ABBA(アバ)が再結成するらしいと聞いたのは、もう3年前のことか。いったいいつになったら新曲がリリースされるのかと思っていたが、先日ついに配信された。新作を聞いたところ、めちゃくちゃABBAでびっくりしてしまった。
もちろん私の年齢ではアバの活躍はリアルタイムでは知らないのだが、両親が車の中でかけていたり、英語の勉強がてら聞いていたりしたので、思い入れのあるアーティストである。
そんな彼ら彼女らの復活を記念し、個人的にオリジナルアルバムのランキングを書かせていただきたいと思う。
「オリジナルアルバムなんて興味ないので、ベストアルバムが聴きたい」という方は、とりあえず一番有名なベスト盤である『アバ・ゴールド』を聴けばいいと思うが、実は個人的に『アバ・ゴールド』は主に曲順などの理由でそこまで好きでない(ひねくれものに思われそうだが、『アバ・ゴールドⅡ』の方がアルバムとしては好きである)。
というわけで、ここに紹介するようなオリジナルアルバムも多くの人に聞いてもらいたいと思うのだ。
ABBAのおすすめアルバムランキング
さて、いきなりおすすめランキングを発表すると以下の通りである。
1.The Album(ジ・アルバム)
2.Arrival(アライヴァル)
3.Super Trouper(スーパー・トゥルーパー)
4.The Visitors(ザ・ヴィジターズ)
5.Voulez-Vous(ヴーレ・ヴー)
6.ABBA(アバ)
7.Waterloo(恋のウォータールー)
8.Ring Ring(リング・リング)
ただ、ABBAのオリジナルアルバムは、意外と優劣がつけがたい。
それは悪く言えば内容が似通っていると言えるのかもしれないが、良く言えばどれもクオリティが高く安定しているのである。
以下は、アバのアルバムをおすすめ順に紹介していきたい。
1.The Album
一番に推すのは『The Album』(1977年)。ABBAの5枚目のオリジナルアルバム。
アルバムの出来としては、個人的には疑いなく最高傑作だと思う。
たいていの音楽ファンが「オリジナルアルバムを聴け」とうるさいのは、オリジナルアルバムは一つの作品として作られているからだ。
このアルバムは、ABBAのアルバムの中で最も「全体観」を重視して作られている。冒頭曲の「Eagle」のややエキゾチックな雰囲気に引き込まれ、両曲の数々が続き、最後はメドレーで終わる。ビートルズの『Abbey Road』を想起するほどの優れたポップアルバムである。
ただ、『The Album』はトータルの作品としては一番優れたアルバムだとは思うものの、いわゆる「超有名曲」は入っていないので、その辺を物足りないと思う方は次に挙げる『Arrival』の方がいいかもしれない。『The Album』収録で一番有名な曲は「Thank You for the Music」か「Take a Chance on Me」だろうか。
このアルバムから一曲聴いてほしい曲を挙げるとすれば、先にも述べた冒頭曲の「Eagle」。この曲が気に入ったらぜひアルバム全体を。
2.Arrival
2番目におすすめなのは『Arrival』(1976年)。
ABBAはこのアルバムで自分たちのサウンドを完成させ、世界中での人気を確立させた。ポップミュージックの金字塔的な作品。
曲としては「Dancing Queen」があまりに有名すぎるが、同じくらい有名な「Money, Money, Money」もこのアルバムに収録されている。また、個人的には「Dancing Queen」よりも良い曲だと思う曲ような曲も多く収録されており、まさに捨て曲がないアルバム。
いわゆる「アバサウンド」が好きなら、ぜひアルバム全体を聴いてほしい。
3.Super Trouper
3番目に推したいのは7枚目のオリジナルアルバム『Super Trouper』(1980年)。
ABBAはもともと二組の夫婦(妻アグネッタと夫ビョルン、妻フリーダと夫ベニー)のグループだったが、両夫婦は次第に不和となり、本アルバムのリリース前にはアグネッタとビョルンが離婚する。
ABBAのメロディには元々どこか北欧特有なのかもしれない「陰」があったが、本作からはその傾向がさらに強まり、歌詞も愁いを帯びるようになる。グループが次第に終わりに向かっていくことを感じるアルバムではあるが、決してクオリティが下がっているわけではない。
先に挙げた『Arrival』や「Dancing Queen」が明るすぎると思うような人でも、このアルバムは楽しめるはず。
このアルバムには好きな曲はたくさんあるけれど、あえて一番を決めるとしたら「The Winner Takes It All」。
4.The Visitors
次に推したいのは『The Visitors』(1981年)。再結成前のABBAのラストアルバム。
前作『Super Trouper』の暗さとポップのバランスに比べると、やや本作では暗さの比重が増している。優劣つけがたいものの、個人的には前作に軍配を上げた。
コメントとしては前作と似たようなものになってしまうが、本作のリリース前にはフリーダとベニーが離婚しており、ABBAの中に夫婦は完全になくなっている。
