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小説

  • 2021年10月29日
  • 2022年10月19日

ギュンター・グラス『ブリキの太鼓』あらすじ・感想ー子どものままでいることの罪

ドイツのノーベル文学賞受賞作家、ギュンター・グラス(1927~2015)の代表作に『ブリキの太鼓』という作品がある。 (映画化されているものも有名だが、この記事では原作の小説のみ取り扱う) 一行で解説すると、この小説は「主人公が生まれながらの超能力者で、三歳で自分の成長を止め、幼児の姿で激動の時代を生きる歴史小説」であ […]

  • 2021年10月21日
  • 2022年10月19日

チェーホフ『ワーニャ伯父さん』あらすじ・感想ー絶望の中で生きるということ

先日、映画『ドライブ・マイ・カー』を観た。この映画の中で重要なモチーフとなっているのが、チェーホフの戯曲『ワーニャ伯父さん』であるが、この作品の内容が気になったので積読していたこの本を読んでみた。 今回は、『ドライブ・マイ・カー』で言及された点を重視しながら、『ワーニャ伯父さん』のあらすじや感想について書いてみようと思 […]

  • 2021年10月19日
  • 2022年10月17日

映画『ドライブ・マイ・カー』と、村上春樹の原作との違いと【感想】

映画『ドライブ・マイ・カー』を観たので、今更ながら感想を書こうと思う。 この映画は、村上春樹の短編集『女のいない男たち』に所収されている短編「ドライブ・マイ・カー」を原作とする、濱口竜介監督による映画である。カンヌ国際映画祭で脚本賞も受賞した。 上映時間が180分近い大作なのだが、まったく飽きることのない映画であった。 […]

  • 2021年10月15日
  • 2022年10月17日

ジーン・リース『サルガッソーの広い海』あらすじ・感想ー名作と植民地の暗部

「世界で最も評価されている二次創作」は、もしかするとジーン・リースの『サルガッソーの広い海』という小説かも知れない。 モダン・ライブラリーの「Modern Library 100 Best Novels」にも選ばれているこの小説は、シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』の前日譚を「現代的な立場」から描いた小説である […]

  • 2021年10月14日
  • 2022年9月14日

英国流のブラックユーモア小説ーイーヴリン・ウォー『大転落』【あらすじ・感想】

イーヴリン・ウォーという小説家は、日本ではそこまで有名ではないかもしれないが、イギリスでは『情事の終り』などで知られるグレアム・グリーンと双璧とされるカトリック作家であるという。 過去にこのブログでも紹介したウォーの代表作『回想のブライズヘッド』は、過ぎ去った時代へのノスタルジーを主題とした小説だが、カトリック的な価値 […]

  • 2021年10月13日
  • 2023年7月4日

ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』あらすじ・感想ー現代小説の傑作

死後80年近く経っているにもかかわらず、最近今まで以上に注目を集めている作家がいる。イギリスの女性作家、ヴァージニア・ウルフだ。 ウルフは「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分一人の部屋を持たねばならない」とした講演『自分ひとりの部屋』が有名でフェミニズム的な観点でも重要であり、またウルフはレズビアン小説も書き、自 […]

  • 2021年10月11日
  • 2022年10月17日

井伏鱒二『黒い雨』あらすじ・感想ー原爆の不条理さに翻弄される庶民

最近(2021年)「黒い雨訴訟」が話題となった。 「黒い雨」というのは、原爆投下後に降り注いだ、原爆投下時に生じた煤や放射性物質を含んだ、言葉通り黒色をした雨のことである。 つまり、原子爆弾によって直接被爆しなかった場合であっても、放射性物質を含む「黒い雨」を浴びてしまった人は、放射性物質に被曝し、健康被害が出ていたの […]

  • 2021年10月6日
  • 2022年9月14日

「読んではいけない」本ーセリーヌ『夜の果てへの旅』【あらすじ・感想】

東京大学出版会から出ている『教養のためのブックガイド』という本があり、おもしろいのだが、その中で一番面白いのは「読んではいけない」本も挙げられていることである。 そのような「読んではいけない15冊」として挙げられているうちのひとつが、フランスの作家ルイ=フェルディナン・セリーヌによる『夜の果てへの旅』という小説である。 […]

  • 2021年9月21日
  • 2022年9月14日

クッツェー『恥辱』あらすじ・感想ー現実にどう向き合うか

都内の大学の教授が過去に教え子と性的関係を持ち、教え子から告発されたらしい。申し立てが事実なら、大学から追われることになるだろう。 ところで、「大学教授が学生に手を出して懲戒処分になる」ところから始まる小説といえば、ノーベル文学賞作家ジョン・マクスウェル・クッツェーによる『恥辱』である。 もっとも、この小説で「大学教授 […]

  • 2021年9月20日
  • 2022年9月14日

コンラッド『闇の奥』あらすじ・感想ー「文明」と「野蛮」の対立と親和

先日、日本語を母語としない台湾出身の李琴峰さんが、『彼岸花が咲く島』で第165回芥川賞を受賞した。母語以外での作家活動なんて私には想像もできないくらい大変だと思うが、基本的に日本語で読書をする一読者としては、李さんのような作家の活躍は非常に嬉しいことだと思う。 ところで母語以外で創作活動を行った作家は、海外では超有名作 […]