登録している人も増えてきたのではないかと思うが、Kindle UnlimitedというAmazonの電子書籍の定額読み放題サービスは、意外と多くの古典的名作を読むことができる(旧訳が読み放題のラインナップに入っている場合も多い。新しい訳を読みたい方は注意)。
今回は、個人的メモも兼ねて、今回はKindle Unlimitedで読める英米文学、特にイギリス文学の古典的名作をだいたい25作品くらい集めました。(アメリカ編はこちら)
気軽に有名どころのイギリス文学を読んでみたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
※ラインナップには変動があるので、この記事は順次更新していますが、今後ラインナップから外れている可能性もあります。そのため、実際にKindle Unlimitedで読んでみようという場合には商品ページを確かめるか、AmazonのKindle Unlimitedで読める文芸作品の一覧画面などとりあえず確認してみてください。
チャールズ・ディケンズ
まずはイギリス・ヴィクトリア朝時代を代表する小説家であるチャールズ・ディケンズの作品のうち、読み放題で読める作品をご紹介。
『クリスマス・キャロル』
エミリー・ブロンテ
エミリー・ブロンテは夭逝したため、生涯で長編小説は『嵐が丘』しか残しませんでしたが、『嵐が丘』は海外文学ランキングなどで、女性作家の作品としては一番評価されていることもしばしばあります。
『嵐が丘』
レーベル:グーテンベルク21
究極の「愛と憎しみの物語」。語り手がコロコロ入れ替わるのには読む際に注意が必要(最初の登場人物紹介で「語り手」とされている人物が冒頭における語り手でない、などという罠もある)だが、構成の複雑さは現代においても文学的に高く評価されている理由でもある。『世界の十大小説』の一つ。
オスカー・ワイルド
オスカー・ワイルドは「耽美主義」の代表的な作家・詩人であるとともに、心温まる話も残している。
同性愛の罪(当時のイギリスではそうだった)で収監された獄中で亡くなった、などといったエピソードも有名な、19世紀末の耽美的な世紀末文学の旗手。
『ドリアン・グレイの肖像』
言わずと知れたワイルドの代表作も、旧訳は読み放題対象になっている。
『サロメ』
新約聖書に登場する、悪女「サロメ」を描いた戯曲。彼女は、イエス・キリストに洗礼を与えた預言者ヨハネの「首」を欲しがります。
戯曲ということもあって、非常に猟奇的かつ耽美的な視覚表現が読んでいて思い浮かぶところが特徴的です。光文社古典新訳文庫版は平野啓一郎の訳が素晴らしく、お薦めです。短く読みやすいのも良い。
オスカー・ワイルドという人物は、なぜだかサブカルチャーの世界で何か熱狂的な支持を集めている人物である。三島由紀夫をはじめとしてワイルドを耽読した青年は多く、インターネットの世界でも、彼はアンサイクロペディアというウィキペディアのパロ[…]
『カンタヴィルの幽霊』
『カンタヴィルの亡霊』は、ロンドンの屋敷をアメリカ人が買い取ったら幽霊が住み着いていて…… と、ちょっと不思議で人間味のある物語。こちらもとてもお薦めです。
※現在、読み放題で読めないワイルドの代表作としては、童話『幸福な王子』など。Kindle Unlimitedから興味をもったら是非!(タイミングによっては読み放題で読めることもあるかも)
ルイス・キャロル
『鏡の国のアリス』
作者ルイス・キャロルは本名をチャールズ・ラドウィッジ・ドドソンという数学者で、この作品は知人の少女アリス・リデルのために即興で作られた作品が元となっているという。いうまでもなく、ディズニー映画『ふしぎの国のアリス』の原作が『不思議の国のアリス』で、その続編の『鏡の国のアリス』は読み放題で読める。
アーサー・コナン・ドイル
『シャーロック・ホームズの冒険』『緋色の研究』
言わずと知れた「シャーロックホームズシリーズ」も意外と読み放題で読める。作者はアーサー・コナン・ドイル。『名探偵コナン』の江戸川コナンは彼の名前からとっているということでも有名でしょう。『シャーロックホームズの冒険』は最初の短編集で、『緋色の研究』は全体の最初の作品で長編の代表作です。シャーロックホームズシリーズを初めて読むなら、まずはここから。
『失われた世界』
ドイルのSFの代表作です。児童向けの題としては『生きていた恐竜』『生きていたきょうりゅう』などの題がつけられていることもある。新聞記者エドワード・ダン・マローンと古生物学者・チャレンジャー教授の物語。南米のギアナ高地は、地上と隔絶された台地があり、ここが作品のモデルとなっています。
