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【究極のロックバンド】R.E.M.の名曲15選《おすすめランキング》

このブログではかなりイギリスのバンドについて紹介してきたが、私がアメリカのバンドで一番好きなのはR.E.M.というバンドである。

これからR.E.M.を聞いてみたいという方には以下に紹介するおすすめ曲を聴いてみてほしいし、R.E.M.のファンの方は、筆者の好みをなんとなく感じ取ってほしい。

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アメリカのロックバンドで私が一番好きなバンドは、R.E.M.というバンドである。1980年代から90年代にかけて、世界のトップに君臨していたバンドである。日本では「世界を代表するロックバンド」というような扱いはあまり受けていないかも[…]

15. ホワッツ・ザ・フリークエンシー、ケネス

1994年のアルバム『Monster』の一曲目を飾るこの曲。 芸術的でアコースティック多めの前作『Automatic for the People』の次にリリースされたこのアルバムのリードシングルは、原点回帰ともいえる荒々しいロック。

タイトルの和訳は「周波数はなんだ、ケネス?」。 意味がわからないタイトルだが、1986年にダン・ラザーという著名なニュースキャスターが「Kenneth, what is the frequency?」と質問を繰り返す男に襲撃された事件をモチーフにしている。

この曲のリリース当初は未解決事件だったが、実は1997年に、テレビ局のスタッフを殺害した男が犯人だったことが判明している(この男はテレビ局が自身の脳に信号を送っていると思い込んでいた。 のちに殺人を犯すことになる人間のセリフだと知ると微妙な気持ちになるが……)。

14. サイドワインダー・スリープ・トナイト

『Automatic for the People』の3曲目。 このアルバムの中では最も陽気な曲。

R.E.M.の曲は詩的な歌詞が高く評価される一方で、歌詞を聞き取るのが非常に難しく何を言っているのかわからないと評される(またバンド初期は作品に歌詞カードをつけていなかったことでも知られる)。

この曲は何を言っているのか分からない最たる例で、サビの”Call me when you try to wake her up” (彼女を起こそうとしたら電話して)は、ネイティブでも聞き取れないらしく、英語版のWikipediaには”The most misheard lyric in the UK”(イギリスで最も聞き間違えられた曲)と書いてある。

「The Sidewinder Sleeps Tonite」は人気曲でありながら、一度もライブで披露されたことがないらしいのは、あまりにも歌いにくいからではないかと邪推したくなる(この曲と並んで『Automatic for the People』の中でポップな曲調の「Ignoreland」も長らくライブで演奏されてこなかったが、バンド晩年の2008年に披露されているらしい)

13. I’ll Take the Rain

2001年の12thアルバム『Reveal』の11曲目。このアルバムからシングルカットされた3曲目の曲である。

アルバム『Reveal』はバンド後期の作品で、この曲のように物哀しさを感じる曲が多い。そのためか特に海外のランキングだとあまり人気がなく、最下位になっていることも多いのだが、個人的にはとても好きなアルバムである。

この曲も、曲自体も歌詞も好きである。

I used to think as birds take wing
They sing through life so why can’t we?

鳥が飛び立つとき よく考えたっけ
彼らは一生歌って暮らす 僕たちもそうしたらいいじゃないかって

(国内盤歌詞カードより)

が、それに加えてこの曲に個人的に思い入れがあるのは、シングルのアートワークは奈良美智が手掛けており、さらにMVも奈良美智が描いた犬が主人公であること。

12. Shiny Happy People

街中で一番流れているR.E.M.の曲はどれかというと、おそらくこの曲ではないかと思う。居酒屋などでもよく耳にする機会があるが、80年代のヒット曲を流す有線で割と頻繁に流れているということだと思う。

とはいえ、この曲はR.E.Mらしくない、言葉を選ばずに言えばバカっぽい曲である。R.E.M.の代表曲が「Shiny Happy People」かというとそうとはあまり言えないのだが、しかしただバカっぽい曲かというとそうではない。

R.E.M.の曲の魅力に、メインボーカルのマイケル・スタイプとベースでバッキングボーカルのマイク・ミルズのハーモニーがあると思うのだが、この曲ではこの2人に加えて、B-52’sのケイト・ピアソンがゲストボーカルを務めており(ミュージックビデオにも登場している)、サビでは3人の歌声を交互に聞くことができる。この曲はR.E.M.らしくない曲ではあるが、よく知られた曲であることは間違いなく、R.E.M.というバンドの良さが十分に伝わる名曲である。『Out of Time』収録。

