ゴールデンウィーク中、部屋の片づけをしていたら棚の奥に眠っていた信長の野望シリーズを掘り出してしまった。そこで、一番好きだった往年の名作「烈風伝」をWindows10でプレイできるのか確認してみたら、BGMがループしないという不具合以外は普通にプレイできるではないか。
というわけでゲームを始めてしまったら、あっという間にゴールデンウィークが終わってしまった。この作品は本当に面白く、今でも多くの人に薦めたい名作である。
ターン制ゲームの魅力
いまさら1999年発売のゲームをやっているのか…… と思われそうだが、このゲームは「最新のゲーム」でもある。
この「烈風伝」は、信長の野望シリーズ最後の純粋なターン制のゲームである。
ターン制ゲームがやりたいなら、「烈風伝」は最新のゲームなのである。
やっぱり、私は「信長の野望」シリーズはターン制が一番だと思っているのである。
ターン制なら時間を支配できる
私がターン制ゲームを愛しているのは、このブログが書評ブログでもあること――すなわち、私が本というコンテンツが好きなこととも関連する。
「何言ってるんだこいつ?」と思われそうだが、私が映像作品よりも活字の方が好きな理由と、リアルタイムで進むゲームよりターン性ゲームの方が好きな理由は一緒なのである。
すなわち、「相手に時間を支配されない」のである。PCを見つめながら「さっさとしろよ……」と思うことはない。
私がプレイした中で最新の信長の野望シリーズである「戦国立志伝」も、リアルタイム合戦を見ることができるのだが、部隊を進めるところなどで少しイライラすることもあった(もちろん早送りできるが、それでもイライラしてしまった)。
しかしターン制なら、自分のペースで、自分が時間をかけたいように進めることができる。
「合戦始まると長いんだよな……」ということが、このゲームでは起こらない。
「大規模軍団が攻めてきたけど、まともに相手する気が起きないな……」という時は、騎馬隊中心の小規模軍団で総大将だけちゃっちゃと倒してしまえばいいし、色々「自分のペースでやりたい」人にお薦めのゲームなのである。
箱庭内政の楽しさ
ここまでターン制の合戦の魅力について述べてきたが、実は「烈風伝」の最大の魅力は、合戦でなく「内政」にある。
「箱庭内政」という表現がよく烈風伝には使われるが、 烈風伝は「城下開発ゲーム」としても楽しめるのである。
日本全国の河川を治水し、全国に街道を整備し、全国の港町や金山の近くに支城を建てる……
「三国志」シリーズなどでは、領地が豊かになっていくのが基本的に数字でしかわからないことが多いが、「烈風伝」は目に見えて城下が豊かになっていくのがわかるのである。
もちろん街づくりがメインのゲームではないから「シムシティ」などには到底及ばないが、「戦国武将を使って日本全国を整備する」ということができるゲームとしては、間違いなく「烈風伝」が一番だろう。
「信長の野望・烈風伝」の悪い点
今まで「烈風伝」をほめてきたが、もちろん悪い点もある。
このゲームの悪い点は、ヌルゲーすぎることである。
「上級」にすれば多少はスリリングな場面もあるが、プレーヤーが滅亡の危機に瀕することはまずないだろう。それに中盤を通り越してしまうと、あとは作業ゲーになってしまう。
シミュレーションゲームの仕方ないところであるが、烈風伝はそのような傾向が特に強いのは悪い点である。
――そのような終盤の「飽き」を解消するために、プレイに慣れてきたら「縛りプレイ」をすることを勧めたい。
お薦めの縛りプレイ―「勝たずして天下統一」
お薦めの縛りプレイは色々あるが、一番は「自衛戦争のみで天下統一」という縛りプレイである。
すなわち、城を軍団で一度も攻め落とすことなく天下統一するということである。
「そんなことできるのか?」と思われるのも当然である。
しかしこのゲーム、「調略」や「朝廷」コマンドがなかなか有効的なのである。
基本的に「流言」「変心」などで敵の武将の配下の忠誠を下げ、「謀反」で寝返るよう約束させて城ごと寝返らせる。そして敵の大名家に仕官する武将を根こそぎ引き抜いたり捕虜にして処断したりし、大名一人になったら大名を暗殺して空城を占拠するのである。
そしてどうしても滅ぼせない大名家も、終盤に朝廷工作で「朝敵」にしてしまえば、心が折れて降伏してしまう。
私はこの縛りプレイで一度天下統一をしたことがある。
シナリオ0の毛利元就(作中最高の「智謀」を誇る)で始め、「初級」で天下統一した(もちろんセーブ&ロードはしまくっている。また、終盤面倒になって「自分から城を攻めても引き分けならOK」という風にルールを曲げてしまったので、厳密にはルールに反したかもしれないが)。
――これに限らずとも「烈風伝」の「調略」は非常に面白いのでおすすめである。
特に「暗殺」は、シリーズ中随一の有用性ではないだろうか。
服部半蔵を使って暗殺させると、敵将が
お前が伊賀の半蔵か…!
とか最後に口走って討たれていくのはなかなかドラマチックである。
太閤立志伝Ⅴを紹介した記事でも述べたが、昔のコーエーのゲームは本当に台詞が凝っていて素晴らしい。台詞を見るためだけに、例えば「真田昌幸の降伏勧告に真田信之を向かわせる」とか、「特殊台詞を持っている北条綱成を軍団の総大将にする」とか、色々と試してみたくなるのである。それだけ烈風伝の台詞は素晴らしい。
前作・将星録をプレイする
もう一つ、「烈風伝」の「ヌルさ」だけがどうしても不満だ…! という場合の解決策がある。
前作・将星録をプレイするのである。
「烈風伝」はこの作品を進化させた作品であり、基本的には「烈風伝」がほとんどの面で勝っている(ゆえにビギナーには「烈風伝」をお薦めする)のであるが、「戦略性」という意味ではこの「将星録」の方が上なのである。
「烈風伝」を気に入っていただけた場合は、この「将星録」もぜひ試してみていただきたい。
ただ、この「将星録」は、さすがにグラフィックの古さが否めないのと、「烈風伝」に比べてユニット管理などめんどくさいことが多いことは述べておこう(それだけやり込み要素が多いともいえるが)。
おわりに
まだ20代前半の私が言うのもおかしい話だが、「烈風伝」は世の中のおじさんたちにお薦めしたいゲームである。
普段より家にいる時間が多くなったが、することがないおじさま方は多かろう。
そんな中、レトロなターン制ゲームで時間をつぶしてはいかがだろうか?
ちなみに大河ドラマ「麒麟が来る」との関連でいえば、「烈風伝」のイベント「本能寺の変」は従来唱えられてきた「光秀怨恨説」のフルコースで、光秀が次々と信長への怒りを思い出すさまはシュールで面白い。プレーヤーにならないと起こすのは非常に難しいイベントだが、一見の価値があるので是非お薦めしたい。
今入手するなら、上のオンラインコード版かSteamで直接購入するのが一番いいだろう。
一応昔ながらのCD-ROM版でもWindows10で動いた(ただしBGMはループしない)ので、古くからのエディタなどを使いたい場合は今からでもCD-ROM版を見つけ出すのがよいと思われる。
▼前作・将星録は烈風伝よりも面白いところも多い。
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