• 2023年7月15日
  • 2023年7月16日

絶対にネタバレをしないで映画『君たちはどう生きるか』の感想を書く

絶対にネタバレしないで映画『君たちはどう生きるか』の感想を書く。 ここまで制作側が事前情報を出さなかった作品についてネタバレをしてしまうのは、その度合いがわずかであったとしても気が引けてしまう。 それに、実は私自身はネタバレをされても一向に構わないと考えている人間なのだが、この映画に関しては製作側の思う壺にはまってしま […]

  • 2023年7月3日
  • 2023年7月4日

『ダロウェイ夫人』【あらすじ・感想】ーヴァージニア・ウルフが命を賭けた小説

ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』 は、ちょうど今から100年前を舞台にした小説である。 この小説は、近代文学を代表する作品であるジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』同様、ある一日を「意識の流れ」と呼ばれる手法で描いた小説である。ちなみに『ダロウェイ夫人』の舞台は1923年6月13日で、ぴったり100年を迎えた時 […]

  • 2023年6月28日
  • 2023年6月28日

【感想・考察】『aftersun/アフターサン』父の苦悩を暗示するプレイリスト

映画『aftersun』の評判が(私の観測した範囲で)非常に高い。なので観たのだが……。 観終わって、かなり私は混乱した。ストーリーと呼べるべきストーリーがほぼなく、はっきりと言えば「これで終わるのか」という感想を受けた。本来私は、映画というメディアには一定の娯楽性を求めているのだが、この映画は大衆受けするような娯楽性 […]

  • 2023年6月18日
  • 2023年7月2日

知の巨人・エーコの遺作『ヌメロ・ゼロ』―衰退してゆく国家への視線【あらすじ・感想】

ベルルスコーニが死んだ。ベルルスコーニといえば、実業家として特にテレビ局などのメディアを掌中に収めた「メディア王」であり、汚職や脱税など数多くの不正疑惑で捜査を受けつつも、合計9年以上イタリアの首相の座にあった人間である。アメリカのトランプもベルルスコーニに重ね合わせられることも多かったが、そういう人間である。こういう […]

  • 2023年5月1日
  • 2023年5月1日

三島由紀夫のライトノベル『夏子の冒険』あらすじ・感想

「なにか日本の小説を読みたいんだけど、何を読めばいい?」 ――というようなことを聞かれると、「とりあえず三島由紀夫を読めばいいんじゃない?」 と、やや投げやりとも捉えられがちな答えをしてしまうが、しかしこれは私の本心である。 とはいえ、私も三島由紀夫の作品をすべて読んだことがあるわけではないのだが(なざなら、三島作品を […]

  • 2023年4月18日
  • 2023年7月4日

手塚治虫の問題作『奇子』【書評・感想】ー敗戦国と人間の業の深さ

手塚治虫の作品の中でも、最も悪名高い(?)問題作の一つは、『奇子』(あやこ)だろう。 悪名高い、問題作という言葉について誤解のないように書いておくと、この作品は、手塚治虫作品の中で劣っているなどということではない。最高傑作とは言えないとしても、手塚治虫が描いた成人向け漫画の中で屈指の名作の部類であるのは間違いない。 こ […]

  • 2023年4月4日
  • 2023年6月28日

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスと存在の耐えられない軽さ【感想・考察】

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスを、観た。 私がこの映画を観たのは、この作品がアカデミー賞を総なめにする前で、あまり下知識を持っていなかった。とりあえず「カンフーに目覚めたおばさんが世界を救う荒唐無稽な映画、だけど面白い」らしいという程度の情報だけ持って、映画館に行った。 実際に観た感想はというと、「 […]

  • 2022年8月8日
  • 2023年7月4日

『死の家の記録』【書評・感想】ードストエフスキーが描くシベリア監獄のリアル

あまりにも有名だが、ドストエフスキーは、かつて死刑囚であった。 若き日のドストエフスキーは、ペトラシェフスキーの主宰する社会主義サークルに所属し、皇帝(ツァーリ)の統治下にあって、社会の変革を目論んだために官憲に逮捕された。ペトラシェフスキーはじめ、ドストエフスキーらサークル員は死刑判決を受けたが、銃殺直前になって皇帝 […]

  • 2022年5月18日
  • 2022年10月19日

アチェベ『崩れゆく絆』が絶対に読んでほしい海外文学である理由【あらすじ・感想】

海外文学や古典的作品の醍醐味は、その物語の舞台が私たちの日常とは異なる「異世界」でありながら、そうした世界は現実に存在していた、あるいはしているというところにある。 個人の好みではあるが、私はそうした「まったく知らないけれど、現実に存在していた世界」との邂逅が好きである。 こうした海外文学を読む喜びを感じさせてくれた一 […]

  • 2022年5月10日
  • 2022年10月19日

映画『アネット』感想ー異端児スパークスによる異色のロック・ミュージカル

スパークスというアメリカのバンド(というかデュオ)がある。 スパークスは1960年代(!)から活動している、ロン・メイルとラッセル・メイルという兄弟によるデュオだが、二人とも健在でいまだに創作意欲は旺盛で、ここ最近日本でも話題にあがることが増えている。 2021年には彼らについてのドキュメンタリー映画『スパークス・ブラ […]