スティング来日

【スティング来日 2025.9.14@有明アリーナ】3人体制「3.0」の感想《セットリストはThe Police & Stingソロの名曲》

2025年9月14日に、元The Policeのスティングの来日公演を見た

今回は「Sting3.0」という、The Police時代への原点回帰ともいえる3人体制のバンドでの来日だった。

Sting3.0がどのようなメンバーなのかというと、スティングのファンであれば名前を知っているだろうドミニク・ミラー(Dominic Miller。「Shape of My Heart」など数々のスティングのソロ曲を共作しているギタリスト)に加え、クリス・マース(Chris Maas)というドラマー、そしてベースとボーカルを務めるスティングの3人体制。スティングはいつか見に行きたいが、いつにしようか……スティングはまだまだ元気なのでこれからも来日してくれると思うが……などと考えてチケットを取るか少し悩んでいたが、発売されたSting3.0の音源がよかったこともあり、せっかくだからチケットをとって、見てきた。

ライブの率直な感想としては、年齢層が高かったせいか、観客が静かすぎた、というのはある。誰も席を立たないし。前回有明アリーナに行ったのはスティングより少しだけ若い(けれど若々しいかは微妙な)ニューオーダーのライブだったが、この時は観客は全員立っていたので、やや拍子抜けである。

しかし、今回のスティングのライブは座って落ち着いて聞くのにとても良かったと思う。この記事では、この公演を見てきた記録を残したい。

スティング来日公演
スティング来日公演 ©不眠の子守唄

Message in a Bottleでスタート

スティングが定刻通りに登場。72歳とは思えないほどパワフルである。

ライブ冒頭の定番曲。今回の来日公演も「Message in a Bottle」から始まるだろうと予想していたが、予想通り。

スティング登場
スティングが登場 ©不眠の子守唄

1979年のThe Policeの代表作(邦題:孤独のメッセージ)で、印象的なギターリフはもちろん、サビも盛り上がるポイント。

I’ll send an SOS to the world

の部分では、ちゃんと観客が合唱していた。

新曲も披露

2曲目は「I Wrote Your Name(Upon My Heart)」。スティングの新曲。完全にノーマークだったので反省……。

3曲目は「If I Ever Lose My Faith in You」。1993年のソロアルバム『Ten Summoner’s Tales』の1曲目。この辺は落ち着いて

4曲目は「Englishman in New York」。Stingのソロ曲の中でおそらく2番目に有名な曲だろう。

1987年の『…Nothing Like the Sun』からの代表作。レゲエ風のリズムにジャズ風のサウンドと、Stingらしさ全開の曲で、ライブでは「Wow」という掛け声で盛り上がった。

ドミニク・ミラーの超絶技巧

そして5曲目は、「Every Little Thing She Does Is Magic」

1981年のポリスの名曲である。原曲は木琴(おそらく)が印象的な曲で、3人体制でどうやって演奏するんだろうと不思議に思っていたが、ドミニク・ミラーが超絶技巧で一人であらゆる伴奏を演奏しきっていた。とはいえちょっと一人で演奏するのには無理があるような気もしたかな……。

かなり好きな曲なので、生で聞けたのは嬉しかったけれど、「Sting 3.0」という体制に合う曲だったかはやや疑問は残る。しかし、ここまで大変そうなドミニク・ミラーを見れるのはこの曲だけだろうし、その意味では本当に貴重なものを聴いた。もしかしたら、大変だからゆえに演奏したいのかもしれない。

今回のライブは3人体制ということもあり、ドミニク・ミラーのギターの技術が光った。ドラムのクリス・マースも良かったけれど。そしてスティングのベーシストとしての上手さももちろん生で体感することができた。

今回の「スティング3.0」は、ライブというよりはコンサートという感じはあり、それぞれの楽器とボーカルを堪能するという感じだった。ライブハウスに行きなれている人間としてはちょっと不完全燃焼感もあったのは否めないけれど、やはり音楽体験としては極上のものだった。

ドミニク・ミラーとスティング
ドミニク・ミラーとスティング ©不眠の子守唄

6曲目は「Fields of Gold」。スティングの曲の中で最も美しいバラード。みんな聞き入っていた。

7曲目は「Never Coming Home」

この曲は特にドミニク・ミラーのギターがフューチャーされた。イントロを一人で演奏しきった(原曲だとなんの楽器なんだろう?動画参照)のは、観客からも「おおー」という声が上がるほど。映像もドミニク・ミラーの指をずっと映していた。

アルバムバージョンではピアノソロなども印象的で、多くの楽器を使用している印象のある曲だが、それをギター1本でアレンジということで実は「Sting3.0」の真骨頂といえる曲の一つだったと思う。これは本当に聞いてよかった。

