ノーベル文学賞受賞作家と、受賞理由についてまとめてみました。
ノーベル賞120年の歴史はあまりに長いので、のんびり見たり流し読みしながら見てください。
「ノーベル文学賞受賞作家は(入手できる限り)全員読む」のをライフワークにしてみたいが、どれくらいの時間がかかるだろうか……
- 1 1900年代
- 1.0.1 1901年 シュリ・プリュドム(仏)
- 1.0.2 1902年 テオドール・モムゼン(独)
- 1.0.3 1903年 ビョルンスティエルネ・ビョルンソン(ノルウェー)
- 1.0.4 1904年 フレデリック・ミストラル(同時受賞)(仏)
- 1.0.5 1904年 ホセ・エチェガライ・イ・アイサギレ(同時受賞)(スペイン)
- 1.0.6 1905年 ヘンリク・シェンキェヴィチ(ポーランド)
- 1.0.7 1906年 ジョズエ・カルドゥッチ(伊)
- 1.0.8 1907年 ラドヤード・キプリング(英)
- 1.0.9 1908年 ルドルフ・クリストフ・オイケン(独)
- 1.0.10 1909年 セルマ・ラーゲルレーヴ(スウェーデン)
- 2 1910年代
- 2.0.1 1910年 パウル・フォン・ハイゼ(独)
- 2.0.2 1911年 モーリス・メーテルリンク(ベルギー)
- 2.0.3 1912年 ゲアハルト・ハウプトマン(独)
- 2.0.4 1913年 ラビンドラナート・タゴール(印)
- 2.0.5 1914年(該当者なし)
- 2.0.6 1915年 ロマン・ロラン(仏)
- 2.0.7 1916年 ヴェルネル・フォン・ヘイデンスタム(スウェーデン)
- 2.0.8 1917年 カール・ギェレルプ(同時受賞(デンマーク))
- 2.0.9 1917年 ヘンリク・ポントピダン(同時受賞)(デンマーク)
- 2.0.10 1918年(該当者なし)
- 2.0.11 1919年 カール・シュピッテラー(スイス)
- 3 1920年代
- 4 1930年代
- 5 1940年代
- 6 1950年代
- 7 1960年代
- 7.0.1 1960年 サン=ジョン・ペルス(仏)
- 7.0.2 1961年 イヴォ・アンドリッチ(ユーゴスラビア)
- 7.0.3 1962年 ジョン・スタインベック(米)
- 7.0.4 1963年 イオルゴス・セフェリス(希)
- 7.0.5 1964年 ジャン=ポール・サルトル(受賞辞退)(仏)
- 7.0.6 1965年 ミハイル・ショーロホフ(ソ連)
- 7.0.7 1966年 シュムエル・アグノン(同時受賞)(イスラエル)
- 7.0.8 1966年 ネリー・ザックス(同時受賞)(スウェーデン)
- 7.0.9 1967年 ミゲル・アンヘル・アストゥリアス(グアテマラ)
- 7.0.10 1968年 川端康成(日本)
- 7.0.11 1969年 サミュエル・ベケット(アイルランド)
- 8 1970年代
- 8.0.1 1970年 アレクサンドル・ソルジェニーツィン(ソ連)
- 8.0.2 1971年 パブロ・ネルーダ(チリ)
- 8.0.3 1972年 ハインリヒ・ベル(西独)
- 8.0.4 1973年 パトリック・ホワイト(豪)
- 8.0.5 1974年 エイヴィンド・ユーンソン(同時受賞)(スウェーデン)
- 8.0.6 1974年 ハリー・マーティンソン(同時受賞)(スウェーデン)
- 8.0.7 1975年 エウジェーニオ・モンターレ(伊)
- 8.0.8 1976年 ソール・ベロー(米)
- 8.0.9 1977年 ビセンテ・アレイクサンドレ(西)
- 8.0.10 1978年 アイザック・バシェヴィス・シンガー(米)
- 8.0.11 1979年 オデッセアス・エリティス(希)
- 9 1980年代
- 10 1990年代
- 11 2000年代
- 12 2010年代
- 13 2020年代
1900年代
