Kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)というサービスで読める、英文学の古典的名作についてまとめています。
Kindle Unlimitedは、音楽のサブスクリプションとは違って、ほとんどの電子書籍が読み放題というわけにはいきませんが、非常に多くの本を定額で読むことができるサービスです。
ビジネス書なども多く読み放題のラインナップに入っていますが、非常に多くの古典的名作を読むことができます(Kindle Unlimitedにというよりは、光文社古典新訳文庫とグーテンベルク21に感謝すべきかもしれません)。
今回は、個人的メモも兼ねて、今回はKindle Unlimitedで読める英米文学、特にイギリス文学の古典的名作をだいたい25作品くらい集めました。(アメリカ編はこちら)
気軽に有名どころのイギリス文学を読んでみたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
ただしお断りですが、定額読み放題の対象として紹介しているのは、すべて記事投稿日時点のデータで、定額で読めなくなっている場合もあると思われます。
そのため、実際にKindle Unlimitedで読んでみようという場合には商品ページを確かめるか、AmazonのKindle Unlimitedで読める文芸作品の一覧画面などとりあえず確認してみてください。
- チャールズ・ディケンズ
- エミリー・ブロンテ
- オスカー・ワイルド
- ルイス・キャロル
- アーサー・コナン・ドイル
- バーナード・ショー
- ジョージ・オーウェル
- メアリー・シェリー
- ダニエル・デフォー
- スティーブンソン
- H.G.ウェルズ
- シェイクスピア
- サマセット・モーム
- D.H.ロレンス
- コンラッド
- ヴァージニア・ウルフ
- おわりに
順番は適当です。ごめんなさい。
チャールズ・ディケンズ
まずはイギリス・ヴィクトリア朝時代を代表する小説家であるチャールズ・ディケンズの作品のうち、読み放題で読める作品をご紹介。
『クリスマス・キャロル』
レーベル:光文社古典新訳文庫
『クリスマス・キャロル』はディズニーも映画化している(『ミッキーのクリスマス・キャロル』)ような、説明が要らないほどの名作でしょう。クリスマスのたびに読みたくなる、心温まる名作です。
『二都物語』
レーベル:グーテンベルク21
「二都」というのは、ロンドンとパリという二つの都市。フランス革命期の二つの町をめぐる、暗くも美しいロマンス。宝塚歌劇にもなっているようです(調べたら大地真央・黒木瞳のサヨナラ公演は二都物語だったらしい)。上下巻構成ですが、どちらも無料で読めるはずです(記事投稿時点。上下巻の場合は読み放題で読めるのは上巻のみの場合が多い)。
エミリー・ブロンテ
エミリー・ブロンテは夭逝したため、生涯で長編小説は『嵐が丘』しか残しませんでしたが、『嵐が丘』は海外文学ランキングなどで、女性作家の作品としては一番評価されていることもしばしばあります。
『嵐が丘』
レーベル:グーテンベルク21
そのような『嵐が丘』ですが、究極の「愛と憎しみの物語」です。
語り手がコロコロ入れ替わるのには読む際に注意が必要(グーテンベルク21版では、最初の登場人物紹介で「語り手」とされている人物が冒頭における語り手でない、などという罠もある)ですが、後世の複雑さが現代においても文学的に高く評価されている理由でもあります。『世界の十大小説』の一つ。
オスカー・ワイルド
オスカー・ワイルドは「耽美主義」の代表的な作家・詩人であるとともに、心温まる話も残しています。
同性愛の罪(当時のイギリスではそうだった)で収監された獄中で亡くなった、などといったエピソードも有名です。
『ドリアン・グレイの肖像』
レーベル:光文社古典新訳文庫
オスカーワイルドは、19世紀末の耽美的な世紀末文学の旗手。男色の廉で収監されてみじめな死を迎えた最期など、生き様も退廃的で多くの芸術家に影響を与えた詩人です。この記事では彼の小説を紹介します。
『ドリアン・グレイの肖像』は、純真無垢な美青年が、「悪」に染まり堕落するさまを描いた名作。彼はまったく老いることのない体を持っているのですが…… ラストの結末は必見です。三島由紀夫の『禁色』とかにも明らかに影響を与えている(と私は思っている)作品。
『サロメ』
レーベル:光文社古典新訳文庫
新約聖書に登場する、悪女「サロメ」を描いた戯曲。彼女は、イエス・キリストに洗礼を与えた預言者ヨハネの「首」を欲しがります。
戯曲ということもあって、非常に猟奇的かつ耽美的な視覚表現が読んでいて思い浮かぶところが特徴的です。光文社古典新訳文庫版は平野啓一郎の訳が素晴らしく、お薦めです。短く読みやすいのも良い。
『カンタヴィルの幽霊』『スフィンクス』
レーベル:光文社古典新訳文庫
『カンタヴィルの亡霊』は、ロンドンの屋敷をアメリカ人が買い取ったら幽霊が住み着いていて…… と、ちょっと不思議で人間味のある物語。
こちらもとてもお薦めです。
▼読み放題で読めないワイルドの代表作としては、童話『幸福な王子』(きっと読んだことがあるはず。心温まる童話)など。Kindle Unlimitedから興味をもったら是非!
