- 2020年5月9日
『捜神記』こそ、面白い漢文教材である―三国時代の不思議な逸話集
私は漢文がものすごく好きなのだが、世の中には漢文が嫌いな人も多いようで悲しい。 この原因は、おそらく句法の暗記などのめんどくささがあるだろう。確かに句法の暗記というものは面倒である。 しかし、そのような「めんどくさい」技能を少し頑張って習得すれば、多くの中国の古典を読めるようになるというのが漢文の一番の魅力ではない […]
私は漢文がものすごく好きなのだが、世の中には漢文が嫌いな人も多いようで悲しい。 この原因は、おそらく句法の暗記などのめんどくささがあるだろう。確かに句法の暗記というものは面倒である。 しかし、そのような「めんどくさい」技能を少し頑張って習得すれば、多くの中国の古典を読めるようになるというのが漢文の一番の魅力ではない […]
ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』といえば、「知能を高めることが幸福なのか?」といった「幸福」について問うているSF作品としてや、ラストの場面に感動する心温まる作品として、また文学的には、主人公の「手記」という形をとることで、主人公の知的水準の推移の表現を試みた作品としても知られている。 しかし、私はこの作品 […]
老人ホーム(宿泊ありのデイサービス)でボランティアをしたことがある。 実の子どもたちもほとんど世話をしに来てくれないようなお年寄りを目の当たりにして、心が痛んだ。ーーそのようなお年寄りの方々も、若いときは人並み以上に子どもに愛情と金銭を注いだはずなのだ。 そのような姿を見て、私はオノレ・ド・バルザック『ゴリオ爺さん』を […]
ライナー・マリア・リルケの『マルテの手記』は、長編小説というよりは詩である。 作家志望だけど売れない青年の、悩みと回想をひたすらに吐露したような作品で、ストーリー性はない。 しかし、ストーリー性がないからといって、その作品が面白くないわけではない。 ともすれば精神を病んでいそうな青年の紡ぐ、美しい言葉の数々に、共感でき […]
20世紀に書かれた最高の英米文学は? というランキングで、たいてい上位に君臨するのは、ジョイスやスタインベックなど日本でも馴染み深い作家の本である。 だが、アメリカ人がこのようなランキングを作成すると、たいてい上位にハーパー・リーの『To Kill A Mockingbird』という本が上位にランクインする(例えば、ラ […]
古典的名作であるシャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』のあらすじについて記す。書評・考察については別記事にまとめているので、そちらを見ていただきたい。 (なお岩波文庫・光文社古典新訳文庫での表記はジェイン・エアだが、この記事ではジェーンに統一する) 「ジェーン・エア」あらすじ 孤児であるジェーン・エアは、不幸な少女時 […]
現代作家で誰の文章が好きかと聞かれたら、森見登美彦と答える。 森見登美彦の文体はやや古風なところがあり、面白いし独特なリズム感が大好きな作家である。そんな森見登美彦の文体に大きな影響を与えたのは、内田百閒だという(出典:作家の読書道:第65回 森見 登美彦さん)。 というわけで、内田百閒の随筆である『百鬼園随筆』を読ん […]
ハードボイルド小説とは何か? この問いに最も的確に答えてくれる作品は、レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』(村上春樹訳。清水俊二氏による旧訳では『長いお別れ』)なのではないかと思う。 私は特にハードボイルド小説を愛好しているというわけではないが、この『ロング・グッドバイ』は、男の友情と哀しい別れの影が付きまと […]
ジェーン・エアといえば、古典的・典型的なシンデレラ・ストーリーと思われている人も多いだろう。 それは一面では誤りではないのだろうが、この古典的名作をそのように表層的にしか読まないというのには個人的には反対である。『ジェーン・エア』は、作品が書かれた当初にどのような意義があり、また現代においてはどのように読むべきなのかを […]
20世紀に書かれた最高のイギリス文学は? というランキングで、たいてい1位に君臨するのが、このジョージ・オーウェル『一九八四年』である。 この作品は、いわゆる「ディストピア小説」である。その後のディストピア小説に大きな影響を与えたのはもちろん、政治思想にも大きな影響を与えている小説である。 今回は、この小説の示唆すると […]