ジョージ・オーウェル
ジョージ・オーウェルは、20世紀で政治思想にも大きな影響を与えた作家ともいわれます。
それは、以下に紹介する二作が世間に強い衝撃を与えたからです。
『一九八四年』
レーベル:グーテンベルク21
『1984年』は、言わずと知れたディストピア小説の傑作です。隅々まで監視され、洗脳された世界の怖さは現代にも通じるものがあります。ここまで「現実的」な恐怖感を書き表し、私たちも実際に気を付けようと、身につまされる思いをする作品は他にないのではないでしょうか。
- 作者:ジョージ・オーウェル
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: Kindle版
『動物農場』
レーベル:グーテンベルク21
こちらは『1984年』より寓話的で、動物たちを主人公とした作品です。
しかし、作品の怖さは変わりません。動物たちが協力して人間の農場主を追い出し、理想的な世界を作ろうとしますが…… 次第に狡猾な「豚」たちは恐怖政治を展開していきます。
この作品はロシア革命を下敷きにした風刺で、書かれた当時と同様に世間に受けるとは思えない部分もあります。しかし、この作品は現代ではある種の「ロシア史」や「歴史観」を学べる作品になっていますし、薄気味悪さというものは現代にも通じる傑作です。
- 作者:ジョージ・オーウェル
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: Kindle版
メアリー・シェリー
『フランケンシュタイン』
レーベル:光文社古典新訳文庫
あの誰もが連想する「フランケンシュタイン」を生み出した小説。
ゴシック小説の代表作ともされています。ご存知の方も多いと思いますが、作者は意外にも女性です。
原作では、一般的な「フランケンシュタイン」のイメージと少しコトンある内容かもしれません。例えば、生み出された怪物の知的水準は高く、醜さゆえに人間から迫害され、孤独であることを悩みます。また原作では「フランケンシュタイン」というのは、怪物を生み出した博士の名前で、怪物自身には名前を与えられていません。
誰もが知るフランケンシュタインの原作を、読んでみませんか?
- 作者:シェリー
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: Kindle版
ダニエル・デフォー
ロビンソン・クルーソー
無人島に漂流したロビンソン・クルーソーを描いた、古典的名作。
作者ダニエル・デフォーは、ジャーナリストでもあり、またアン女王のもとでスパイ活動にも従事していたことが知られている。
ジャン・ジャック・ルソーの『エミール』でも「自然的教育について有益な唯一の小説」とされていたり、哲学者カントの『判断力批判』とかにも出てきたり、カール・マルクスの『資本論』で引き合いに出されたりと、なにかと歴史的な作品である。
- 作者:ダニエル・デフォー
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: Kindle版
スティーブンソン
ロバート・ルイス・スティーブンスンは、スコットランド出身の作家です。『ジキルとハイド』や『宝島』など、SF的であったり冒険的であったりする作品を多く残しました。手塚治虫にも大きな影響を与えたと言われています。
『ジーキル博士とハイド氏』
レーベル:光文社古典新訳文庫
代表作『ジキルとハイド』は、容貌も性格も全く「陽と陰」のような関係のジキル博士とハイド氏の関係の謎に迫る小説。短くてお薦め。
- 作者:スティーヴンスン
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: Kindle版
『宝島』
レーベル:光文社古典新訳文庫
スティーブンスンの子供向けの冒険小説。
題名通り「宝島」を求めるストーリー。ジム・ホーキンズ少年が宝島を求めて船に乗り込み…… というあらすじ。
ちなみに、手塚治虫のデビュー長編漫画である『新宝島』は、この作品とロビンソン・クルーソー、ターザンなどに着想を得た作品。その点で、日本のマンガの歴史に大きく貢献した作品でもあると言えるかもしれない。
- 作者:スティーヴンスン
- 発売日: 2012/02/10
- メディア: Kindle版
H.G.ウェルズ
H.G.ウェルズも古典SFの大家です。作品を通して「タイムマシン」や「透明人間」などの多くの概念を広め、SFの巨人と呼ばれます。
『タイムマシン』
