの作家である。興味を持った方は一度読んでみてほしい。
25位はジョン・アーヴィングの『ガープの世界』。1978年に発表されたこの作品は、一躍アーヴィングを大作家に押し上げた。存命作家の作品では『ガープの世界』が1位。
アーヴィングは村上春樹が『熊を放つ』(アーヴィングのデビュー作)を翻訳するなど、村上春樹も愛読している作家として知られている。アーヴィング自身は「物語の復権」を掲げた小説家で、小説技法ばかりを重視したようなポストモダン文学を痛烈に批判し、いかに面白い物語を書くかを重視した。『ガープの世界』は数奇な出生をした主人公T.S.ガープの一生を描く物語。読了するのにはかなりカロリーがいる作品だが(私は未読了)、間違いなく物語というものの面白さを体験できる作品である。
コメント:20世紀アメリカの代表的名作(読みやすさA/面白さA)
こちらも村上春樹も大好きなことで知られる『グレート・ギャツビー』。レオナルド・ディカプリオ主演などで何度も映画化されており、名前を知っている人は多いだろう。
1925年に出版され、戦間期アメリカの黄金時代と頽廃を描いた小説で、しばしば20世紀最高の英語で書かれた小説の一つと評される。
コメント:ソ連時代のモスクワを舞台に、悪魔や喋るネコも登場する幻想文学(読みやすさA/面白さA)
27位は『巨匠とマルガリータ』。
このランキングではドストエフスキー、トルストイ以外のロシア文学だと最上位だが、ドストエフスキーやトルストイの小説と比べて(時代の違いもあるが)ブルガーコフの小説は圧倒的に読みやすい。
『巨匠とマルガリータ』という小説を一言で説明するのはかなり難しいが、社会風刺もあり、悪魔が登場する奇想小説でもあり、荘厳さもあり、愛の美しさも描かれている著者畢生の大作。ソ連当局からは体制批判として受け止められ、26年間出版されなかったという逸話も持つ。過去にこのブログでも紹介したので、興味のある方は読んでください。
28位はスタンダール『パルムの僧院』。
スタンダールは15位の『赤と黒』に続いて2作目。『パルムの僧院』は筆者は未読だが、本作はイタリアを舞台としており、フランス文学ど真ん中の『赤と黒』とは趣向が異なるとしばしば言われる。
29位は『千夜一夜物語』。言わずと知れた、アラビアンナイトの元ネタを含む短編集。
岩波文庫版で第三巻まで読了しているが、とても面白かった。
岩波文庫の第一巻に収録されているあたりの短編が一番成立年代が古いらしく、まずは第一巻だけでも読むと良いかもしれない。現在完全版として手に入れやすいのは岩波文庫版(全13巻)だが、いつ品切れになるかは分からないので興味のある方は購入をおすすめしたい。
このランキングに登場する女性作家2人目はジェーン・オースティン。代表作『高慢と偏見』がランクイン。ツンデレの古典的名作とされる。サマセット・モーム『世界の十大小説』の一つ。
このランキングは近年行われている文学ランキング(たとえば、英ガーディアン紙の「史上最高の小説100冊」ではオースティンの作品が多数ランクインしている)と比べると、やや女性作家の比重が少なくなっているかもしれない。
コメント:昔の小説を侮るな!(読みやすさA/面白さA)
読了。
31位は『トリストラム・シャンディ』。この作品は一見マイナーに思えるが、マジで面白い。トリストラム・シャンディの半生を描いた作品だが、その描き方がめちゃくちゃ奇抜なのである。ーーまず、彼が精子だった時から語りが始まる。ーーとだけ言えば少しはこの作品の面白さが伝わるだろうか。メタ的な要素も存分に含まれている。
この小説は18世紀中葉の作品なのだが、読者をからかうような技巧が尽くされていて全く古さを感じさせない。夏目漱石の『吾輩は猫である』にも影響を与えたという。
32位は『ライ麦畑でつかまえて』。青春小説の古典的名作。