ルイス・キャロル
『不思議の国のアリス』
レーベル:グーテンベルク21
作者ルイス・キャロルは本名をチャールズ・ラドウィッジ・ドドソンという数学者で、この作品は知人の少女アリス・リデルのために即興で作られた作品が元となっていると言います。
作品については特にコメントはいらないでしょう。ディズニー映画『ふしぎの国のアリス』の原作です。
アーサー・コナン・ドイル
『シャーロック・ホームズの冒険』『緋色の研究』
レーベル:創元推理文庫
言わずと知れた「シャーロックホームズシリーズ」です。
作者はアーサー・コナン・ドイル。『名探偵コナン』 の江戸川コナンは彼の名前からとっているということでも有名でしょう。
『シャーロックホームズの冒険』は最初の短編集で、『緋色の研究』は全体の最初の作品で長編の代表作です。シャーロックホームズシリーズを初めて読むなら、まずはここから。訳者は深町眞理子さんという方です。
『失われた世界』
レーベル:光文社古典新訳文庫
ドイルのSFの代表作です。児童向けの題としては『生きていた恐竜』『生きていたきょうりゅう』などの題がつけられていることもあります。
新聞記者エドワード・ダン・マローンと古生物学者・チャレンジャー教授の物語。南米のギアナ高地は、地上と隔絶された台地があり、ここが作品のモデルとなっています。
バーナード・ショー
バーナード・ショーは1925年にノーベル文学賞を受賞したアイルランドの劇作家。「フェビアン協会」など左派的な活動でも知られているように、進歩的な作品も残しています。
ピグマリオン
レーベル:光文社古典新訳文庫
『ピグマリオン』は、映画『マイ・フェア・レディ』の原作としても知られている作品。下町訛りの酷い花売り娘・イライザを、言語学者ヒギンズが上流階級に恥じない発音を身につけるよう訓練させて…… という物語。
『マイ・フェア・レディ』は正直なところ女性蔑視などを含む前時代的な作品ですが、原作の『ピグマリオン』はむしろ正反対の作品です。フェミニズム文学としても是非。
ちなみに「ピグマリオン」(ピュグマリオン)とは、ギリシャ神話に登場する、自分で彫刻した女性の石像に恋をしたキプロス王のこと。そのため今でも人形偏愛症(人形愛)のことを「ピグマリオンコンプレックス」や「ピュグマリオニズム」と呼びます。
ジョージ・オーウェル
ジョージ・オーウェルは、20世紀で政治思想にも大きな影響を与えた作家ともいわれます。
それは、以下に紹介する二作が世間に強い衝撃を与えたからです。
『一九八四年』
レーベル:グーテンベルク21
『1984年』は、言わずと知れたディストピア小説の傑作です。隅々まで監視され、洗脳された世界の怖さは現代にも通じるものがあります。ここまで「現実的」な恐怖感を書き表し、私たちも実際に気を付けようと、身につまされる思いをする作品は他にないのではないでしょうか。
『動物農場』
レーベル:グーテンベルク21
こちらは『1984年』より寓話的で、動物たちを主人公とした作品です。
しかし、作品の怖さは変わりません。動物たちが協力して人間の農場主を追い出し、理想的な世界を作ろうとしますが…… 次第に狡猾な「豚」たちは恐怖政治を展開していきます。
この作品はロシア革命を下敷きにした風刺で、書かれた当時と同様に世間に受けるとは思えない部分もあります。しかし、この作品は現代ではある種の「ロシア史」や「歴史観」を学べる作品になっていますし、薄気味悪さというものは現代にも通じる傑作です。
メアリー・シェリー
『フランケンシュタイン』
レーベル:光文社古典新訳文庫
あの誰もが連想する「フランケンシュタイン」を生み出した小説。
ゴシック小説の代表作ともされています。ご存知の方も多いと思いますが、作者は意外にも女性です。
原作では、一般的な「フランケンシュタイン」のイメージと少しコトンある内容かもしれません。例えば、生み出された怪物の知的水準は高く、醜さゆえに人間から迫害され、孤独であることを悩みます。また原作では「フランケンシュタイン」というのは、怪物を生み出した博士の名前で、怪物自身には名前を与えられていません。
誰もが知るフランケンシュタインの原作を、読んでみませんか?