レーベル:光文社古典新訳文庫
名前を知らぬ者はいない、古典的名作。
- 作者:ウェルズ
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: Kindle版
『盗まれた細菌』『初めての飛行機』
- 作者:ウェルズ
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: Kindle版
『透明人間』
『宇宙戦争』
『モロー博士の島』
『解放された世界』
シェイクスピア
めちゃくちゃ読める
大量に読めます。作品ごとのコメントは省略させていただきます。
- 作者:シェイクスピア
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: Kindle版
- 作者:シェイクスピア
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: Kindle版
- 作者:シェイクスピア
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: Kindle版
サマセット・モーム
サマセット・モームは、彼自身がスパイであったことからスパイ小説も残しています。また、モームはゲイでもあり、作品にはどこかそれを感じさせるところがあります。
『月と六ペンス』
サマセット・モームはアメリカの作家で、このブログでもたびたび引き合いに出している『世界の十大小説』を書いたのは彼。
『月と六ペンス』はモームの代表作で、画家ゴーギャンをモデルにした小説。平凡な株式仲買人が、いかにして画家になったのかを描いている。
それになんといってもタイトルが秀逸な作品。
『手紙』
『園遊会まで』
『諜報員アシェンデン』
D.H.ロレンス
『チャタレー夫人の恋人』
レーベル:光文社古典新訳文庫
生々しい官能描写で、1950年に訳された当時は「猥褻文書」として訳者・伊藤整が罰金刑を受けた事件(チャタレイ事件)でも知られる作品。裁判当時そのままのを読むなら新潮文庫版だが、光文社古典新訳文庫でも読める。かつての「禁書」を読んでみませんか?
- 作者:D・H・ロレンス
- 発売日: 2014/09/19
- メディア: Kindle版
コンラッド
ジョゼフ・コンラッドはポーランド出身ながら、イギリスで作家となりました。
船乗りとしての経験が生かされた作品が特徴です。
『闇の奥』
レーベル:グーテンベルク21
代表作である『闇の奥』は、アフリカの奥地に一人残った白人クルツを救出する物語です。ちなみに、映画『地獄の黙示録』は、この作品の時代と舞台をベトナム戦争に移して翻案された映画です。
『青春・台風』
レーベル:グーテンベルク21
『密偵』
レーベル:グーテンベルク21
ヴァージニア・ウルフ
『ダロウェイ夫人』
レーベル:光文社古典新訳文庫
20世紀モダニズムの代表的な女性作家であるヴァージニア・ウルフ。女性としてのありかたや、人生の時間の流れをテーマにした作家。自殺した際に夫にあてた書簡なども有名。
『ダロウェイ夫人』は彼女の代表作で、中年女性の一日を過去との記憶も織り交ぜて描いた「意識の流れ」の代表的作品。ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロなども、この作品に影響を受けているのではないかと思う。
- 作者:ウルフ
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: Kindle版
『灯台へ』
レーベル:グーテンベルク21
『灯台へ』も、「意識の流れ」の重要な作品。
この作品も二日間(ただし十年の間隔がある)の出来事を描きます。
- 作者:ヴァージニア・ウルフ
- 発売日: 2013/03/29
- メディア: Kindle版
おわりに
以上、Kindle Unlimitedで読めるイギリス文学の紹介でした。
ちなみに、Kindle書籍はPC/スマホからもアプリで読むことができます。
青空文庫などは無料で購入できるので、とりあえず入れてみて、試してみてはいかがでしょうか。
なお、最初に書いた通り、ここで紹介したのはすべて記事投稿日時点のデータですので、定額で読めなくなっている場合もあると思わます。
なので繰り返しですが、実際にKindle Unlimitedで読んでみようという場合には商品ページを確かめるか、AmazonのKindle Unlimitedで読める文芸作品の一覧画面などとりあえず確認してみてください。