33位は『ガリヴァー旅行記』。
サマセット・モーム『世界の十大小説』の一つ。『クリスマス・キャロル』でも有名なイギリスの国民的作家チャールズ・ディケンズの自伝的小説。
コメント:子どものままでいることは幸せか?(読みやすさC/面白さB)
35位はノーベル文学賞作家ギュンター・グラスの『ブリキの太鼓』。
主人公オスカルの設定は「自分の意志で3歳時点で成長を止めた」という人物であり、いわば「見た目は子ども、頭脳は大人」である。しかも奇声を発してガラスを割る超能力(?)まで持っている。奇想天外で面白いと言えば面白いのだがーーいかんせん長く(文庫3巻)、このランキングの中で最初の一冊にはおすすめできない。このブログでも過去に紹介したが、主人公オスカルの造形に加えて物語の舞台である第二次世界大戦前のダンツィヒ自由市の描写は面白く興味深いので、海外文学愛好家にはおすすめ。
フランスの作家ロマン・ロランの代表作、『ジャン・クリストフ』。ロランはこの小説でノーベル文学賞を受賞した。ベートーヴェンをモデルにすると言われる音楽家ジャン・クリストフを主人公にした長編小説。こちらもかなりの長編なので筆者は未読である。
コメント:あえて難解なのを読みたいなら読むべし!(読みやすさC/面白さC)
37位はノーベル文学賞作家ウィリアム・フォークナーの『響きと怒り』。
『響きと怒り』はこのブログでも過去に紹介したことがあるが、知的障害を持っている語り手や重度の抑鬱状態にある語り手などを登場させた、叙述方法的にも非常に特徴がある唯一無二の作品。アメリカ南部(南北戦争における敗戦側)を舞台にした、いわゆる「南部ゴシック小説」の一つでもある。
英語圏の有名サイトGoodReadsの「Most Difficult Novels」ランキングでは、ジョイスの『ユリシーズ』『フィネガンズ・ウェイク』に次ぐ3位にランクインしているほど難解な小説として知られている。一方でこの小説の「理解のしにくさ」は、「より文学というものを知りたい」という気持ちを刺激してくれる面もある。筆者自身も『響きと怒り』は、海外文学に一層ハマるきっかけになった一冊でもあり、人によっては本当に面白い小説だと思う。
38位には18世紀中ごろ(清時代)に書かれた『紅楼夢』がランクイン。
中国の「四大奇書」は『三国志演義』、『水滸伝』、『西遊記』、『金瓶梅』と一般に言われるが、『金瓶梅』でなくこの『紅楼夢』を差し替えてた「四大名著」という枠組みもある。
上流階級出身の主人公とし、繊細でプライドの高いヒロイン、良妻賢母型ヒロインとの三角関係で揺れる。
1922年から1940年にかけて書かれ、ロジェ・マルタン・デュ・ガールをノーベル文学賞に導いた作品。
カトリックとプロテスタントという宗派の違う若者の友情を描く。白水Uブックスで全13巻。
イギリスの小説家ロレンス・ダレルによって1950~60年代にかけた発表された長編小説。
アレクサンドリアはエジプトの都市。アレクサンドリアを舞台に4つの視点から物語が語られる小説で、タイトルがカッコいい。
森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』に、稀覯本として登場した記憶があるが、実際現状かなり入手しにくい小説である。もしも4冊セットで1万円で売られているのを見たら、即購入するべきである。
アーヴィングは『ガープの世界』(25位)に続いて2作目。
『ホテル・ニューハンプシャー』はハーバードを卒業したが夢想家でホテル経営を目指す父、母、祖父、ゲイの長男、長女、姉に恋をする次男(主人公)、次女、三男という濃いキャラクターの一家の物語。『ガープの世界』同様、物語の強さを感じる作品だが、同時に読了するのにも体力のいる作品である。
コメント:言語センスがかっこよすぎる(読みやすさA/面白さB)