ノーベル賞の歴史は1901年に始まる。よって、1901年が初回受賞である。
1901年 シュリ・プリュドム(仏)
高尚な理想主義と芸術的完成度の形跡、心情と知性の両方の資質の珍しい組み合わせを与える、詩的な構成物に対して
1902年 テオドール・モムゼン(独)
彼の記念碑的著作”ローマ史”を代表作として、存命中の歴史の著作家の中では最大の巨匠であること
1903年 ビョルンスティエルネ・ビョルンソン(ノルウェー)
その感化の鮮度と精神の希少な純度の両方において名高い、高貴で壮大、且つ多彩な詩に敬意を表して
1904年 フレデリック・ミストラル(同時受賞)(仏)
プロヴァンスの言語学者としての重要な業績の他、自然景観と人々の土着の精神を忠実に反映した、彼の詩作の新鮮な独創性と真の触発に対して
1904年 ホセ・エチェガライ・イ・アイサギレ(同時受賞)(スペイン)
独創的で個性的な手法でスペインの演劇の偉大な伝統を復活させた、数多くの鮮やかな構成物に対して
1905年 ヘンリク・シェンキェヴィチ(ポーランド)
叙事詩作家としての顕著な功績に対して
1906年 ジョズエ・カルドゥッチ(伊)
念入りな学究とその成果を評価するとともに、創造的なエネルギー、スタイルの新鮮さ、詩的な傑作を特徴づける叙情的な力に敬意を表して
1907年 ラドヤード・キプリング(英)
この世界的に有名な作家の創作を特徴づける、観察力、想像力の独創性、発想の意欲と、叙情の非凡な才能に対して
1908年 ルドルフ・クリストフ・オイケン(独)
真実のための本格的検索、思考の一貫した力、視野の広さ、表現の暖かさと強さによって、数多くの作品の中で人生の理想主義的哲学を実証したこと
1909年 セルマ・ラーゲルレーヴ(スウェーデン)
その著作を特徴付ける崇高な理想主義、生気溢れる想像力、精神性の認識を称えて
1900年代の受賞者には、あまり現代の日本で有名な作家は多くないように思える。
おそらくもっとも有名なのは、キプリングとラーゲルレーフという二人の児童作家である点は興味深い。
1910年代
1910年 パウル・フォン・ハイゼ(独)
叙情詩人、作家そして世界的に知られた短編小説家としての長年の創作活動を通して世に送り出してきた、無上の芸術性、理想主義の浸透を賞賛して
1911年 モーリス・メーテルリンク(ベルギー)
多岐にわたる文学活動、特に戯曲の数々を評価して。豊かな想像力と詩的な空想は、時に御伽話の形を装いながらも、それぞれの作品が神秘的な方法で読者ひとりひとりの感性に訴え想像力を刺激する間、深い創造的発想を明らかにする
1912年 ゲアハルト・ハウプトマン(独)
主に、演劇の分野での豊饒で多様、且つ顕著な功績に対して
1913年 ラビンドラナート・タゴール(印)
西洋文学の一角をなす英語で思考し表現された、至極の技巧による彼の深く敏感な、鮮やかで美しい韻文に対して
1914年(該当者なし)
1915年 ロマン・ロラン(仏)
彼の文学活動の高尚な理想主義に、人類の異なるタイプを描写した思いやりと真の慈愛に、敬意を表して
1916年 ヴェルネル・フォン・ヘイデンスタム(スウェーデン)
我々の文学における新時代を率先的に代表する者としての重要性を認めて
1917年 カール・ギェレルプ(同時受賞(デンマーク))
崇高な理想に触発された、彼の多様で豊かな詩に対して
1917年 ヘンリク・ポントピダン(同時受賞)(デンマーク)
デンマークの現代の生活の本格的な描写に対して
1918年(該当者なし)
1919年 カール・シュピッテラー(スイス)
彼の叙事詩”オリュンピアの春”に対して
1910年代前半は、タゴールやロマン・ロランなど、大物登場という感がある。一方、後半はあまり現代では有名ではないように思う。
1920年代
1920年 クヌート・ハムスン(ノルウェー)
彼の記念碑的著作”土地の成長”に対して
1921年 アナトール・フランス(仏)