11. Bad Day

この曲はナンバリングされたスタジオアルバムに収録された曲ではなく、2003年に発売されたコンピレーション・アルバム『In Time: The Best of R.E.M. 1988–2003』に収録された曲。(ちなみに、このコンピレーションアルバムには、ヒット曲であるのにもかかわらず前述の「Shiny Happy People」は収録されなかった)

もともとは未発表曲で、1986年に書かれていた。その時は、カメラレンズを突き付けられた時のメディアへの反発や、レーガン大統領への批判が込められていたらしい。だが、この曲は良くも悪くも普遍性を持っていたため、2003年に発表されることになったということらしい。

「この曲を書き始めたのは1986年で、2003年に書き終えた。悲しいことに、その間、何も変わっていないんだ」(マイケル・スタイプ)

立ち位置的にはボーナストラックのような曲だが、決しておまけの曲ではなく、

It’s been a bad day please don’t take a picture

イヤな一日だったんだ どうか写真なんて撮らないでくれ

というサビは歌詞もメロディーも含め、R.E.M.の曲の中でもトップクラスに歌いたくなるサビである。

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10. Radio Free Europe

R.E.M.のデビュー・シングル。彼らはジョージア州のHib-Toneという無名のレーベルから、この曲を出してデビューした。

このシングルが評判を呼んで、レコード契約を獲得。1983年のデビューアルバム『Murmur』では、この曲「Radio Free Europe」を再録音し、アルバムの1曲目をかざっている。(ちなみにデビュー時の音源も聞くことができる)。

R.E.M.はいきなりメインストリームで人気を得たわけではなく、大学内のカレッジ・ラジオで人気を博して、徐々に世界的な人気を得ていったバンドだが、この曲からは若さがほとばしっている。

昔からのファンには順位が低すぎると怒られるかもしれないが、他にも名曲があまりにも多いので早めに紹介してしまった。

9. The Great Beyond

R.E.M.が、1999年の映画「マン・オン・ザ・ムーン」のために書いた曲。(「マン・オン・ザ・ムーン」については後述)

この曲もコンピレーション・アルバム『In Time: The Best of R.E.M. 1988–2003』に収録されている。

I’ve watched the stars fall silent from your eyes

君の瞳から静かに星が落ちるのが見えた

から始まる歌詞も、サビもいい。

8. It’s the End of the World as We Know It (And I Feel Fine)

1987年の5枚目のアルバム『Document』の6曲目(つまりレコードではA面の最後の曲)。

軽快なドラムから始まり、ラップかのように捲くしたてるマイケル・スタイプのボーカルが続くが、サビのメロディーはとても綺麗。

でもサビの歌詞も普通ではなくて、

It’s the end of the world as we know it
And I feel fine

知っての通り世界の終わりだ そしていい気分さ

と捻くれている。R.E.M.らしい、サビを合唱したい名曲。

7. Imitation of Life

2001年のアルバム『Reveal』からのファーストシングルで、日本でもスマッシュヒットした。奈良美智がアートワークを手掛けた「I’ll Take the Rain」同様、もの悲しさがどこか日本人好みなのかもしれない。

インターネット上の情報だが、R.E.M.の最後の日本公演では、マイケル・スタイプがMCで「日本のラジオで1位になったんだ」と嬉しげに語っていたらしい。

R.E.M.は、村上春樹が長年最も好きだった(同時代の)ロックバンドであるということでも知られているが、この曲は村上春樹が『村上ソングス』という本の中で和訳している。歌詞はぜひ村上春樹訳も見てみてほしい。

6. Nightswimming

R.E.M.の最高傑作『Automatic for the People』の11曲目。

『Automatic for the People』はニルヴァーナのカート・コバーン(コベイン)が自殺した時に聞いていたレコードとしても知られているアルバムだが、かなり死をテーマにしたアルバムである(例外が「The Sidewinder Sleeps Tonite」)。この曲はそのアルバムの最後から2番目を飾るに相応しい、陰鬱だが、とても美しい曲だと思う。

『Automatic for the People』の最後の曲は「Find the River」という曲だが、このアルバム終盤の流れは非常に素晴らしい。

5. The One I love

5作目のスタジオアルバム『Document』の7曲目(つまりレコードだとB面の最初の曲)。

実は非常にシンプルな歌詞で、(厳密にはちょっと違うが)たった5行の歌詞しかない。「Fire」と叫ぶボーカルも、リフレインもドラムも素晴らしく、シンプルなロックの素晴らしさ感じる曲だ。しかしーー