42位はミラン・クンデラ『存在の耐えられない軽さ』。
チェコのプラハの春を題材にした恋愛小説であるが、恋愛小説である以上にクンデラの哲学的な思考と卓越した表現のかっこよさが光る作品。そもそも有名な「存在の耐えられない軽さ」というタイトルがかっこいい。クンデラの哲学を楽しみたい方は、ぜひこの作品を読んでみてほしい。このブログでも過去に紹介している。
98位にランクインしている『冗談』は、『存在の耐えられない軽さ』より平易で物語として面白い作品で、こちらもお薦めしたい(むしろ個人的には『冗談』を先に読むことをお薦めしたい気もするが、知名度では『存在の耐えられない軽さ』が圧倒的なので興味を持った方を読んでみることをおすすめしたい)。
アレクサンドル・デュマによる長編小説。1844から1846年にかけて執筆された。日本では『巌窟王』の邦題でも知られる復習譚。
コメント:短いのでとりあえず読むべし(読みやすさA/面白さB)
44位はカフカの『変身』。
ある朝、グレゴール・ザムザが不安な夢からふと覚めてみると、ベッドのなかで自分の姿が一匹の、とてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた。
という書き出しは、知っている人が多いだろう。不条理で色々と考えさせる物語でありながら、比較的わかりやすく短いのでお薦め。このブログでも紹介したことがあるが、カフカの『城』(4位)同様にいろいろな考察ができるのも面白い小説である。興味がある方は、カミュの『異邦人』とあわせておすすめしたい。
45位はカルヴィーノ『冬の夜ひとりの旅人が』。
イタリアの作家がこのランキングに登場するのはカルヴィーノが初めて。
カルヴィーノはまさに現代文学の申し子ともいえるような作家で、『冬の夜ひとりの旅人が』は、書き出しだけ書かれた小説をめぐった〈男性読者〉と〈女性読者〉の冒険譚で、メタフィクションなど様々な仕掛けが施されているポストモダニズム文学である。
一方、カルヴィーノは『なぜ古典を読むのか』(河出文庫)という古典作品の重要性を説く評論も書いており、こちらもおすすめ。
コメント:イギリス文学入門になる読みやすい恋愛小説!(読みやすさA/面白さA)
46位は『ジェーン・エア』。
妹のエミリー・ブロンテ、ジェーン・オースティンに続く女性作家の登場。感想を記事に書いたが、やはり女性の自立の象徴的な作品。特別美しいわけではないジェーンが、真実の愛を掴むまでの物語である。このブログでも感想を書いたことがあるが、ご都合主義な面も否めないものの女性の自立した愛を描いた古典的かつ金字塔的な作品。
コメント:これぞアメリカ南部ゴシック小説(読みやすさB/面白さB)
47位はフォークナー『八月の光』。
このブログでも過去に紹介したことがあるが、『八月の光』は黒人と白人の混血として生まれた男、すなわち、黒人社会からも白人社会からも疎外される存在、の孤独を中心に、アメリカ南部に生きた人々を描いた大作。
フォークナーは1949年にノーベル文学賞を受賞したアメリカ文学の大家。このランキングでも37位の『響きと怒り』に続いて2作目で、61位にも『アブサロム、アブサロム!』がランクインしている。物語としては『八月の光』が一番読みやすいと思う(ただ、読んで衝撃を受けるのは『響きと怒り』と『アブサロム』だろう)。
コメント:ストーリーはないが名文の数々(読みやすさC/面白さC)
48位は、ライナー・マルテ・リルケ『マルテの手記』。この作品は、長編小説というよりは、詩あるいは自省録のようなものだろう。その名の通り手記の体裁をとっていて、死や孤独、人生について考察がなされる。あらすじの面白さを求める人には全くお薦めできないが、この本はどこをとっても名文と言えるような美しい言葉の数々で、表現の美しさを求めるなら一番お薦めかもしれない。
