- 2022年1月14日
- 2022年10月19日
『タタール人の砂漠』あらすじ・感想ー読むとしばらく立ち直れない本
人生とは、有限で、老いとともに色々な可能性を失っていくもので、短く、たいていの人は何かを成し遂げることさえできずに終幕を迎えるものである。 そのようなことをテーマにした世界文学の名作として、イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティの『タタール人の砂漠』という作品がある。 ディーノ・ブッツァーティは「イタリアのカフカ」と呼 […]
人生とは、有限で、老いとともに色々な可能性を失っていくもので、短く、たいていの人は何かを成し遂げることさえできずに終幕を迎えるものである。 そのようなことをテーマにした世界文学の名作として、イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティの『タタール人の砂漠』という作品がある。 ディーノ・ブッツァーティは「イタリアのカフカ」と呼 […]
『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(鈴木忠平著)を読んだ。 2004年から2011年シーズンに中日ドラゴンズを監督として率いた落合博満について、選手や球団関係者への聞き取りや当時スポーツ紙のドラゴンズ担当記者であった著者の回想を交えて、その軌跡を追ったノンフィクションである。 このノンフィクションを読み終 […]
司馬遼太郎の小説を原田眞人監督が映画化した映画『燃えよ剣』を観た。その後司馬遼太郎の原作『燃えよ剣』も読んだ。 まず、映画を観た感想としては、殺陣が見事である。 主演の岡田准一のアクションへのこだわりと、原田監督の「時代劇という伝統を絶やさない」という矜持を感じる。非常に見ごたえがある映画であった。映画を観終わって、こ […]
世の中には多く「傑作集」を銘打っている本があり、時たま納得できないものもあるが、イーヴリン・ウォーの『イーヴリン・ウォー傑作短篇集』(白水社エクス・リブリス・クラシックス)は、個人的には文句なしの「傑作短編集」だ。 このブログでは、これまでもいくつかイーヴリン・ウォーの長編は紹介してきたが、ウォーは短編の名手でもあるこ […]
プロ野球の日本ハムに、来季から新庄剛志が監督として就任することが決まった。 新庄剛志というと、メジャーリーグからの復帰先に日本ハムを選び、野球の実力もさることながら、華やかなパフォーマンスで注目を集めた選手である。エンターテイナーとして随一の才能を持っており、最近も現役復帰を目指して話題を呼んだ。 私も、日本ハム時代の […]
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』というと映画が有名だが、原作は『グレート・ギャツビー』で有名なアメリカの小説家フランシス・スコット・フィッツジェラルドの短編である。 ご存じの方も多いと思うが、「老人の姿で生まれて、歳を重ねるごとに若返っていく運命を背負ったベンジャミン・バトン」の物語である。 今回は、角川文庫の短編 […]
昨日レーモン・クノーの『地下鉄のザジ』の紹介をしたので、今回はクノーの『文体練習』という本について紹介しようと思う。 この本は、小説でもエッセイでもない。 ではどのような本なのかというと、この本は同じ内容の文章を、99通りの別の書き方で書いた、まさに「文体の教科書」なのである。 今回は『文体練習』について、具体的にこの […]
『地下鉄のザジ』というと映画が有名だが、原作はレイモン・クノーによる小説である。 以前から興味はあったが、ついこの間の2021年9月に『地下鉄のザジ』がの新版が中公文庫から出たことを知ったので、読んでみた。新版でも訳は以前と変わらず生田耕作のものだが、植草甚一の映画評と千野帽子の新版解説がつけられており、たぶん活字が大 […]
「面白いストーリー」と「面白い文学」は違う。 ーーということを最も強く実感するのは、中南米の小説を読んでいる時だ。 今回紹介するフアン・ルルフォの『ペドロ・パラモ』という小説は、ノーベル文学賞作家ガルシア・マルケスやバルガス=リョサをはじめとするラテンアメリカの作家たちに大きな影響を与えたといわれるような、ラテンアメリ […]
ドイツのノーベル文学賞受賞作家、ギュンター・グラス(1927~2015)の代表作に『ブリキの太鼓』という作品がある。 (映画化されているものも有名だが、この記事では原作の小説のみ取り扱う) 一行で解説すると、この小説は「主人公が生まれながらの超能力者で、三歳で自分の成長を止め、幼児の姿で激動の時代を生きる歴史小説」であ […]