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読書

  • 2021年10月15日
  • 2022年10月17日

ジーン・リース『サルガッソーの広い海』あらすじ・感想ー名作と植民地の暗部

「世界で最も評価されている二次創作」は、もしかするとジーン・リースの『サルガッソーの広い海』という小説かも知れない。 モダン・ライブラリーの「Modern Library 100 Best Novels」にも選ばれているこの小説は、シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』の前日譚を「現代的な立場」から描いた小説である […]

  • 2021年10月14日
  • 2022年9月14日

英国流のブラックユーモア小説ーイーヴリン・ウォー『大転落』【あらすじ・感想】

イーヴリン・ウォーという小説家は、日本ではそこまで有名ではないかもしれないが、イギリスでは『情事の終り』などで知られるグレアム・グリーンと双璧とされるカトリック作家であるという。 過去にこのブログでも紹介したウォーの代表作『回想のブライズヘッド』は、過ぎ去った時代へのノスタルジーを主題とした小説だが、カトリック的な価値 […]

  • 2021年10月13日
  • 2023年7月4日

ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』あらすじ・感想ー現代小説の傑作

死後80年近く経っているにもかかわらず、最近今まで以上に注目を集めている作家がいる。イギリスの女性作家、ヴァージニア・ウルフだ。 ウルフは「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分一人の部屋を持たねばならない」とした講演『自分ひとりの部屋』が有名でフェミニズム的な観点でも重要であり、またウルフはレズビアン小説も書き、自 […]

  • 2021年10月11日
  • 2022年10月17日

井伏鱒二『黒い雨』あらすじ・感想ー原爆の不条理さに翻弄される庶民

最近(2021年)「黒い雨訴訟」が話題となった。 「黒い雨」というのは、原爆投下後に降り注いだ、原爆投下時に生じた煤や放射性物質を含んだ、言葉通り黒色をした雨のことである。 つまり、原子爆弾によって直接被爆しなかった場合であっても、放射性物質を含む「黒い雨」を浴びてしまった人は、放射性物質に被曝し、健康被害が出ていたの […]

  • 2021年10月9日
  • 2022年9月14日

『若きウェルテルの悩み』でウェルテルはなぜ自殺したのか【あらすじ・感想】

「ウェルテル効果」という言葉がある。 有名人の自殺がマスメディアによって報道されると、それに影響されて自殺者が増える現象を表す言葉である。この名前は『若きウェルテルの悩み』の主人公ウェルテルにちなみ、この現象を実証した社会学者ディヴィッド・フィリップスによって名付けられた。 『若きウェルテルの悩み』は、1774年にドイ […]

  • 2021年10月7日
  • 2022年10月18日

文庫1冊以内! おすすめの日本文学の名作10選

このブログでは海外文学ばかり取り上げてきたが、日本文学も好きである。 以前海外文学のおすすめ10選を取り上げたので、せっかくなので対になるように日本文学のおすすめもしてみようと思う。 海外文学には、その地域特有の文学の魅力がある。しかし、日本文学も当然「日本の文学」であり、特有の魅力があるのである。 ここではおすすめの […]

  • 2021年10月6日
  • 2022年9月14日

「読んではいけない」本ーセリーヌ『夜の果てへの旅』【あらすじ・感想】

東京大学出版会から出ている『教養のためのブックガイド』という本があり、おもしろいのだが、その中で一番面白いのは「読んではいけない」本も挙げられていることである。 そのような「読んではいけない15冊」として挙げられているうちのひとつが、フランスの作家ルイ=フェルディナン・セリーヌによる『夜の果てへの旅』という小説である。 […]

  • 2021年9月21日
  • 2022年9月14日

クッツェー『恥辱』あらすじ・感想ー現実にどう向き合うか

都内の大学の教授が過去に教え子と性的関係を持ち、教え子から告発されたらしい。申し立てが事実なら、大学から追われることになるだろう。 ところで、「大学教授が学生に手を出して懲戒処分になる」ところから始まる小説といえば、ノーベル文学賞作家ジョン・マクスウェル・クッツェーによる『恥辱』である。 もっとも、この小説で「大学教授 […]

  • 2021年9月20日
  • 2022年9月14日

コンラッド『闇の奥』あらすじ・感想ー「文明」と「野蛮」の対立と親和

先日、日本語を母語としない台湾出身の李琴峰さんが、『彼岸花が咲く島』で第165回芥川賞を受賞した。母語以外での作家活動なんて私には想像もできないくらい大変だと思うが、基本的に日本語で読書をする一読者としては、李さんのような作家の活躍は非常に嬉しいことだと思う。 ところで母語以外で創作活動を行った作家は、海外では超有名作 […]

  • 2021年9月8日
  • 2022年9月14日

最良のノスタルジー小説は『回想のブライズヘッド』である【あらすじ・感想】

コロナ禍の現在では、友人と顔を合わせて語らい、共に旅行をした日々でさえ、もはやノスタルジーの対象となってしまった。 そんなノスタルジックな気分に浸ると思い出すのは、イギリスの作家イーヴリン・ウォーの『回想のブライズヘッド』という小説だ。 最良のーーなんて書くには私は寡聞すぎるが、少なくとも私が読んできた英文学の中では『 […]