45位『冬の夜ひとりの旅人が』に続き、49位はカルヴィーノの『木のぼり男爵』。
カルヴィーノには初期に書かれた「〈我々の祖先〉三部作」と呼ばれる作品があり、それが『まっぷたつの子爵』(1952年)、『木のぼり男爵』(1957年)、『不在の騎士』(1959年)の三つである。タイトルからも分かるように、『木のぼり男爵』は木の上で一生を過ごす男爵の物語。ちなみに『まっぷたつの子爵』は砲撃でまっぷたつになった子爵、『不在の騎士』は甲冑の中が空っぽの騎士を主人公にしている。いずれも歴史小説的な側面を持った奇想小説である。
「〈我々の祖先〉三部作」はどれも甲乙つけがたいので、興味を持った方は発表順に読むか惹かれたタイトルのものを読んでみてほしい。
ヘミングウェイの代表作。超有名な作品ではあるが、筆者は読んだことがないのでコメントができない。
中国「四大奇書」の一。こちらも読んだことがないので感想を書くことができない。
『人間喜劇』は一つの小説ではなく「作品群」では? と思うが、52位にランクイン。
なお、『人間喜劇』の代表作『ゴリオ爺さん』(ペール・ゴリオ)は56位にランクインしている。まずは『ゴリオ爺さん』を読むのがいいのではないかと思う。『ゴリオ爺さん』については過去にこのブログでも紹介している。
53位の『路上』は、1950年代のカウンターカルチャーに最も大きな影響を与えた小説。
ジャック・ケルアックはアメリカの小説家で、著者の放浪体験をもとに1957年に書かれた本作は、この時代を生きた多くの若者たちに影響を与えた。たとえばイギリスのミュージシャン、デヴィッド・ボウイは兄が読んでいたこの小説に衝撃を受けて人生が変わったと述べている。この小説を21世紀に読んで人生が変わる人は1950年代よりは少ないと思うが、いまや伝説的人物となったミュージシャンなどに影響を与えた本に興味のある方はぜひ手に取ってみてほしい。。
なお、邦題は『路上』がよく知られているが、現行の最も手に入れやすい版のタイトルは『オン・ザ・ロード』である。
54位は『危険な関係』。
フランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロによって1782年に書かれた書簡体小説。著者ラクロは、今ではこの作品しか有名でない「一発屋」だが、この作品で描かれた恋愛心理戦は今日も高く評価されている。
コメント:面白いけどモヤモヤする推理小説(読みやすさA/面白さB)
55位はイギリスの推理小説作家チェスタトンの『木曜の男』。
創元推理文庫から出ている作品は、このランキングの中ではこの作品が唯一だろう。
でも、この小説はただの「推理小説」ではない…… たしかに推理小説的なのだが、謎が解けるとむしろ一層「よくわからないモヤモヤ感」が深まる。不思議で奇天烈な作品を読みたい方にはおすすめしたい。このブログでも紹介している。
コメント:パリ社交界の栄光と闇(読みやすさB/面白さB)
56位はバルザック『ゴリオ爺さん』。娘のために金を使いすぎて没落し、娘にも見放された悲しい老人「ゴリオ爺さん」と、社交界での出世を目指す野心家ウージェーヌ・ド・ラスティニャックの物語。栄枯盛衰の激しいパリで光と闇が描かれる。サマセット・モーム『世界の十大小説』の一つで、このブログでも過去に紹介している。
日本を代表する恋愛小説。
56位の『ゴリオ爺さん』に続き、バルザックの『幻滅』がランクイン。
こちらは読んだことがないのでコメントできない。
耽美的に恋人たちを描いたフランス文学。『うたかたの日々』や『日々の泡』と訳される。
青春小説だが、非現実的な幻想的なことも起きる独特の小説でファンが多い。
コメント:戦争体験×SF(読みやすさA/面白さA)
60位はカート・ヴォネガットの『スローターハウス5』。
