大河ドラマ「麒麟が来る」を(後追いで)見ている。
主人公の明智十兵衛光秀たちが、自在に美濃・京都・尾張へと移動していき、ストーリーが進んでいく。実際の戦国時代の移動は、そこまで一筋縄ではいかなかったのではないだろうかと思わないでもないが、「主人公が移動すること」が「物語の進行」とつながることに意味があるのである。
主人公が自在に活躍するさまを見て、私は思った。
ああ、まさに今は亡き「太閤立志伝シリーズ」ではないか!!
2022年2月10日追記、任天堂Switchでリメイク版『太閤立志伝V DX』発売が決定!!
PC版もSteamで発売!
2022年5月19日追記、祝発売!!!
太閤立志伝シリーズとは何者か
まず、太閤立志伝シリーズをご存知でない読者のために、とりあえずWikipediaの「太閤立志伝シリーズ」 を引用してみよう。
太閤立志伝シリーズ(たいこうりっしでんシリーズ)は、光栄(現・コーエーテクモゲームス)から発売されているコンピュータゲームのシリーズ。第1作のパソコン版は1992年に発売され、現在、5作目の『太閤立志伝V』までが発売されている。
ジャンルは、コーエー独自のゲームジャンル名であるリコエイションゲーム(シミュレーションゲームとロールプレイングゲームの折衷)である。豊臣秀吉の立志出世をテーマにしている。
豊臣秀吉が一兵卒から「太閤」に立身出世を遂げたというドラマティックなストーリーは、全ての日本国民の知るところであろう。
このゲームは、このような豊臣秀吉の生涯のごとく、主人公が戦国乱世の中で立身出世を果たすことを目標としたゲームのシリーズである。
私は「Ⅲ」以外プレイ経験がるが、ここでは最後にして最高傑作である「太閤立志伝Ⅴ」(通称:太閤5)について語りたい。
「太閤立志伝Ⅴ」の魅力
このゲームの魅力は、その自由度にある。
前述の通りこのゲームは、主人公が戦国乱世の中で立身出世を果たすことが目標のRPGである(なお製作元のコーエーは、このゲームをRPGとシミュレーションゲームの融合である「リコエイションゲーム」と称している。)。
別に、武士の世を極めなくてもいいのである。
服部半蔵のように「忍者」の世界を極めても良いし、九鬼嘉隆のように「海賊」の世界を極めても良いし、あるいは茶屋四郎次郎のように「商人」の世界を極めても良い。
エンディング分岐の多さだけが自由度でない。そのエンディングに至る過程だって、いくらでも選択肢はあるのである。途中まで商人だったのを辞めて武士になっても良いし、武士でも一つの大名家に忠誠を尽くしてもいいし、裏切りの限りを尽くしても良い。
また、趣味の世界に生きても良い。「茶人」となって千利休を超えた存在になることもできるし、刀鍛冶になって「刀剣乱舞」に名を残すような刀工になる事だってできよう。
そして何よりもこのゲームの自由度を高めているのは、「イベントコンバーター」(通称イベコン)の存在である。
このゲームは、これを導入すれば自分でイベントを作ることができるのである。公式に配布されているもので、チートではない。
そして、ゲーム本編では武士に比べると存在感の弱かった他の職業の存在感を増させることもできる。ちなみに、大奥で美女を侍らせることもできる。
歴史好きによる、歴史好きのためのゲーム
イベコンは非常に魅力的な存在なのだが、もちろんイベコンを入れなくてもこのゲームはすでに非常に細かく作られていて、完成されたゲームである。
細部の作り込みの細かさに、作り手の戦国武将への愛を感じる。それが、歴史好きのプレーヤーにとって非常にたまらないのである。
たとえば、武将固有の特技などの細かい設定である。
その一例をあげよう。
「太閤立志伝」は、軍団を操る「合戦」のほかに、武将個人が個人を相手に戦う「個人戦」がある。その「個人戦」では、「剣術」や「忍術」の特技を色々と発動できるのだが、その中に「忍犬の術」というのがある。
どこからともなく犬を呼んできて、敵にけしかけるという技である。なかなかシュールな技だが、ゲーム的にも固定ダメージを与える技で地味に強かったりする。
この「忍犬の術」、普通はとある忍術の里で忍術を極めないと取得できない技で、通常の武将は持っていない技である。
しかし、太田資正(三楽斎)という武将だけは、この技を持っているのである。
おそらく戦国マニア以外の方は「誰だよ?」という感じだろう。少し歴史に詳しい方に説明すると、この武将は江戸城を築城した太田道灌の曽孫である。
元の話に戻ろう。なぜ太田資正だけ「忍犬の術」を使えるのか?
