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  • 2023年7月3日
  • 2024年3月19日

『ダロウェイ夫人』【あらすじ・感想】ーヴァージニア・ウルフが命を賭けた小説

ヴァージニア・ウルフの『ダロウェイ夫人』 は、ちょうど今から100年前を舞台にした小説である。 この小説は、近代文学を代表する作品であるジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』同様、ある一日を「意識の流れ」と呼ばれる手法で描いた小説である。ちなみに『ダロウェイ夫人』の舞台は1923年6月13日で、ぴったり100年を迎えた時 […]

  • 2022年8月8日
  • 2023年7月4日

『死の家の記録』【書評・感想】ードストエフスキーが描くシベリア監獄のリアル

あまりにも有名だが、ドストエフスキーは、かつて死刑囚であった。 若き日のドストエフスキーは、ペトラシェフスキーの主宰する社会主義サークルに所属し、皇帝(ツァーリ)の統治下にあって、社会の変革を目論んだために官憲に逮捕された。ペトラシェフスキーはじめ、ドストエフスキーらサークル員は死刑判決を受けたが、銃殺直前になって皇帝 […]

  • 2022年3月24日
  • 2022年10月19日

ほんとうの無政府主義者とは?ーチェスタトン『木曜の男』あらすじ・感想

政府なんて無いほうがいいのではないかと思わずにいられない出来事が世界で起きている。無政府主義こそが理想なのかもしれない。 しかし、現実には「無政府主義」が想像した通りの理想的なものにはならないだろう、ということは理解している。 無政府主義は理想だとしても、実現はしない。 それと同様に、「ほんとうの無政府主義者」なるもの […]

  • 2021年10月20日
  • 2022年9月14日

フランツ・カフカ『変身』あらすじ・感想ー現代の社畜の悲劇として考察する

海外文学はそれなりに読んできたが、カフカはいまいち「わからない」という感想を持っている作家だ。 しかし、むしろ、わからないところがクセになるともいえる。面白さがよくわからなくても、読み終わると「すごいものを読んだ」という気持ちになる。 そのような中で、カフカの『変身』は、すぐに読み終わる短編ということもあり、比較的面白 […]

  • 2021年10月13日
  • 2023年7月4日

ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』あらすじ・感想ー現代小説の傑作

死後80年近く経っているにもかかわらず、最近今まで以上に注目を集めている作家がいる。イギリスの女性作家、ヴァージニア・ウルフだ。 ウルフは「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分一人の部屋を持たねばならない」とした講演『自分ひとりの部屋』が有名でフェミニズム的な観点でも重要であり、またウルフはレズビアン小説も書き、自 […]

  • 2021年10月9日
  • 2022年9月14日

『若きウェルテルの悩み』でウェルテルはなぜ自殺したのか【あらすじ・感想】

「ウェルテル効果」という言葉がある。 有名人の自殺がマスメディアによって報道されると、それに影響されて自殺者が増える現象を表す言葉である。この名前は『若きウェルテルの悩み』の主人公ウェルテルにちなみ、この現象を実証した社会学者ディヴィッド・フィリップスによって名付けられた。 『若きウェルテルの悩み』は、1774年にドイ […]

  • 2021年9月20日
  • 2022年9月14日

コンラッド『闇の奥』あらすじ・感想ー「文明」と「野蛮」の対立と親和

先日、日本語を母語としない台湾出身の李琴峰さんが、『彼岸花が咲く島』で第165回芥川賞を受賞した。母語以外での作家活動なんて私には想像もできないくらい大変だと思うが、基本的に日本語で読書をする一読者としては、李さんのような作家の活躍は非常に嬉しいことだと思う。 ところで母語以外で創作活動を行った作家は、海外では超有名作 […]

  • 2021年2月18日
  • 2022年10月19日

人間性と芸術のあいだーモーム『月と六ペンス』あらすじ・感想

タイトルが秀逸な小説と聞かれて真っ先に思い浮かぶのが、サマセット・モームの『月と六ペンス』という小説だ。 この小説は、パリでの実業家生活ののち画家に転身し、晩年はタヒチで暮らした画家ポール・ゴーギャンをモデルにした小説だ。今回は、この小説について個人的な偏見も交えつつではあるが、紹介していきたい。 『月と六ペンス』あら […]

  • 2021年2月18日
  • 2023年2月12日

男も憧れるカッコよさ―『シラノ・ド・ベルジュラック』あらすじ・感想

エドモン・ロスタンの戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』は、男のロマンみたいなところがある。 容姿に恵まれない主人公の恋が実る話だからだ。でも、そんな「ありがちの話」と思ってもらっては、困る。シラノ・ド・ベルジュラックの内面は本当にかっこいいのだ。やっぱり、この作品はものすごい名作だ。 『シラノ・ド・ベルジュラック』あら […]

  • 2021年1月16日
  • 2023年4月5日

オーウェル『動物農場』あらすじ・考察ーコミカルな中のブラックな怖さ

ジョージ・オーウェルと言えば監視社会を描いた『一九八四年』が有名だが、オーウェルの出世作である『動物農場』も代表作として知られている。 『動物農場』(Animal Farm)は、副題が「おとぎばなし」(A Fairy Story)であるように、動物たちを主人公としたおとぎばなしである。物語はとても短く、小学生でも「ちょ […]