- 2024年11月22日
メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』あらすじ・感想ー怪物と現代の「無敵の人」との相似形
メアリー・シェリーが『フランケンシュタイン』(原題は『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』)という小説を、自らが女性であることを隠して刊行したのは1818年のことだが、それから200年以上が経ってからも、この小説は非常に現代社会に対しても示唆に富んだものである。 ちなみに「フランケンシュタイン」といえば、 […]
メアリー・シェリーが『フランケンシュタイン』(原題は『フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス』)という小説を、自らが女性であることを隠して刊行したのは1818年のことだが、それから200年以上が経ってからも、この小説は非常に現代社会に対しても示唆に富んだものである。 ちなみに「フランケンシュタイン」といえば、 […]
『推しの子』が、昨日完結した。 その評判について客観的に書き残すと、SNS上では、「最終回で失速した」など、かなり炎上気味になっている。実際、なぜアクアとルビーが転生できたのか、ツクヨミの正体など、最終回を読んでも明かされなかった要素や伏線が多い点は個人的にも少し残念ではあり、そうした点が「投げやりな最終回に思えた」と […]
東京都・清瀬市で3月28日、市立図書館6館のうち4館を廃止することなどを盛り込んだ条例改定案が可決されたというニュースを見た。 私は清瀬市民ではないし、人口減少社会で図書館の数も減っていくことには一定の理解はするが、しかし図書館が減るということは悲しいことだと思う。 大袈裟な飛躍かもしれないが、図書館の廃止のニュースを […]
岩尾俊兵『世界は経営でできている』(講談社現代新書)という本の感想などを最近よくSNSで見る。 それで私も気になったので読んでみたが、『世界は経営でできている』という本は、「感想を書きたくなる新書」だということである。なるほど、だからSNS上にはここまでたくさんのこの本の感想が書かれているわけか……と納得した。 そのよ […]
たびたびこのブログで紹介してきた作家にディーノ・ブッツァーティというイタリアの作家がいる。 私がこのブッツァーティという作家が好きな大きな理由は、この作家の描く不条理が好きだからである。どこかホラーのような、しかし人間社会の不条理のようなものをついている『神を見た犬』や『現代の地獄への旅』といった短編集は非常に面白いし […]
ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』 は、ちょうど今から100年前を舞台にした小説である。 この小説は、近代文学を代表する作品であるジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』同様、ある一日を「意識の流れ」と呼ばれる手法で描いた小説である。ちなみに『ダロウェイ夫人』の舞台は1923年6月13日で、ぴったり100年を迎えた時 […]
ベルルスコーニが死んだ。ベルルスコーニといえば、実業家として特にテレビ局などのメディアを掌中に収めた「メディア王」であり、汚職や脱税など数多くの不正疑惑で捜査を受けつつも、合計9年以上イタリアの首相の座にあった人間である。アメリカのトランプもベルルスコーニに重ね合わせられることも多かったが、そういう人間である。こういう […]
「なにか日本の小説を読みたいんだけど、何を読めばいい?」 ――というようなことを聞かれると、「とりあえず三島由紀夫を読めばいいんじゃない?」 と、やや投げやりとも捉えられがちな答えをしてしまうが、しかしこれは私の本心である。 とはいえ、私も三島由紀夫の作品をすべて読んだことがあるわけではないのだが(なざなら、三島作品を […]
手塚治虫の作品の中でも、最も悪名高い(?)問題作の一つは、『奇子』(あやこ)だろう。 悪名高い、問題作という言葉について誤解のないように書いておくと、この作品は、手塚治虫作品の中で劣っているなどということではない。最高傑作とは言えないとしても、手塚治虫が描いた成人向け漫画の中で屈指の名作の部類であるのは間違いない。 こ […]
あまりにも有名だが、ドストエフスキーは、かつて死刑囚であった。 若き日のドストエフスキーは、ペトラシェフスキーの主宰する社会主義サークルに所属し、皇帝(ツァーリ)の統治下にあって、社会の変革を目論んだために官憲に逮捕された。ペトラシェフスキーはじめ、ドストエフスキーらサークル員は死刑判決を受けたが、銃殺直前になって皇帝 […]