ダニエル・デフォー
ロビンソン・クルーソー
無人島に漂流したロビンソン・クルーソーを描いた、古典的名作。
作者ダニエル・デフォーは、ジャーナリストでもあり、またアン女王のもとでスパイ活動にも従事していたことが知られている。
ジャン・ジャック・ルソーの『エミール』でも「自然的教育について有益な唯一の小説」とされていたり、哲学者カントの『判断力批判』とかにも出てきたり、カール・マルクスの『資本論』で引き合いに出されたりと、なにかと歴史的な作品である。
スティーブンソン
ロバート・ルイス・スティーブンスンは、スコットランド出身の作家です。『ジキルとハイド』や『宝島』など、SF的であったり冒険的であったりする作品を多く残しました。手塚治虫にも大きな影響を与えたと言われています。
『ジーキル博士とハイド氏』
レーベル:光文社古典新訳文庫
代表作『ジキルとハイド』は、容貌も性格も全く「陽と陰」のような関係のジキル博士とハイド氏の関係の謎に迫る小説。短くてお薦め。
『宝島』
レーベル:光文社古典新訳文庫
スティーブンスンの子供向けの冒険小説。
題名通り「宝島」を求めるストーリー。ジム・ホーキンズ少年が宝島を求めて船に乗り込み…… というあらすじ。
ちなみに、手塚治虫のデビュー長編漫画である『新宝島』は、この作品とロビンソン・クルーソー、ターザンなどに着想を得た作品。その点で、日本のマンガの歴史に大きく貢献した作品でもあると言えるかもしれない。
H.G.ウェルズ
H.G.ウェルズも古典SFの大家です。作品を通して「タイムマシン」や「透明人間」などの多くの概念を広め、SFの巨人と呼ばれます。
『タイムマシン』
レーベル:光文社古典新訳文庫
名前を知らぬ者はいない、古典的名作。
『盗まれた細菌』『初めての飛行機』
『透明人間』
『宇宙戦争』
『モロー博士の島』
『解放された世界』
シェイクスピア
めちゃくちゃ読める
大量に読めます。作品ごとのコメントは省略させていただきます。
サマセット・モーム
サマセット・モームは、彼自身がスパイであったことからスパイ小説も残しています。また、モームはゲイでもあり、作品にはどこかそれを感じさせるところがあります。
『月と六ペンス』
サマセット・モームはアメリカの作家で、このブログでもたびたび引き合いに出している『世界の十大小説』を書いたのは彼。
『月と六ペンス』はモームの代表作で、画家ゴーギャンをモデルにした小説。平凡な株式仲買人が、いかにして画家になったのかを描いている。
それになんといってもタイトルが秀逸な作品。
『手紙』
『園遊会まで』
『諜報員アシェンデン』
D.H.ロレンス
『チャタレー夫人の恋人』
レーベル:光文社古典新訳文庫
生々しい官能描写で、1950年に訳された当時は「猥褻文書」として訳者・伊藤整が罰金刑を受けた事件(チャタレイ事件)でも知られる作品。裁判当時そのままのを読むなら新潮文庫版だが、光文社古典新訳文庫でも読める。かつての「禁書」を読んでみませんか?
コンラッド
ジョゼフ・コンラッドはポーランド出身ながら、イギリスで作家となりました。
船乗りとしての経験が生かされた作品が特徴です。
『闇の奥』
レーベル:グーテンベルク21
代表作である『闇の奥』は、アフリカの奥地に一人残った白人クルツを救出する物語です。ちなみに、映画『地獄の黙示録』は、この作品の時代と舞台をベトナム戦争に移して翻案された映画です。
『青春・台風』
レーベル:グーテンベルク21
『密偵』
レーベル:グーテンベルク21
ヴァージニア・ウルフ
『ダロウェイ夫人』
レーベル:光文社古典新訳文庫
20世紀モダニズムの代表的な女性作家であるヴァージニア・ウルフ。女性としてのありかたや、人生の時間の流れをテーマにした作家。自殺した際に夫にあてた書簡なども有名。
『ダロウェイ夫人』は彼女の代表作で、中年女性の一日を過去との記憶も織り交ぜて描いた「意識の流れ」の代表的作品。ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロなども、この作品に影響を受けているのではないかと思う。
『灯台へ』
レーベル:グーテンベルク21
『灯台へ』も、「意識の流れ」の重要な作品。
この作品も二日間(ただし十年の間隔がある)の出来事を描きます。
おわりに
以上、Kindle Unlimitedで読めるイギリス文学の紹介でした。
ちなみに、Kindle書籍はPC/スマホからもアプリで読むことができます。
青空文庫などは無料で購入できるので、とりあえず入れてみて、試してみてはいかがでしょうか。
なお、最初に書いた通り、ここで紹介したのはすべて記事投稿日時点のデータですので、定額で読めなくなっている場合もあると思わます。
なので繰り返しですが、実際にKindle Unlimitedで読んでみようという場合には商品ページを確かめるか、AmazonのKindle Unlimitedで読める文芸作品の一覧画面などとりあえず確認してみてください。