• 2024年3月13日
  • 2024年3月19日

ハリウッドはアジア人をどう見ているのか?ー映画『TAR/ター』ラストの描写【あらすじ・感想】

2024年3月10日(日本時間11日)に開催された第96回アカデミー賞授賞式で、ロバート・ダウニー・Jrとエマ・ストーンが、それぞれ前年の受賞者でありアジア系のキー・ホイ・クァンとミシェル・ヨーを軽視した振る舞いをしたと炎上している。(わずか1週間で完全に過去の話題となったが) 差別というのは無意識に行動に現れるもので […]

  • 2024年3月13日
  • 2024年3月13日

映画も素晴らしい大人向けの寓話『シチリアを征服したクマ王国の物語』(ディーノ・ブッツァーティ)【あらすじ・感想】

たびたびこのブログで紹介してきた作家にディーノ・ブッツァーティというイタリアの作家がいる。 私がこのブッツァーティという作家が好きな大きな理由は、この作家の描く不条理が好きだからである。どこかホラーのような、しかし人間社会の不条理のようなものをついている『神を見た犬』や『現代の地獄への旅』といった短編集は非常に面白いし […]

  • 2023年11月17日
  • 2023年11月17日

ご都合主義も悪くないー『ゴジラ-1.0』感想・評価

『ゴジラ-1.0』を観た。見るまで知らなかったが、読み方は「ゴジラマイナスワン」というらしい。 予告編を見ていた時は、東宝は一体何回ゴジラの映画をつくれば気が済むんだと閉口していたが、実際公開されると私自身もせかせかと映画館に足を運んでしまうわけで、どうも負けた気分にはなる。 しかし、結局新しいゴジラの映画を観ようと思 […]

  • 2023年7月3日
  • 2024年3月19日

『ダロウェイ夫人』【あらすじ・感想】ーヴァージニア・ウルフが命を賭けた小説

ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』 は、ちょうど今から100年前を舞台にした小説である。 この小説は、近代文学を代表する作品であるジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』同様、ある一日を「意識の流れ」と呼ばれる手法で描いた小説である。ちなみに『ダロウェイ夫人』の舞台は1923年6月13日で、ぴったり100年を迎えた時 […]

  • 2023年6月28日
  • 2023年6月28日

【感想・考察】『aftersun/アフターサン』父の苦悩を暗示するプレイリスト

映画『aftersun』の評判が(私の観測した範囲で)非常に高い。なので観たのだが……。 観終わって、かなり私は混乱した。ストーリーと呼べるべきストーリーがほぼなく、はっきりと言えば「これで終わるのか」という感想を受けた。本来私は、映画というメディアには一定の娯楽性を求めているのだが、この映画は大衆受けするような娯楽性 […]

  • 2023年6月18日
  • 2023年7月2日

知の巨人・エーコの遺作『ヌメロ・ゼロ』―衰退してゆく国家への視線【あらすじ・感想】

ベルルスコーニが死んだ。ベルルスコーニといえば、実業家として特にテレビ局などのメディアを掌中に収めた「メディア王」であり、汚職や脱税など数多くの不正疑惑で捜査を受けつつも、合計9年以上イタリアの首相の座にあった人間である。アメリカのトランプもベルルスコーニに重ね合わせられることも多かったが、そういう人間である。こういう […]

  • 2023年5月1日
  • 2023年5月1日

三島由紀夫のライトノベル『夏子の冒険』あらすじ・感想

「なにか日本の小説を読みたいんだけど、何を読めばいい?」 ――というようなことを聞かれると、「とりあえず三島由紀夫を読めばいいんじゃない?」 と、やや投げやりとも捉えられがちな答えをしてしまうが、しかしこれは私の本心である。 とはいえ、私も三島由紀夫の作品をすべて読んだことがあるわけではないのだが(なざなら、三島作品を […]

  • 2023年4月18日
  • 2023年7月4日

手塚治虫の問題作『奇子』【書評・感想】ー敗戦国と人間の業の深さ

手塚治虫の作品の中でも、最も悪名高い(?)問題作の一つは、『奇子』(あやこ)だろう。 悪名高い、問題作という言葉について誤解のないように書いておくと、この作品は、手塚治虫作品の中で劣っているなどということではない。最高傑作とは言えないとしても、手塚治虫が描いた成人向け漫画の中で屈指の名作の部類であるのは間違いない。 こ […]

  • 2023年4月4日
  • 2023年6月28日

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスと存在の耐えられない軽さ【感想・考察】

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスを、観た。 私がこの映画を観たのは、この作品がアカデミー賞を総なめにする前で、あまり下知識を持っていなかった。とりあえず「カンフーに目覚めたおばさんが世界を救う荒唐無稽な映画、だけど面白い」らしいという程度の情報だけ持って、映画館に行った。 実際に観た感想はというと、「 […]

  • 2022年8月8日
  • 2023年7月4日

『死の家の記録』【書評・感想】ードストエフスキーが描くシベリア監獄のリアル

あまりにも有名だが、ドストエフスキーは、かつて死刑囚であった。 若き日のドストエフスキーは、ペトラシェフスキーの主宰する社会主義サークルに所属し、皇帝(ツァーリ)の統治下にあって、社会の変革を目論んだために官憲に逮捕された。ペトラシェフスキーはじめ、ドストエフスキーらサークル員は死刑判決を受けたが、銃殺直前になって皇帝 […]