2025年に再結成したオアシス(Oasis)。ベストアルバムもいいけれど、やっぱりオリジナルアルバムも聴いてほしい……とのことで、個人的な全アルバムの“買ってほしい順”おすすめランキングを書いていきたいと思う。
ちなみにいきなりネタバレをすると、この記事を最初に書いた2020年時点では(自分の色を出したくて)、第1位 『(What’s the Story)Morning Glory?』、第2位『Be Here Now』、第3位『The Masterplan』、第4位『Definitely Maybe』~という順番のランキングを紹介していたのだが、2025年の再結成ライブを見てしまうと、トップ2は1stと2nd(『Definitely Maybe』 『(What’s the Story)Morning Glory?』)以外はありえないな……という気持ちになり、5年前に書いた記事を見返して恥ずかしくなったのでこの記事は書き直している(2025年11月更新)。
第1位 『(What’s the Story)Morning Glory?』
先述の通り、オアシスの名盤を選ぶとしたらトップ2は1stアルバムと2ndになるだろう。第1位は1stにするか2ndにするか……というところだが、ここでは2ndアルバム『(What’s The Story) Morning Glory?』(モーニング・グローリー)を1位として紹介したい。
このアルバムは、1995年に発売されたオアシスの一番売れたアルバムである。全世界では現在までに2500万枚以上も売り上げているという、ロックの歴史に残る名盤である。
タイトル通りアルバムの最初を飾るにふさわしい「Hello」という曲から始まり、全曲メロディーの美しい捨て曲の一切ないアルバムである(本当に強いて言うなら「Hey Now!」だけ印象が薄い)。だがやはり、このアルバムを象徴するのは「Wonderwall」と「Don’t Look Back in Anger」という二曲の存在である。この2曲なくして、オアシスは語れない。
Oasis – Don’t Look Back In Anger (Official Video)
Oasis – Wonderwall (Official Video)
「Don’t Look Back In Anger」は藤本タツキ先生の『ルックバック』でもモチーフにされていることから最近話題にもなった曲。
この2曲を聴いてもらえればわかると思うが、『モーニンググローリー』はこの2曲のような良質なギターポップが詰まった、外れ曲無しの名盤である。
第2位『Definitely Maybe』
2位は、1stアルバム『Definitely Maybe』(オアシス)を選ぶ。邦題が「オアシス」なのはダサい。「ディフィニトリー・メイビー」(間違いなく・確かに)っていう矛盾した意味の言葉がつなげられてるのが良いところなのになあ——なんて、今更文句を言っても仕方ない。
個人的な話になるが、このアルバムへの印象はかなり変化している。
オアシスを聴き始めた当初は、この1stアルバムには荒々しく瑞々しいサウンドの魅力と勢いは感じるけど、アルバムとしてのさまとまりは正直なところ微妙かな、という思いがあった。いまや、私がなぜそう思っていたのかすらよくわからないのだが、オアシスのアルバムの中でも完成度は低いと思っていた時期もあった。
だが、オアシスの結成と活動初期を描いた映画『オアシス:スーパーソニック』や、伝説の公演を記録した映画『オアシス:ネブワース』を見てからは、完全に印象が変わった。
マンチェスターのワーキングクラスの若者が世に打って出ようとする、その気概と勢いを感じるのはこのアルバムであり、「Columbia」「Cigarettes & Alcohol」「Slide Away」などの2ndアルバムにはあまり見られないようなローファイな曲も、このアルバムの唯一無二の魅力である。
その無二の粗削り感は、場合によってはマイナス評価になるかもしれませんが、『スーパーソニック』を見たり、さらに2025年の再結成ライブで演奏された1stアルバムの曲を聴くと、やはりオアシスというバンドの魅力は1stアルバムに凝縮されているなと感じざるを得ないと思います。
第3位『The Masterplan』
第3位には、『The Masterplan』(ザ・マスタープラン)を推したい。
このアルバム、実はシングルのB面を集めたコンピレーションである。
「B面のコンピレーションなんて大したことないんじゃ……」と思われるかもしれないが、オアシスはB面にすごく力を入れたバンドである(これは自分たちが、B面に力を入れるバンドが好きだった経験に基づいている)。
オリジナルアルバムとして作られたわけではないから統一感は少し欠けているようにも思えるが、その分その曲その曲の特徴が感じられる。
冒頭を飾る「Acquiesce」(アクイース)は兄弟が2人ともボーカルをとる最初の曲だし、表題曲「The masterplan」は自分たちのバンドとしての青写真を歌った壮大な曲で、後述する映画『オアシス:スーパーソニック』のエンディングで流れた時は本気で震えたほどの名曲。
第4位『Be Here Now』
4位には、3rdアルバム『Be Here Now』(ビィ・ヒア・ナウ)を推したい。
このアルバムは、オアシスの1st、2ndに比べると評価が低いとされていて、ノエルギャラガーも失敗作だと見なしているらしい(ちなみにリアムギャラガーは一番好きなアルバムだという)。
私も最初は、このアルバムは好きじゃなかった。前作モーニンググローリーに比べると退屈なのである。
なぜ退屈かと言うと、一曲一曲が長くて大仰に聞こえるのである。
でも、勉強中のBGMとして何度も聞いていると、サウンドの重厚感は魅力に感じるようになった。そして、このアルバムのような陶酔感を得られるアルバムは他にないのではないかと思うようになったのである。アコースティックなサウンドも多い2ndの路線を継承したというよりは、1stの(ややシューゲイザーを感じさせる)路線をまとまりよくしたというイメージといってもいいかもしれない。一曲一曲は長いけれど。