格調高い様式、人類への深い共感、優美さ、真なるガリア人気質からなる作風による、文学上の輝かしい功績が認められた。
1922年 ハシント・ベナベンテ(スペイン)
スペインの演劇の輝かしい伝統を継承する、幸福な手法に対して
1923年 ウィリアム・バトラー・イェイツ(アイルランド)
芸術性が高く精妙な詩歌によって国民全体の精神を表現した貢献に対し
1924年 ヴワディスワフ・レイモント(波)
彼の偉大なる国民的叙事詩”農民”に対して
1925年 ジョージ・バーナード・ショー(アイルランド)
他に類を見ない風刺に満ち、理想性と人間性を描いた作品を送り出した事に対して
1926年 グラツィア・デレッダ(伊)
生まれ故郷の島での生活と人間の一般的な問題を深く人工的に明快に描写した、理想的な天来の著作に対して
1927年 アンリ・ベルクソン(仏)
彼の豊かで活発な発想と、それが表現された鮮やかな技巧に対して
1928年 シグリ・ウンセット(ノルウェー)
主に、中世北欧の生活についての力強い著述に対して
1929年 トーマス・マン(独)
主に現代の古典としての認識を広く得た傑作『ブッデンブローク家の人々』に対して
1920年代は、有名どころが多い。というのも、「詩」によって受賞した人物が少ないからであろう。以降も比較的「詩」によって受賞する人物は、1910年代以前に比べると低下する。
1930年代
1930年 シンクレア・ルイス(米)
活き活きとした写実的な描写技術および機智とユーモアを伴った、新しいタイプの人物を造形する能力に対して
1931年 エリク・アクセル・カールフェルト(スウェーデン)
エリク・アクセル・カールフェルトの詩に対して
1932年 ジョン・ゴールズワージー(英)
“フォーサイト物語”で頂点を極めた、優れた物語の芸術に対して
1933年 イヴァン・ブーニン(ソ連)
散文によって古典的なロシアの伝統を継承した厳格な芸術に対して
1934年 ルイジ・ピランデルロ(伊)
劇的且つ美しい芸術を、大胆且つ独創的に復活させたこと
1935年(該当者なし)
1936年 ユージン・オニール(米)
悲劇の独創的な概念を具現化する、彼の戯曲の力強さ、誠実的さ、深い感情に対して
1937年 ロジェ・マルタン・デュ・ガール(仏)
“チボー家の人々”で、現代の生活のいくつかの基本的な側面のみならず、人間の葛藤を描いた芸術の力と真実に対して
1938年 パール・S・バック(米)
中国での農民生活の豊かで真に叙事詩的な記述と、彼女の伝記の傑作のために。
1939年 フランス・エーミル・シランペー(フィンランド)
祖国の農民階層に対する深い理解と彼らの生き方と、自然との関係を描いた高い技術に対して
1930年代は、20年代に比べるとややマイナーな作家が多いように思えるが、ロジェ・マルタン・デュ・ガールとパール・バックが受賞した37・38年は存在感がある。
1940年代
1940年(該当者なし)
1941年(該当者なし)
1942年(該当者なし)
1943年(該当者なし)
1944年 ヨハネス・ヴィルヘルム・イェンセン(デンマーク)
広い視野の知的好奇心と大胆で新鮮な創造的スタイルに結びつけられた、彼の詩的想像力の類稀なる強さと豊かさに対して
1945年 ガブリエラ・ミストラル(チリ)
その力強い動機に触発された抒情詩によって、彼女の名が全ラテンアメリカ世界の理想主義的な願望の象徴と化したこと
1946年 ヘルマン・ヘッセ(スイス)
古典的な博愛家の理想と上質な文章を例示する、大胆さと洞察の中で育まれた豊かな筆業に対して
1947年 アンドレ・ジッド(仏)
人間の問題や状況を、真の大胆不敵な愛と鋭い心理洞察力で表現した、包括的で芸術的に重要な著作に対して
1948年 T・S・エリオット(英)
今日(こんにち)の詩文学への卓越した貢献に対して
あのミュージカル・キャッツの原作は、実はエリオットが書いている。
「エリオットの代表作」としては『荒地』が一般的か。