作者の従軍経験をもとに書かれた戦争文学でもあり、またSFでもあり、さらに斬新な語りの手法が採られたポストモダン文学の象徴的作品でもある。SFの定義にもよるが、このランキング唯一のSFともいえる。でも、やっぱり文学寄りだから「SFが読みたい」という人にはお薦めできないかもしれない。
フォークナーは 『響きと怒り』、『八月の光』に続いて3冊目。
これもまたアメリカ南部を舞台にした小説で、例の如く意識の流れの手法が使われている。『響きと怒り』よりはわかりやすいけど『八月の光』よりわかりにくく、また読むなら『響きと怒り』を先に読んでおいた方がいい、という感じの小説で、順位がこの三作で一番下なのは仕方ないか。
1910年発表のE・M・フォースターの代表作。2025年に光文社古典新訳文庫から刊行され、この記事を後悔した当初よりも文庫での入手が簡単になった。
1965年発表。タイトル通り、次第にオカルティズムにも近づいていくような作品……らしい。
1989年発表の、ポール・オースターによる長編小説。
新潮文庫で柴田元幸訳で出ている。柴田元幸は『翻訳夜話』など村上春樹との交流でも知られ、ファンも多い訳者。海外文学を読むときには、訳者で選ぶというのも一つの手。
ランキングで唯一の21世紀の作品。この作品がゼ―バルトの遺作となった。
コメント:老若男女におすすめできる一冊(読みやすさA/面白さA)
66位はカズオ・イシグロの『日の名残り』。第二次世界大戦後のイギリスの老執事を主人公とした作品。このリストの中では珍しい、現在進行形で活躍している作家による作品。新しい分読みやすく、またユーモアにも富んでいる一方で、文学的な価値(技法・テーマの秀逸さ)も引けを取らない。他人に一番薦めたい作品の一つ。
コメント:読んだことのない戦争文学体験(読みやすさA/面白さA)
アゴタ・クリストフのデビュー作にして代表作、『悪童日記』がランクイン。
クリストフはハンガリー出身ながら1956年のハンガリー動乱で難民としてスイスに定住、母語でないフランス語で本書を執筆した。
戦時下を生きる双子を描いた作品で、彼らの日記という体裁を取っている作品なのだが、小説の歴史的背景も文学としても非常に面白い。卑猥な描写も多いので読者は選ぶかもしれないが、圧倒的な文学としてのパワーを持つおすすめ小説である。
16世紀にフランスの人文主義者ラブレーが書いた小説。
教会などの権威を風刺していたため、禁書とされた。
昔読了した記憶はある。
コメント:イギリスの貴族に勝手にノスタルジーを抱いている人なら必読(読みやすさA/面白さA)
70位はイギリスの作家イーヴリン・ウォーの『回想のブライズヘッド』。
『回想のブライズヘッド』は2009年の岩波文庫版の邦題で、それ以前の版の原題に近い『ブライズヘッドふたたび』『ブライズヘッド再訪』のタイトルの方が有名かもしれない。第二次世界大戦に従軍している主人公が青春時代や古き良き過去を回想するノスタルジー小説である。ドラマ『ダウントンアビー』のような20世紀前半のカントリーハウスが好きな人は必読。
ギンズブルクはイタリアの女性作家。本作はギンズブルグの自伝的作品。
ギンズブルクは、須賀敦子が私淑していた作家としても日本では知られている。
サマセット・モーム『世界の十大小説』の一つ。なお、世界十大小説では一番古い作品(唯一18世紀の作品)である。
18世紀のイギリスを舞台にした作品。
イギリスの国民的作家ディケンズの代表作。
カーソン・マッカラーズはアメリカの女性作家。本作はアメリカ南部(すなわち北部より黒人差別が酷く貧しい地域)を描いた、いわゆる「南部ゴシック小説」。
最近(2020年)、村上春樹による訳が出版され、翻訳も新しくなったうえ、以前より非常に入手しやすくなっている。
途中まで読んだが飽きた。
こちらも途中まで読んで投げ出してしまっている(面白くないわけではない)。