「ポップミュージックは3分で終わるものが良い」という原則からは外れているが、ポップミュージックの尺度では測れない良さがこのアルバムにはある。「Stand By Me」などの名曲も多くある。
第5位『Dig Out Your Soul』
6位は、ラストアルバム『Dig Out Your Soul』(ディグ・アウト・ユア・ソウル)を選びたい。
アルバムジャケットからもわかるようにサイケな感じで、音の重厚感は「Be Here Now」に匹敵する。
オアシスのスワン・ソングとなった「Falling Down」に、リアムが最後に残した最高の名曲「I’m Outta Time」など、見どころが多い。
この曲とかを聴くと、まだまだ良いアルバムを出せたんじゃないか…… と思う一方で、このアルバムで有終の美を飾ってくれてそれはそれでよかったのかな、と思う。
番外『Whatever』
番外編。オアシスの曲の中で日本で一番有名な曲は、CMでもよく使われていることで「Whatever」な気もするが、実はこの「Whatever」はオリジナルアルバムに収録されていない。
シングル『Whatever』にしか収録されていないのである。
だから、CDで集めるならこのシングルを買うのがお薦めである。最近はストリーミングが主流だろうが、その場合も「Whatever」のことは忘れないでほしい。
Oasis – Whatever (Official Video)
第6位『Don’t Believe The Truth』
6位は、6thアルバム『Don’t Believe the Truth』(ドント・ビリーヴ・ザ・トゥルース)を選びたい。
6位~8位には4~6thアルバムが残ってしまった。個人的に(というか、ある程度多くの人の同意が得られそうだが)、4~6thアルバムは他のアルバムに比べると魅力が少ないと思う。
その中で個人的に好きなのがこの『Don’t Believe the Truth』で、このアルバムは3rdアルバム以降の「重厚な音」路線から一転してシンプルな音づくりのアルバム。
The La’s(ザ・ラーズ)という事実上1枚しかアルバムを出していないバンド(ただし、その1枚でブリットポップの基礎を築いたとも評される)のサウンドから影響を受けているらしく、たしかにシンプルでリズミカルなギターが鳴り響くアルバムである。
『Be Here Now』などの重厚なサウンドに食傷気味になった時に聴きたいアルバムである。
第7位『Heathen Chemistry』
7位は、5thアルバム『Heathen Chemistry』(ヒーザン・ケミストリー)を推したい。
個人的にこのアルバムはかなり好きで(ということは、要するにオアシスのアルバムは大体好きなのだが)、このアルバムの特に好きな曲は「Stop Crying Your Heart Out」と「Little by Little」。この2曲に関しては、間違いなく初期の名曲に匹敵する。「Little by Little」は、2025年の再結成ライブでも後期の曲の中で唯一演奏されていた。
よくまとまっているアルバムだが、少し他に比べると地味という感じだろうか。
第8位『Standing on the Shoulder of Giants』
第8位は、4thアルバム『Standing on the Shoulder of Giants』(スタンディング・オン・ザ・ショルダー・オブ・ジャイアンツ)
うーん。このアルバムはちょっと微妙だと思う。「Fuckin’ in the Bushes」はライブの冒頭を飾るSEとしておなじみではあるけれど……。
「この一曲はすごい!」みたいなのもあまりないし…… メロトロンやシンセサイザーを使っているのは面白い試みではあるけど、少しオアシスに期待しているものと違う。オリジナルメンバー2人が抜けた後のアルバムというのが響いているのか、という印象は、やはり何回聴いても変わらない。
番外『Time Flies 1994-2009』
最後に、番外としてベストアルバムの紹介もしておこう。
オアシスのベストアルバムとしては、『Time Flies 1994-2009』(タイム・フライズ・・・)というものがある。
オリジナルアルバムに価値を置いている私からすると「Morning Glory」から聴き始めれば十分だと思うのだが、とりあえずベスト盤を聴きたいという方には、こちらのアルバムをお薦めする。
2枚組で、だいたい時代順に曲が配置されている。副題「1994-2009」から分かるように、オアシスの全キャリアを通じたベストアルバムである。ファーストシングル「Supersonic」も、ラストシングル「Falling Down」も収録されている。あとは、先述の「Whatever」が収録されているという点は良いポイントである。
Oasisには『Stop the Clocks』とうベストアルバムもあるが、こちらは個人的には買う必要はないと思う。ベストアルバムなのにWhateverも入ってないし。あと、『Be Here Now』からも一曲も入っていないのは、ちょっとひどい。
――というわけで、オアシスの個人的お薦めランキングをまとめると以下の通りです!
- 第1位 『(What’s the Story)Morning Glory?』
- 第2位『Definitely Maybe』
- 第3位『The Masterplan』
- 第4位『Be Here Now』
- 第3位『The Masterplan』
- 第5位『Dig Out Your Soul』
- 番外『Whatever』
- 第6位『Don’t Believe The Truth』
- 第7位『Heathen Chemistry』
- 第8位『Standing on the Shoulder of Giants』
- 番外『Time Flies 1994-2009』
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