1949年 ウィリアム・フォークナー(米)
アメリカの現代小説に対する、強力かつ独創的な貢献に対して
1940年代前半は戦争の影響で受賞なしが続くなどぱっとしないが、後半は怒涛の有名作家続きである。
1950年代
1950年 バートランド・ラッセル(英)
人道的理想や思想の自由を尊重する、彼の多様で顕著な著作群を表彰して
1951年 ペール・ラーゲルクヴィスト(スウェーデン)
人類が直面する永遠の課題に対し詩作により解を探ろうと試みる芸術的活力と真の意味での精神的自立に対して
1952年 フランソワ・モーリアック(仏)
彼の小説の人間生活のドラマに浸透した、深い精神的な洞察力と芸術的な強さに対して
1953年 ウィンストン・チャーチル(英)
歴史や伝記の記述の熟達に加え、高揚した人間の価値についての雄弁な庇護者であること
あの、第二次世界大戦当時のイギリス首相のチャーチル。第二次世界大戦の回顧録の執筆による受賞。
1954年 アーネスト・ヘミングウェイ(米)
“老人と海”に代表される、叙述の芸術への熟達と、現代のストーリーテリングの形式に及ぼした影響に対して
1955年 ハルドル・ラクスネス(アイスランド)
アイスランドの偉大な物語の芸術を革新した、彼の鮮やかで壮大な力に対して
1956年 フアン・ラモン・ヒメネス(西)
高邁な精神と芸術的純度の一例を構成する、スペイン語による彼の叙情的な詩に対して
1957年 アルベール・カミュ(仏)
この時代における人類の道義心に関する問題点を、明確な視点から誠実に照らし出した、彼の重要な文学的創作活動に対して
1958年 ボリス・L・パステルナーク(ソ連)
現代風の叙情的な詩、および大ロシアの歴史的伝統に関する分野における、彼の重要な功績に対して
1959年 サルヴァトーレ・クァジモド(伊)
古典的な火で現代の生活の悲劇的な経験を照らし出す、叙情的な詩に対して
1960年代
1960年 サン=ジョン・ペルス(仏)
我々の時代の状況を先見的に反映した、彼の詩の高らかな飛翔と喚情的な形象に対して
1961年 イヴォ・アンドリッチ(ユーゴスラビア)
自国の歴史の主題と人間の運命を叙述した、彼の偉大な力量に対して
1962年 ジョン・スタインベック(米)
優れた思いやりのあるユーモアと鋭い社会観察を結びつけた、現実的で想像力のある著作に対して
1963年 イオルゴス・セフェリス(希)
ヘレネの世界観への深い感情から着想を得た、優れた詩作に対して
1964年 ジャン=ポール・サルトル(受賞辞退)(仏)
アイデアに富み、自由の精神と真実の探求に満ちた彼の作品が、私たちの時代に広範囲な影響を与えてきたことに対して
1965年 ミハイル・ショーロホフ(ソ連)
彼の「ドン」の叙事詩によって、ロシアの人々の生活の歴史的な段階を表現した芸術の力と整合性に対して
1966年 シュムエル・アグノン(同時受賞)(イスラエル)
ユダヤ人の人々の生活をモチーフにした、深遠に個性的な叙述の芸術に対して
1966年 ネリー・ザックス(同時受賞)(スウェーデン)
イスラエルの運命を伝える優れた詩と劇作に対して
1967年 ミゲル・アンヘル・アストゥリアス(グアテマラ)
ラテンアメリカの原住民の伝統と国民性に深く根ざした、鮮やかな文学的業績に対して
1968年 川端康成(日本)
日本人の心の精髄を、すぐれた感受性をもって表現、世界の人々に深い感銘を与えたため
1969年 サミュエル・ベケット(アイルランド)
小説や戯曲の新たな形式の中で、現代人の悲惨を描き、その芸術的な偉業を果たした彼の作品に対して
1970年代
1970年 アレクサンドル・ソルジェニーツィン(ソ連)
ロシア文学の不可欠な伝統を追求したその倫理的な力に対して
1971年 パブロ・ネルーダ(チリ)
一国の大陸の運命と、多くの人々の夢に生気を与える源となった、力強い詩的作品に対して
1972年 ハインリヒ・ベル(西独)