実はこの武将、知る人ぞ知る「軍用犬を日本で初めて用いたともいわれる武将」なのである(甲陽軍鑑、名将言行録などに記されている)。
この話の概略は以下のような内容である。
太田資正は幼少より犬を好んでいた。資正は、岩槻城で育てた犬を松山城に移し、松山城で育てた犬を岩槻城に移していたが、その犬好きぶりは顰蹙を買うほどでもあった。
ある時松山城が攻められたが、完全に包囲されて岩槻に救援を頼む使者が出せない。そこで留守役は、こっそり資正に言われていたことを思い出し、犬の首に書状を付けて放した。
そうすると、犬は敵につかまることなく、育った場所である岩槻城にたどり着き、危機を知らせることができたのである。
――制作陣は、この逸話を知っていたのである。そしてゲームに反映させた。
最近のコーエーのゲームが昔よりも退化している点を指摘するなら、このような作り込みである。
「信長の野望」を例にしても、武将ごとの特性などは今の方が細分化しているし、イベントも増えているのだが、やはり細かい点で物足りなさを感じてしまう。
どこか「人間味」が足りないのである。「信長の野望」にしても、「烈風伝」くらいまでは台詞に深みがあった。固有台詞も用意されていたし、固有でない台詞もなかなか面白く戦国大名の雰囲気を出していた。
太閤立志伝Ⅴは、古き良き歴史好きのためのゲームである。
戦国物を創作するなら、「太閤立志伝Ⅴ」をプレイするべき
無限の物語を秘めた太閤立志伝Ⅴ
とにかく、このゲームは自由度が高いのである。
「史実通りにプレイする」という縛りプレイもできれば、「史実を改変する」プレイもできる。たいていは後者である。
このゲームは、多くの可能性を秘めている。
展開によっては、徳川家康が早々に武田信玄と組んで織田信長を攻めるというような歴史のIFだってあり得るし、なんでもござれである。
とにかく、無限の物語を生む可能性があるのが、このゲームなのである。
例えば戦国物を創作するにしても、太閤立志伝Ⅴには多くのヒントが詰まっているだろう。まさに、「麒麟が来る」で明智光秀が細川藤孝や松永久秀と個人的な誼を通じたような、歴史の可能性を演算することのできるゲームなのである。
創作した物語でプレイする
逆に、「自分で創作した物語」でプレイすることも、このゲームの醍醐味である。
このゲームは、主人公が男性なら「結婚」ができる。
たいてい、私は主人公を足利将軍:足利義輝の娘(という設定の架空姫武将)を結婚させている。
主人公が天下を取るための「大義名分」を与えるのである。
勝手に個々が妄想して楽しむというのが、このゲームの面白さなのである。
太閤立志伝Ⅴをもう一度プレイさせてくれ
ここまでさんざん太閤立志伝Ⅴの良さを語ってきたが、残念ながらこのゲームは現在プレイすることは困難である。
第一にかなり入手が難しい。
以下のAmazonの商品リンクを見ていただければわかるが、プレミア価格がついてしまっている。
在庫も少ないので、関心がある方はお早目の購入をお薦めする。
――もっとも、コーエーテクモゲームスが早く再販してくれればいいのだが……
太閤立志伝ⅤをWindows10でプレイする方法
そして、私たちが太閤立志伝5をプレイすることを阻む障壁はもう一つある。
それは、太閤立志伝5はWindows10では原則プレイできないということである。
どうやら、太閤立志伝5の時期に使用されていたコピー防止機能(?)などがサポートされなくなったことにより、セキュリティ上の関係でWindows10では動かなくなっているというような感じらしい(正確さは保証できません……)。
だが、あきらめるのはまだ早い!
こちらのサイト様を参考にしたら、私のPC(Windows10)でもプレイすることができた。
ただ、絶対にプレイできるとは保証できないので、そこはご承知おき頂きたい。
また、上述のサイト様は非常にわかりやすく書いてくださっているが、それでもPCに立ち向かうために多少の知識とやる気が求められる。
太閤立志伝Ⅴは本当にお薦めのゲームであるが、購入する際はそこのところを心して買っていただきたい。
このようなやり方以外でプレイするならPSPという選択肢もあるが、PSP版は前述の「イベコン」が使えないのである。ただ、合戦システムなどはPSP版の方が優れているという話を聞いたことがある。
PSPを持っている方にはこちらもお薦めする。
ほんとうに太閤立志伝Ⅴは素晴らしいゲームなのです。
頼む… 頼みますから、コーエーはそのままの形で太閤立志伝ⅤがWindows10でプレイできるよう、リメイクしていただけないでしょうか…
無理は承知なのであるが、本当に心からお願いしたい。
お布施と思って「信長の野望・創造 戦国立志伝」も買っている。コーエーも「戦国立志伝」を出すということは「太閤立志伝」の潜在的なニーズをわかっているということだと思いたい。心から期待している。
(なお、上記の「戦国立志伝」は、「信長の野望シリーズ」で数少ない「武将個人プレイ」ができる作品である。だが、「太閤立志伝シリーズ」のように主人公が各地を駆け回るということは、やはりできなかった。求めているものは違うのである。)
頼むから、太閤立志伝Ⅴをもう一度プレイさせてくれ。
おわりに
私は今も時々太閤立志伝Ⅴをプレイしている。
ただ、少しセキュリティが怖いのでイベコンは存分には楽しめていない。
何年生だったかは忘れたが、私はかつて中学生時代のひと夏を太閤立志伝Ⅴに丸々捧げた。
その夏の後も何度もプレイした。「カード」はコンプリートしたし、見ることのできるイベントはほとんど見た。
それほどまで愛した作品なのである。
未だに太閤立志伝Ⅴがリメイクされる夢を見る。
太閤立志伝6を出してくれなんて贅沢は言わないが、少なくとも太閤立志伝Ⅴが再び手に取りやすく再販されてほしいという願いは正夢になってほしいと願っている。
2022年5月19日追記
正夢になりました!!!!
▼PC版。はやくSteamで配信してくれ。
▼PSP版。PC版とは若干内容が異なるらしい。
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