実はこの曲、歌詞が曰く付きなのである。

This one goes out to the one I love

という歌詞は直訳すれば「これは愛する人に贈る」と、この曲もラブソングに思えるが、その次の

A simple prop to occupy my time

という歌詞(直訳すると「俺の時間を占有する、ちょっとした小道具」)は、“恋人”とは矛盾する。では、「Fire」という歌詞は何を意味するのか…… ラブソングのように見えるが、実は二重の意味がある怖い曲なのである。

4. Everybody Hurts

『Automatic for the People』の4曲目。

タイトルを和訳すると「みんな傷付いている」となるように、ひねくれた歌詞も多いR.E.M.の作品の中で、素直に励まし・癒しの曲として受け取ることができる曲。悲しげな曲だが、海外では多くの人々の「人生を救った曲」としても知られている。

R.E.M.は権力に(特に共和党に)批判的なバンドだが、ドナルド・トランプがこの曲を大統領選で使用した時には、当然バンドは激怒した(その後トランプはEverybody Hurtsを無断使用した動画を削除した)。権力側がいいように自分たちの曲を使うな、と。

3. Orange Crush

5枚目のスタジオアルバム『Green』の7曲目、つまりレコードだとB面の一番最初の曲。

楽器をかきならすイントロが素晴らしく、ここではライブ動画(アルバム『R.E.M. LIVE』に収録されている音源)を紹介したい。メガホンを振り回すマイケル・スタイプも印象的である。

歌詞はかなり政治的であり、ベトナム戦争で使用された枯葉剤「Agent Orange」がモチーフ。『Green』のアルバムアートワークも、枯葉剤を想起させるデザインになっている。

2. Man on the Moon

これも『Automatic for the People』からの曲。このランキングを見た方はR.E.M.に名盤は一枚しかないのかと勘違いされてしまいそうだが、そんなことはない。このアルバムが素晴らしすぎるだけで……。

この曲はアンディ・カウフマンという1984年に亡くなったコメディアンを描いている。カウフマンはかなり悪趣味なコメディアンだったので、彼が35歳で肺がんで亡くなったというニュースが出た時も、少なくない数の人々がカウフマンの悪い冗談だと捉え、実際にはカウフマンは死んでいないと思ったようだ。

Man on the moonというタイトルはカウフマンとは無関係にも思えるが、月面着陸の陰謀論(実際には月面に人は着陸していない)と、カウフマンの死についての社会の受け止めを重ねている。

そもそもメロディが美しい名曲であることに加え、アルバムでの次の「Nightswimming」への流れや、「The Great Beyond」との対応などが素晴らしく、バンドの代表作といえる。1999年にはこの曲をもとに、アンディ・カウフマンを取り上げた『マン・オン・ザ・ムーン』という映画が作られており、この映画のサウンドトラックはR.E.M.が手掛けている(このサウンドトラックはサブスクでは記事投稿日現在、聞くことができない)。

1. Losing My Religion

ベタだが、やはりR.E.M.の一番の名曲というと、この曲になると思う。YouTubeでは10億回以上再生されている、名実ともにバンドで一番人気の高い曲である。

タイトルは直訳すると「宗教を失う」となるので、発表当初は一種冒涜的な曲という受け止められ方もしたようだが、「losing my religion」というのはアメリカ南部の諺で、平静を失う・希望を失うくらいの意味合いらしい。それで何を歌っているのかというと、いろいろな解釈がされる曲だが……

7枚目のアルバム『Out of Time』からのファーストシングルで、マンドリンが特徴的なこの曲のヒットはバンドにとっても予想以上だったようだが、この曲のヒットによりセールス面でもR.E.M.というバンドは一躍世界のトップに躍り出た。

おわりに

R.E.M.は2024年「ロックの殿堂」入りをする際に、およそ30年ぶりに4人のオリジナルメンバーが集結した。(※R.E.M.の解散は2011年だが、ドラムのビル・ベリーは健康上の理由で1997年に脱退している)

ここでも再結成の可能性はないと明言されていたが、オリジナルメンバーが全員存命で関係性も悪くないのだから(むしろ距離があるから関係性が悪くないのかもしれないが)、再結成してくれないかな……と思う。R.E.M.が再結成するなら、アメリカにも行ってでも見たい。

そんな僅かな期待をしながら、これからもR.E.M.の名曲を聴いていきたい。

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