- 2025年12月13日
亜月ねね『みいちゃんと山田さん』批判への考察《偽善と露悪》
2025年に最も話題になった漫画のひとつとして挙げられるのは、『みいちゃんと山田さん』だろう。SNS上でも数多くのコマが引用され、非常に話題になっている。 一番有名なシーンは、みいちゃんが幼馴染のムウちゃんに「立ちんぼに行こーよ!」と誘う場面だと思われる。立ちんぼとは売春の隠語であり、みいちゃんは幼 […]
2025年に最も話題になった漫画のひとつとして挙げられるのは、『みいちゃんと山田さん』だろう。SNS上でも数多くのコマが引用され、非常に話題になっている。 一番有名なシーンは、みいちゃんが幼馴染のムウちゃんに「立ちんぼに行こーよ!」と誘う場面だと思われる。立ちんぼとは売春の隠語であり、みいちゃんは幼 […]
村上春樹の『羊をめぐる冒険』は、村上春樹作品の中でも人気のある代表作である。個人的にもかなり好きな作品ではあるのだが、一方でこの作品の何が好きなのかというと、意外と言語化できない。 ただ、この作品は何度か読んではいるのだが、正直なところ『羊をめぐる冒険』という物語の筋を完璧に覚えているかというと、あ […]
グレアム・グリーンの『ブライトン・ロック』という小説について紹介したい。 グリーンといえば映画化もされている『ヒューマン・ファクター』(1978)や『情事の終り』(1951)、『権力と栄光』(1940)といった代表作で知られる、20世紀イギリスを代表する作家だが、これらの傑作に先立って1938年に発 […]
昨年亡くなったアメリカの作家ポール・オースター(1947-2024)。もっと早く追悼記事を書こうと思っていたが、1年半以上も経過してしまった。今回はオースターの代表作である『幽霊たち』について紹介したい。 ポール・オースターという小説家について はじめに、オースターおよび『幽霊た […]
映画『遠い山なみの光』が公開された。公開後すぐに見ていたので見てから時間が経ってしまったが、非常にこの映画はよかったので、この映画の感想と考察を書いていきたいと思う。 結論から言うと、『遠い山なみの光』の映画は、非常によかったと思う。原作小説の持つ「不思議さ」や一種の気味の悪さがうまく表現されていた […]
読み終わった後に茫然自失になるほどの衝撃を受ける文学を読みたいのであれば、アゴタ・クリストフの代表作『悪童日記』をおすすめしたい。 アゴタ・クリストフは、1935年にハンガリーで生まれ、子どもの頃に第二次世界大戦を体験する。その後1956年、クリストフが21歳の時にハンガリー動乱が起き、オーストリア […]
2025年上半期は、芥川賞も直木賞も受賞作がないという、およそ28年ぶりの珍事が起きて話題になった。 いったいどんな議論の末に受賞作が決まったのか(あるいは今回のように受賞作なしに決まったのか)。その議論の様子や議事録は公開されないが、実はどのような議論があったのかは、選評を読むことで窺い知ることが […]
ジョージ・オーウェルの『1984』といえば、現代の監視社会などを予言した小説として有名である。 私は5年前に、このブログで『1984』について書いたことがある。その時、私がオーウェルが『1984』の中で提示した概念の中で、最も現代性があると感じたのが「二重思考」や「ニュースピーク」という概念だった。 […]
このブログでは読んだ本の感想を気ままに書いているが、これまでに記事を書いたアメリカ文学もそれなりの数になってきたので、このページでまとめて紹介したい。 海外文学には、それぞれその国の特徴があるわけであるが、アメリカ文学にも特徴がある。 これまで読んできたアメリカ文学の特徴を簡潔にまとめると、以下のよ […]
日本の軍人を描いた戦争小説の中で最も有名な作品は何かという問いの一つの答えは、大岡昇平の『野火』であろう。 『野火』は、作者のフィリピンでの戦争体験をもとにした小説であり、作者自身の戦場での体験が色濃く反映されている。 作品自体はフィクションだが、日本軍とフィリピンの住民との関係、軍人の持つ二面性、 […]