レディオヘッド(Radiohead)の名盤・名曲おすすめランキング【全アルバム評価】

レディオヘッド

「レディオヘッドの良さがわからない」という人、あなたは正常である

でも、私はレディオヘッドが好きだ。

とはいえ、私も最初からレディオヘッドが好きだったわけではない。私も昔は、到底ポップとは言えないレディオヘッドの曲をありがたがる人の気持ちが理解できなかった。

だが、人生の中で明るい音楽を精神的に受け付けなくなったころがあり、それ以来レディオヘッドなどの陰鬱な楽曲が好きになってしまい、そこから抜け出せなくなってしまった。

こんなことを思い出すと、個人的にはレディオヘッドが好きでない人の方が素敵な人生を送っているように思う。レディオヘッドの曲は日陰者の歌である。

だが、もしそういう曲を聴きたくなることがあれば、その時はレディオヘッドのことを思い出してほしい。

そして、ここでは現在進行形でレディオヘッドの曲を聴こうとしている人に向けて、おすすめの曲およびアルバムを示したい。

おすすめのレディオヘッドの名曲【Best3】

本来なら、レディオヘッドは「曲単位」ではなく「アルバム単位」で聴いてほしいアーティストである。

とはいえ、今時いきなり「アルバムを聴け」とも言いにくいので、一応レディオヘッドの代表曲として次の3つを紹介しておく

ちょっとでも曲に興味を持てたら、ぜひアルバムを聴いてみてほしい。

①Creep(クリープ)

一番有名なレディオヘッドの曲、といっておそらく間違いない。

イスラエルやアメリカの若者を中心にこの曲がヒットし、レディオヘッドは一躍名前を知られるようになった。

一目ぼれした女性のことを歌っているのに、サビでは

でも僕は卑屈だから(but I’m a creep

と歌う。

気持ち悪い歌詞だが、そこがいい。

②High and Dry(ハイ・アンド・ドライ)

おそらくレディオヘッドの中で2番目に有名な曲。

ちょっとサウンドは静かすぎるかもしれないが、アコースティックギター中心でおしゃれな曲。トム・ヨークはこの曲を「うるさい音楽が嫌いな老人に捧げた曲」だとしているらしい。

そのせいで洒落たアパレルショップとかでもよくかかっている曲だが、案の定歌詞はジメジメしている。

僕を見捨てないで、僕を置いていかないで(Don’t leave me high, Don’t leave me dry

③Black Star(ブラック・スター)

この曲はレディオヘッドの中で3番目に有名な曲というわけではなさそうだが、それなりに支持を集めている曲だと思う。

レディオヘッドの楽曲がジメジメした男の歌というのは否定できないし、それが理由で嫌いな人は世の中に多いのだが、そういう方でもこの曲はマシだと思っている場合があるらしい(例:北村紗衣さん)。

歌詞は恋人同士の運命や不安を歌った曲ーーと思いきや、トム・ヨークはこの曲を当初「朝のセックスの歌」として作ったらしい。がっかりする方もいるかもしれないが、レディオヘッドの曲は深そうで軽薄だったり、軽薄そうで深いのがいいんですよ、と個人的には思う。

*   *   *

次からは、おすすめアルバムの紹介に入る。

*   *   *


 

1.The Bends

レディオヘッドのサウンドや楽曲はキャリア初期とそれ以降でかなり変化があるのだが、彼らの楽曲の中で万人受けするのはキャリア初期のメロディアスなギターロックだと思う。

そのようなわけで、レディオヘッドのオリジナルアルバムの中で一番おすすめなのは2作目の『The Bends』(ザ・ベンズ、1995年)である。

先ほど紹介した「High and Dry」、「Black Star」は、このアルバムに収録されている曲。

The Bends

The Bends

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2.OK Computer

次におすすめなのは、3作目の『OK Computer』(OKコンピューター、1997年)。

レディオヘッドのキャリアで一番売れたアルバム。「レディオヘッドといえばこのアルバム」という人も多いはず。

前作であるThe Bendsより、シンセサイザーなどが多用されているサウンド。一曲一曲は複雑な構成になっていて、ポップとは言い難い曲の集まりになっている。しかし、これでもレディオヘッドの曲の中ではメロディがしっかりしている曲が多い。

これ以降のレディオヘッドのアルバムだと、曲単体での印象は無い/薄い、という場合が多いのだが、『OK Computer』はそういう曲がない。すべての曲が、ポップではないにしても美しく印象的である。

OK Computer

OK Computer

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3.Kid  A

次におすすめなのは、4作目の『Kid A』(キッドA、2000年)。

『Kid A』でレディオヘッドは一旦完成された、という見方がなされることは多いと思うが、私もそのように考えている。

前作『OK Computer』でギターロックから離れたレディオヘッドは、本作で電子音楽を取り入れることに成功した。

個人的には『The Bends』などのバンドサウンドも好きなので、「レディオヘッドがバンドサウンドを追求してたらどんなアルバムを発表していたのかなあ」なんて思うこともあるが、『Kid A』を聴くと「レディオヘッドがこのアルバムを作ってくれて良かった」という気持ちになってしまう。