同時代への幅広い眺望と鋭い描写によって、ドイツ文学の刷新に貢献した
1973年 パトリック・ホワイト(豪)
文学に新大陸を導入した、叙事詩と心理的叙述の芸術に対して
1974年 エイヴィンド・ユーンソン(同時受賞)(スウェーデン)
各地域および各時代を俯瞰しつつ自由のために奉仕する語りの技法に対して
1974年 ハリー・マーティンソン(同時受賞)(スウェーデン)
露のひとしずくを捉えて宇宙を映し出す作品群に対して
1975年 エウジェーニオ・モンターレ(伊)
偉大な芸術的感性を伴い、幻想のない人生観の兆候の下で、人間の価値を解釈する独特の詩作に対して
1976年 ソール・ベロー(米)
彼の作品の中で結びついた、人間の理解と、捉え難い現代文化の分析に対して
1977年 ビセンテ・アレイクサンドレ(西)
宇宙と現代社会の中の人間の状況を照らし出すと同時に、戦争の間のスペイン語詩の伝統の偉大な革新を表す創造的な詩作に対して
1978年 アイザック・バシェヴィス・シンガー(米)
ポーランド·ユダヤ文化の伝統に根ざし、生命に普遍的な人間の条件をもたらす情熱的な文芸作品に対して
1979年 オデッセアス・エリティス(希)
ギリシアの伝統的背景に抗う詩作によって、感覚的な強さと知的で明確な視野を通して、現代人の自由と創造のための闘争を描いている
1980年代
1980年 チェスワフ・ミウォシュ(ポーランド)
妥協のない明確な視野を持ち、深刻な紛争世界にある人間がさらされた状況を表明したこと
1981年 エリアス・カネッティ(ブルガリア)
着想と芸術性に富み、幅広い視野によって書かれた著作に対して
1982年 ガブリエル・ガルシア=マルケス(コロンビア)
現実的なものと幻想的なものとを融合させて、一つの大陸の生と葛藤の実相を反映する豊かな想像力の世界を構築した
1983年 ウィリアム・ゴールディング(英)
現実的な物語の芸術の明快さと多様性、神話の普遍性に満ちた小説によって、現代世界の人間が置かれた状況を照らし出したこと
1984年 ヤロスラフ・サイフェルト(チェコスロバキア)
新鮮さ、官能性、豊かな創意性に富んだ詩によって、不屈の精神と人間の多様性の解放的なイメージを与えたこと
1985年 クロード・シモン(仏)
その小説において、詩人の創造性と画家の創造性を深められた時間意識に結びつけ、人間の状況を描出した
1986年 ウォーレ・ショインカ(ナイジェリア)
幅広い文化的視点と、詩的な響きによって、存在のドラマを創り上げたこと
1987年 ヨシフ・ブロツキー(ソ連)
思考の明快さと詩的な力強さが一体化した、包括的な作品群にたいして
1988年 ナギーブ・マフフーズ(エジプト)
時には克明な現実主義によって、時には想像力を書きたてる手法を駆使するといった、ニュアンスに富んだ作品群を通して、全人類に普遍性を持つアラビア語の創作芸術を形成したこと
1989年 カミーロ・ホセ・セラ(スペイン)
人間の脆弱性の挑戦的なビジョンを形成する、自制的な憐憫を含んだ、豊穣で徹底した散文に対して
1990年代
1990年 オクタビオ・パス(メキシコ)
広い視野を持ち、先鋭的知性と人文主義的高潔さを特徴とした、情熱的な作品に対して
1991年 ナディン・ゴーディマー(南アフリカ)
彼女の壮大な叙事詩が、”アルフレッド・ノーベルの言葉”に即した、人文主義にとっての重要な利益であったこと
1992年 デレック・ウォルコット(セントルシア)
偉大なる明るさ、歴史的な視野に支えられた、多文化融合の産物たる詩的創作に対して
1993年 トニ・モリソン(米)
先見的な力と詩的な重要性によって特徴付けられた小説で、アメリカの現実の重要な側面に生気を与えたこと
1994年 大江健三郎(日本)
詩趣に富む表現力を持ち 、現実と虚構が一体となった世界を創作して 、読者の心に揺さぶりをかけるように現代人の苦境を浮き彫りにしている
1995年 シェイマス・ヒーニー(アイルランド)