バックは中国育ちのアメリカの女性作家。1938年ノーベル文学賞。
コメント:自己犠牲の是非(読みやすさB/面白さC)
ジッドは1947年ノーベル文学賞。
アリサという女性が、主人公との幸せな結婚を拒み、信仰に生きる話。信仰に篤くない人間が読むと、どうもアリサの行動が理解できないのだが、実際に過度な自己犠牲を批判した小説ともいわれる。印象に残る小説であることは確か。
読了した記憶はある。
コメント:ギリシャ神話入門(読みやすさC/面白さB)
読了したが、感想ブログにを書く気は今のところない。
言わずと知れた古代ギリシアの長編叙事詩。『イリアス』の後日談に当たる話だが、『イリアス』よりこちらの方が断然読みやすい(岩波文庫ではどちらも松平千秋氏が訳しているが、なぜだか読みやすさが断然違う。)。
ホメロス特有の表現(たとえば、相手の言葉に激昂した時の「何たる言葉が汝の歯の垣根を超えたことか…!」というようなセリフ)を知ることができて楽しい。
『ボヴァリー夫人』が有名な19世紀フランスの作家フローベールの自伝的小説。
コメント:数年前に読んだときはピンとこなかったが、今読むと…(読みやすさB/面白さB)
作者マーガレット・アトウッドは、現代カナダを代表する女性作家。
「侍女」と聞いて舞台が近世以前だと思う方もいるかもしれないが、近未来を舞台にしたディストピア小説。エマ・ワトソンがおすすめするフェミニズム小説としても知られる。
数年前に読んだときは、アメリカがキリスト教原理主義勢力に支配されるという設定にピンとこなかったのだが、2025年になってからこの本の内容を思い返すと恐ろしい気持ちになる。
ロンドンとパリの二都をめぐる作品。『クリスマス・キャロル』などを除けばめちゃくちゃ長い長編小説が多いディケンズの中では、比較的手が出しやすい長さの小説。
コメント:超緻密なルポルタージュ風小説!(読みやすさA/面白さA)
1位の『百年の孤独』に続き、ガルシア・マルケスがランクイン。「予告された殺人の記録」は、『百年の孤独』と違って長編というほどは長くない。独特の南米のリズム感はそのままに非常に精緻な作品で、丁寧に読んでいくと物語としても非常に面白い作品。読みやすいと評価したが、登場人物の整理は難解なので、本ブログの記事などを参考にしてほしい。
コメント:二回読むと真価を発揮する小説(読みやすさB/面白さA)
84位は、スペインの作家フアン・ルルフォの『ペドロ・パラモ』。
1955年に発表されたマジックリアリズムの手法が用いられた本作は、スペイン語圏の作家であるガルシア・マルケスらにも大きな影響を与えた。この小説の特徴は「死者と生者が混淆した世界」と「時系列の混乱した語り」である。死者たちによる語りは理路整然としておらず、一度しか読まずに理解するのは不可能である。この小説は一回しか読まなかったら、読みにくいしつまらない小説であるが、二回読んだときに真価を発揮する。すごい小説。
中国「四大奇書」の一。
孫悟空らが登場する、三蔵法師がインドに行く話。
86位はウンベルト・エーコ『薔薇の名前』。
NHKの番組「100分de名著」で紹介されているのを観て読んだ気になっている。もちろん原書も読んでみたいが、あまりに長いのでなかなか読むことができないでいる。
ちなみに私は「100分de名著」はよく観るが、この『薔薇の名前』が紹介された回は「100分de名著」屈指の神回だと思う。
コメント:人類史上最高の歴史小説(読みやすさB/面白さA)
言わずと知れた、劉備や曹操、孫権といった英傑の活躍を描いた歴史小説。下知識が全くない人が読んだ場合、どれくらい楽しめるのかは少しわからないのだが……。英雄の活躍から知略による戦況の打破、政治と外交など色々なファクターを網羅しており、これからも未来永劫この作品を超える歴史小説は出現しないのではないかと思われる。