Kid A

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4.In Rainbows

4番目におすすめなのは、『In Rainbows』(イン・レインボウズ、2007年)。

サウンドとしては『OK Computer』と似ている雰囲気があり、かなりきれいにまとまったアルバム。実際、『OK Computer』を意識して作られたアルバムらしい。

電子音楽とバンドサウンドとの融合とメロディの聴きやすさは、キャリア後半の中では一番かなと思う。BGMには一番適していると思う。

インターネット上で、リスナーが好きな価格で(無料含め)ダウンロードできるという画期的な方法で発表されたアルバムという点でも、音楽史に残る名作。

In Rainbows

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5.Amnesiac

次におすすめなのは、5作目の『Amnesiac』(アムニージアック、2001年)。

『Kid A』と同時期に並行してレコーディングされたアルバムで、当時は『Kid B』などと揶揄されていたらしい。が、『Kid A』とは意外と違う印象を受けるアルバムである。

『Amnesiac』の『Kid A』との違いとしては、一番は生の楽器のサウンドが多いことで、『Amnesiac』の方が音楽の幅も広い。

ただ、個人的な好みなのだが、レディオヘッドのアルバムの中では雑然とした印象を受けるかな、という感があり、おすすめ順位が『Kid A』よりも下になってしまった。しかし、もちろん良いアルバムである。

Amnesiac

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6.Hail to the Thief

6番目におすすめなのは、6作目の『Hail To the Thief』(ヘイル・トゥ・ザ・シーフ、2003年)。

「1曲に凝りすぎて時間をかけすぎないこと」「無闇に長い曲を入れないこと」

Wikipediaより)

という制約がバンド内でかけられたらしく、複雑な曲は少ない。

そこがこのアルバムのいい点でもあり、物足りない点でもあるのかな、と思う。

冒頭曲の「2 + 2 = 5」はジョージ・オーウェルの『一九八四年』に由来する曲。

7.A Moon Shaped Pool

7番目におすすめなのは、9作目の『A Moon Shaped Pool』(ア・ムーン・シェイプド・プール、2016年)

クラシック音楽を取り入れようとしているというのがアルバムの特徴。

クラシック音楽との融合については、手探りな点があるのかなという感じはあり、未完成の印象もある。ただ、細心のアルバムという点ではおすすめであるし、レディオヘッド全体を見ても悪いアルバムではない。

A Moon Shaped Pool

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8.Pablo Honey

8番目におすすめなのは、レディオヘッドの記念すべき第一作『Pablo Honey』(パブロ・ハニー)。

「Creep」と「Anyone Can Play Guitar」はいい曲。サウンドはポストパンクやシューゲイザーの影響を受けていて、当然キャリア後期とは全然違う。『The Bends』とも違う。

決して悪いアルバムではないんだけど……。

もしレディオヘッドが『Pablo Honey』だけをリリースして解散していたら伝説的なアルバムになっていたかもしれないが、逆にレディオヘッド自体が伝説になってしまったせいで、実力未満の扱いをされるようになってしまった悲運のアルバムともいえるかもしれない。

9.The King of Limbs

最後におすすめなのは『The King of Limbs』(ザ・キング・オブ・リムズ、2011年)。

タイトルの由来は、ウィルトシャーのセイバーネイク・フォレストにある「樹齢千年のオークの木」らしい。

Oasisのリアム・ギャラガーは、このアルバムを次のように評している。

あのふざけたレディオヘッドの曲を聴いたけど、「なんだこれ?!」って感じだったぜ。俺たちの曲のほうが断然スゴイって思いたいね。奴ら、木について曲を書いたんだぜ? 勘弁してくれよ! 樹齢1,000年の木? ふざけんな!

(出典:NME

私はレディオヘッドは好きだけど、このアルバムは彼らのアルバムの中ではそこまで熱心に聴いたアルバムではないかな、と思う。

ただその理由は、曲の質が劣っているとか「木について歌ってるのが理解不能」とかそういう理由よりは、アルバムが短くて魅力に欠けるという点が大きい。37分では、このアルバムの目指したものがわからなかった。

The King Of Limbs

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まとめ

というわけで、レディオヘッドのアルバムのおすすめ順としては次の通りです。

1.The Bends

2.OK Computer

3.Kid A

4.In Rainbows

5.Amnesiac

6.Hail To the Thief

7.A Moon Shaped Pool

8.Pablo Honey

9.The King of Limbs

色々な事情でレディオヘッドを聴いてみようと思った方は、まず『ザ・ベンズ』か『OK コンピューター』をおすすめします。

ちなみに、発表順は以下の通り。

1.Pablo Honey→2.The Bends→3.OK Computer→4.Kid A→5.Amnesiac→6.Hail To the Thief→7.In Rainbows→8.The King of Limbs→9.A Moon Shaped Pool

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