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古典的名作

  • 2022年2月9日
  • 2022年10月19日

ドストエフスキーの『罪と罰』は、「現代の予言書」なのか?【感想・考察】

2021年に生誕200年を迎えたドストエフスキーの作品は「現代の予言書」と言われる。誰が言い始めたのか厳密にはわからないが、たとえば新潮文庫版『カラマーゾフの兄弟』に寄せられた原卓也の解説には「この作品は今日でもなお、人類の未来に対する予言的なひびきを失わわぬばかりか、いっそう強めてさえいるのである。」と書かれている。 […]

  • 2022年2月5日
  • 2022年10月19日

『アンナ・カレーニナ』あらすじ・感想ーなぜアンナは自殺しなくてはならなかったか

世界文学上に今なお燦然とその輝きを放ち続ける巨匠レフ・トルストイの作品『アンナ・カレーニナ』は、現代でも名前はおそらく多くの方が聞いたことがあると思う。 そしてこの物語が、主人公アンナ・カレーニナが、熱狂的な恋愛の末、鉄道自殺を遂げる……という話であることも、知っている人が多いだろう。 しかし、『アンナ・カレーニナ』と […]

  • 2022年1月31日
  • 2022年10月19日

自己犠牲の是非ージッド『狭き門』あらすじ・感想

かつて進路について考えていたころ、ある人から「一番難しい目標を目指せ」と言われたことがある。 「難しい目標」はそのタイミングを逃したら叶えることができないが、そこまで難しくない目標であれば、難しい目標に夢破れた後でも叶えることができるかもしれない。人生その時その時で、一番難しい目標に挑戦することが大事なのだ。 私はこれ […]

  • 2022年1月31日
  • 2022年10月19日

ジッド『背徳者』あらすじ・感想ー「人間らしさ」への目覚めと背徳の誘惑

長いあいだ閉じこもった部屋にこもりきりになる経験は、コロナ禍で多くの人が思わず経験することになったかもしれない。私もその一人である。 閉じこもった生活を続けた後で太陽のもとに出ると「生きていること」の素晴らしさを実感する。そして、なんでもできるような気分になるのだ。 フランスのノーベル文学賞作家アンドレ・ジッドによる初 […]

  • 2022年1月26日
  • 2022年10月19日

ブッツァーティ短編集『七人の使者・神を見た犬』ー幻想的で不条理な短編集

20世紀のイタリアの作家ディーノ・ブッツァーティは、代表作の長編『タタール人の砂漠』も有名だが、多くの優れた短編を残した小説家としても知られている。 ブッツァーティの短編は非常に面白いが、星新一のショートショートのように奇抜な設定やオチの秀逸さを楽しめるものでも、オー・ヘンリーの短編のように心温まるラストを楽しめるもの […]

  • 2022年1月14日
  • 2022年10月19日

『タタール人の砂漠』あらすじ・感想ー読むとしばらく立ち直れない本

人生とは、有限で、老いとともに色々な可能性を失っていくもので、短く、たいていの人は何かを成し遂げることさえできずに終幕を迎えるものである。 そのようなことをテーマにした世界文学の名作として、イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティの『タタール人の砂漠』という作品がある。 ディーノ・ブッツァーティは「イタリアのカフカ」と呼 […]

  • 2021年11月11日
  • 2022年10月19日

『イーヴリン・ウォー傑作短編集』感想ー名作家によるブラックな短編

世の中には多く「傑作集」を銘打っている本があり、時たま納得できないものもあるが、イーヴリン・ウォーの『イーヴリン・ウォー傑作短篇集』(白水社エクス・リブリス・クラシックス)は、個人的には文句なしの「傑作短編集」だ。 このブログでは、これまでもいくつかイーヴリン・ウォーの長編は紹介してきたが、ウォーは短編の名手でもあるこ […]

  • 2021年11月6日
  • 2022年10月19日

F.S.フィツジェラルド『ベンジャミン・バトン』あらすじ・考察ー名短編のテーマとは?

『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』というと映画が有名だが、原作は『グレート・ギャツビー』で有名なアメリカの小説家フランシス・スコット・フィッツジェラルドの短編である。 ご存じの方も多いと思うが、「老人の姿で生まれて、歳を重ねるごとに若返っていく運命を背負ったベンジャミン・バトン」の物語である。 今回は、角川文庫の短編 […]

  • 2021年11月6日
  • 2022年10月19日

クノー『文体練習』という奇書を読む【書評・感想】

昨日レーモン・クノーの『地下鉄のザジ』の紹介をしたので、今回はクノーの『文体練習』という本について紹介しようと思う。 この本は、小説でもエッセイでもない。 ではどのような本なのかというと、この本は同じ内容の文章を、99通りの別の書き方で書いた、まさに「文体の教科書」なのである。 今回は『文体練習』について、具体的にこの […]

  • 2021年11月5日
  • 2022年10月19日

クノー『地下鉄のザジ』あらすじ・感想ー価値観を揺るがす小説

『地下鉄のザジ』というと映画が有名だが、原作はレイモン・クノーによる小説である。 以前から興味はあったが、ついこの間の2021年9月に『地下鉄のザジ』がの新版が中公文庫から出たことを知ったので、読んでみた。新版でも訳は以前と変わらず生田耕作のものだが、植草甚一の映画評と千野帽子の新版解説がつけられており、たぶん活字が大 […]