明るいポップが好きな方は、後期ABBAではなく前期ABBAのアルバムを聴くのをおすすめする。
このアルバムには少し翳はあるものの、音楽の幅という意味では本作『The Visitors』に勝るアルバムはない。
『The Visitors』に好きな曲は色々あるのだが、ここではレゲエ風の「One of Us」を紹介しておく。でも、『The Visitors』の本領は「One of Us」のようなポップ寄りの曲よりも表題曲「The Visitors」のような、ちょっと暗い捻くれた感じのある曲だと思う。
5.Voulez-Vouz
次に推したいのは、ABBAのオリジナルアルバム6作目である『Voulez-Vouz』(ヴーレ・ヴー、1979年)。
個人的には非常に好きなアルバムなのだが、ABBAが本格的にディスコに挑戦した唯一のアルバムであり、やや他のアルバムとは趣向が異なる。そのため、古参のファンからは毀誉褒貶が激しいアルバムだとか。
私としてもABBAの本流とはちょっと違うとは思うが、やはりただのディスコではなくて、ABBA流のディスコになっている。
表題曲「Voulez-Vouz」は、カバーされているのを商業施設とかでよく聞く。
発売当初の『Voulez-Vouz』には収録されていない曲だが、個人的には「Summer Night City」が一番好きな曲(現在入手できるCDは大抵『Voulez-Vouz + 8』として収録されているはず)。オリジナルではこの曲が収録されていないというのも、このアルバムの評価を下げた一つの理由。
ただ、ビョルンとベニーは、この曲のことは好きでなかったらしい。歴史に残るレベルで凄い曲だと思うんだけどなあ……。彼らの中にはディスコブームに迎合したという感覚があったのだろうか。
もしこの曲が気に入ったなら、アルバム『Voulez Vouz』の全体を聴いてみてほしい。
6.ABBA
6番目に推すのはABBAの3枚目のオリジナルアルバム『ABBA』(1975年)。
次作『Arrival』に比べると、まだ未熟さを感じるアルバムかもしれない。というわけで、このランキングの6番目以降のおすすめは、ABBAの3作目、2作目、1作目となっている。
ただ、どのアルバムにも超有名曲が含まれているのはABBAのすごいところである。
このアルバムには「Mamma Mia」や「SOS」、「I Do, I Do, I Do, I Do, I Do」などが収録されている。老若男女問わず親しまれる楽曲という意味では、後期の作品に勝るとも劣らない。
ここでは「SOS」を紹介する。
7.Waterloo
ABBAの2枚目のアルバム。「Waterloo」や「Honey, Honey」などが収録されている。
最初に述べたのと言を翻すようだが、「Waterloo」や「Honey, Honey」が好きという場合は、とりあえずベストアルバムを聴いてみるのでもいいかもしれない。
『Waterloo』もいいアルバムではあるのだが、まだまだ発展途上であり、アルバム全体の出来は他の作品に比べると決して優れているとは言えない。
「こんな曲も作っていたのか」という発見はあるので、ABBAにけっこう詳しくなった人向きのアルバムだろう。
8.Ring Ring
ABBAの初のアルバム。次作『Waterloo』同様、ABBAらしからぬロックのような曲もあり、それはそれで面白いのだが、どうしてもマニア向けにはならざるを得ないか。
「Ring Ring」は両曲。
番外.Voyage
ランキングには入れませんでしたが、記念すべき新作『Voyage』(ボヤージ/ヴォヤージ)もご紹介。
まだ先行配信されている2曲しか聞いていませんが、間違いなくファンなら買って損はなさそうな気がします。楽しみですね!
2021年11月5日追記:
ついに配信されました! さすがに『The Album』などのアルバムには及ばないかもしれませんが、申し分ないアルバムだと思います。どれも聴いたらABBAとわかる曲で、ずっとABBAの復活を待ち望んでいた人は感涙ものではないでしょうか。
個人的には、先行配信もされていた「I Still Have A Faith In You」が一番好みでした。
おわりに
ABBAというと「Dancing Queen」など曲単体でのイメージしかない人も多いかもしれないが、特に後期にはアルバムとして優れた作品が多いということをわかっていただけたかと思う。
ABBAに興味を持った方は、ぜひ上で紹介したようなオリジナルアルバムを聴いてみてほしい。
とはいえ、多くの人が求めているのはベスト版だとは思う。
ABBAのベスト盤を買うなら『アバ・ゴールド』が間違いなく入手しやすく、内容も悪くない。ただ前述の通り、個人的には『アバ・ゴールド2』(アバ・シルバー、モア・アバ・ゴールド)の方が好きなので、できたらこちらも一緒に買っていただきたいな……と思う。
▼個人的には『Gold』よりもこのベストアルバムが好きなんですが、『Gold』より入手しにくいみたいですね……