サッカレーは19世紀イギリスの作家。
ナポレオン戦争に向かう19世紀初頭のロンドンを描き、富裕層を風刺した長編小説。
『若きウェルテルの悩み』『ファウスト』で知られるドイツの詩人ゲーテの作品。
コメント:『ユリシーズ』を読む前に読むべし(読みやすさC/展開の面白さB)
90位はジェイムズ・ジョイス『若い藝術家の肖像』。
十分難解な小説だが、14位の『ユリシーズ』よりは短く、また作者ジェイムズ・ジョイスの精神的成長を描いている作品という点でテーマとしては分かりやすい。『ユリシーズ』を読む前に、こちらを読んでおくといいかもしれない。
コメント:当時の監獄の意外と人間的な様子がわかり面白い(読みやすさB/面白さB)
このランキング5度目のドストエフスキーは『死の家の記録』。
ドストエフスキーには一般に五大長編と呼ばれているものがあって、このランキングではそのうち処女作の『未成年』以外の4作がランクインしている。
『死の家の記録』はドストエフスキーが思想犯として投獄されていたころの体験記と見聞録。小説の形を取っているが実際にはノンフィクション的な性格を持ち、いわゆる「五大長編」には含まれないが、ドストエフスキーの透徹した人間へのまなざしを読むことができる本である。
コメント:ギリシャ神話がちょっと分かるようになるのは楽しい(読みやすさC/面白さC)
読了したが感想を書く気はない。
92位は、ホメロスの『イリアス』。ホメロスの叙事詩は79位の『オデュッセイア』に続いてランクイン。
ギリシャ神話に登場するアテナなどの女神、アキレウスやヘクトールといった英雄について知りたいなら読んで損はない。登場人物に二つ名がついていて、少年の心をそそられる。
映画でも有名。
94位は、フランスの文学者アンドレ・ブルトンの『ナジャ』。原典は未読だが、鹿島茂『悪女入門』(講談社現代新書)でも触れられていたのが記憶に残っている。
ブルトンは、シュルレアリスムを創始した人物としても知られる。
ピンチョンといえば、絶対に公の場に顔を出さないことで知られている作家。ジョージ・オーウェル『1984年』(早川書房)に解説を寄せていた人物としても記憶している。そういえばこのランキングはオーウェルはランクインしていない。
ところでアメリカのバイデン大統領の好きな作家は、ピンチョンとジョイスらしい。二人とも私が読了できなかった作家なので、私とは趣味が合わないかもしれない……。
1969年ノーベル文学賞。ベケットは『ゴドーを待ちながら』などの戯曲も有名。
コメント:現代小説の傑作(読みやすさA/面白さB)
作者ヴァージニア・ウルフはイギリスの女性作家。代表作の『灯台へ』は、作者ウルフの家族をモデルにしたラムジー一家を取り巻くある一日と、その10年後の一日を描いた作品。話の展開が面白いというわけではないのだが、洗練された「意識の流れ」の作品で、現代文学の傑作である。ウルフはフェミニズム的な観点からも最近とくに着目されており、注目度が高まっている。
コメント:個人的おすすめナンバーワン(読みやすさA/面白さA)
98位はミラン・クンデラの『冗談』。クンデラは42位の『存在の耐えられない軽さ』に次いで2作目。『冗談』も、『存在の耐えられない軽さ』同様に共産主義体制下のチェコを描いた作品。当時の社会を感じることができるとともに、物語としても非常に面白く読むことができる作品。『存在の耐えられない軽さ』よりも平易なので、はじめてクンデラを読む人には『冗談』をお薦めしたい。
ゴンチャロフは19世紀中葉のロシアの作家。代表作である本作は、典型的な貴族の世界を写実的に表現した作品。現在は岩波文庫は品切れのよう……
サディストの語源、サド。澁澤龍彦がこの本を翻訳してわいせつ物頒布罪に問われた『悪徳の栄え』事件は有名。
最後に、一覧を置いておきます。ぜひ、気になった作品を読んでみてください!