8曲目は「Mad About You」。1991年の『The Soul Cages』からの楽曲で、エキゾチックなギターがたまらない。

9曲目は「Wrapped Around Your Finger」

The Policeのラストアルバムにして最高傑作『Synchronicity』からの1曲。CGのない時代に何百本も立てられた蝋燭を使ったちょっと不可思議なMVもこの曲の魅力だが、蝋燭をイメージした映像が流れる。

10曲目は「Fortress Around Your Heart」。演奏を予想していなかった曲だった……。

ところで今回のスティングの来日前にはデーブ・スペクターが「Russians」について聞いたり、日本の運営が作ったプレイリストの含まれていたり、謎の「Russians推し」があったので、日本で演奏されるのかな……と思っていたが、結局演奏されず。日本側スタッフに「Russians推し」がいただけだったのだろうか。今回の来日の疑問の一つ。

11曲目は「Driven to Tears」

12曲目は「A Thousand Years」。演奏を予想できていなかった曲(3曲目)。

13曲目は「Can’t Stand Losing You」

The Policeの初期の代表作で、みんな歌える曲。

本命、Shape of My Heartを聴く

14曲目は「Shape of My Heart」

1993年の『Ten Summoner’s Tales』からの代表作で、映画『レオン』の主題歌としても知られる。この曲がスティングのソロでは最も有名な曲だというのは、スティングファンもほぼ全員が認めるところだろう。

クラシカルギターの息をのむほど美しいリフは、今回来日するギタリストのドミニク・ミラーによるもの。スティングとドミニク・ミラーの合作であり、今回の「Sting3.0」による演奏は、まさに本家本元の演奏といえる。今回、私がこのライブに行こうと思ったのも、やはり「Shape of My Heart」がこの座組で演奏されたのを聴いたことは、一生の思い出になると思ったからである。

よく聞き取れなかったが、この曲の演奏前にスティングによる観客へのドミニク・ミラーの紹介があった。そしてイントロが流れたときには感動した。

15曲目は「Walking on the Moon」。ポリスの2ndアルバム『Reggatta de Blanc』からの代表曲。この曲もポリスを代表する名曲なのだが、「Shape of My Heart」の後だったせいであまり覚えていない。もったいないことをした。

16曲目は「So Lonely」。これもポリス初期の代表作で、1978年の『Outlandos d’Amour』に収録。

サビの「So Lonely」で観客は合唱。

話が横に逸れてしまうが、日本人としてのこの曲の注目ポイントは、日本で撮影されたミュージックビデオ。週刊文春の中づり広告が映し出されていたり(都営浅草線内でゲリラ撮影されたようである)、一部上海の景色も混在しているが、1980年代の日本を映した資料としても面白いのでぜひ見てほしい。

17曲目は「Desert Rose」

1999年のソロアルバム『Brand New Day』からの楽曲で、「砂漠の薔薇」というタイトルの通り中東音楽の要素を取り入れた実験的な作品。スタジオ音源では異国情緒溢れる楽器の音色が印象的だが、3人体制でもドミニク・ミラーが超絶技巧で演奏しきる。。

18曲目は「King of Pain」

ポリスの『Synchronicity』からの名曲。「I’ll always be king of pain」で合唱。

「Every Breath You Take」でメインセットは終了

19曲目は「Every Breath You Take」

見つめていたい
「目」の映像が流れる ©不眠の子守唄

人類が作った曲の中でも最も偉大な曲の一つ

このライブには、「Shape of My Heart」とこの曲を聴くために来たといっても過言ではない。最高に盛り上がるなか、メインセットは、この曲で終わり

アンコール「Roxanne」「Fragile」

間髪を入れずにアンコール開始。

アンコールの1曲目には予想通り、The Policeの代表作で、1978年のデビューアルバム『Outlandos d’Amour』に収録された「Roxanne」

「ロクサーヌ!」の大合唱。

そして最後、20曲目となったのは「Fragile」

1987年のソロアルバム『…Nothing Like the Sun』に収録されたバラード。タイトル通り繊細で美しいメロディーが印象的な楽曲だ。

ライブでは最後の曲として定番の曲。今回も、この曲が最後の曲になった。

おわりに

各局の感想は以上の通りで、やはりポリスとスティングの名曲の数々をじっくり聞くことができたのは良かった。

重ねて書くように、今回のスティングのライブは、3人体制ということもあり、スティングを見に行ったというのはもちろん、ドミニク・ミラーのギターを聴きに行ったという面もとても大きかった。私はギターを弾くことはできないのだが、ギターに詳しい人であれば、さらに楽しめたのではないかと思う。

▼興味のある方はSting3.0のCDもぜひ

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