日々の奇跡と生き生きとした過去を称える、詩的な美しさと民族的な深みを持つ作品に対して
1996年 ヴィスワヴァ・シンボルスカ(波)
皮肉をはらんだ緻密な詩によって、人間のリアリティのフラグメントに光を当て、その歴史的、生物学的文脈を浮き彫りにした
1997年 ダリオ・フォ(伊)
中世的な道化や権威を風刺し、弱者の尊厳を庇護したこと
1998年 ジョゼ・サラマーゴ(ポルトガル)
想像、哀れみ、アイロニーを盛り込んだ寓話によって我々がとらえにくい現実を描いた
1999年 ギュンター・グラス(独)
遊戯と風刺に満ちた寓話的な作品によって、歴史の忘れられた側面を描き出した
2000年代
2000年 高行健(仏)
普遍的な正当性、痛烈な洞察力、言語的な独創性をもった作品によって、中国の小説や劇作に新たな道を開いたこと
2001年 V.S.ナイポール(英)
知覚的な文体と永続的な調査により仕上げられた作品によって、抑圧的な歴史の存在を直視させたこと
2002年 ケルテス・イムレ(ハンガリー)
人間が社会的圧力にますます服従している時代にあって、個人として生き、考え続ける可能性を追求した
2003年 J.M.クッツェー(南アフリカ)
アウトサイダーが巻き込まれていくさまを、無数の手法を用いながら意表をついた物語によって描いたこと
2004年 エルフリーデ・イェリネク(オーストリア)
その小説と劇作における音楽的な声と対声によって、社会の不条理と抑圧を並はずれた言葉への情熱を持って描き出した
2005年 ハロルド・ピンター(英)
劇作によって、日常の対話の中に潜在する危機を晒し出し、抑圧された密室に突破口を開いたこと
2006年 オルハン・パムク (トルコ)
故郷の街のメランコリックな魂を探求する中で、文明の衝突と混交との新たな象徴を見出した
2007年 ドレス・レッシング(英)
女性の経験を描く叙事詩人であり、懐疑と激情、予見力をもって、対立する文明を吟味した
2008年 ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ(仏)
新たな旅立ち、詩的な冒険、官能的悦楽の書き手となって、支配的な文明を超越した人間性とその裏側を探究した
2009年 ヘルタ・ミュラー(独)
凝縮した詩と率直な散文によって、収奪された人々の風景を描いた
2010年代
2010年 マリオ・バルガス・リョサ(ペルー)
権力構造の地図と、個人の抵抗と反抗、そしてその敗北を鮮烈なイメージで描いた
2011年 トーマス・トランストロンメル(スウェーデン)
稠密で透光性のあるイメージを通じて、読者に現実への斬新な道筋を与えたこと
2012年 莫言(中)
幻覚的なリアリズムによって民話、歴史、現代を融合させた
2013年 アリス・マンロー(カナダ)
現代短篇小説の名手として
2014年 パトリック・モディアノ(仏)
最も捉え難い人々の運命を召喚し、占領下の生活世界を明らかにした記憶の芸術に対して
2015年 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ(露)
我々の時代における苦難と勇気の記念碑と言える多声的な叙述に対して
2016年 ボブ・ディラン(米)
米国歌謡の伝統の中に新しい詩の表現を創造したこと
2017年 カズオ・イシグロ(英)
壮大な感情の力を持った小説を通し、世界と結びついているという、我々の幻想的感覚に隠された深淵を暴いた
2018年 オルガ・トカルチュク(ポーランド)
博学的な情熱によって、生き方としての越境を象徴する物語の想像力に対して
2019年 ペーター・ハントケ(オーストリア)
言語的な技巧を交えて、人間の経験の外縁と特異性を探究した、影響力のある諸作品に対して
2020年代
2020年 ルイーズ・グリュック(アメリカ)
厳粛な美によって個人の存在を普遍的なものとした、その紛う方無き詩的な声に対して。
2021年 アブドゥルラザク・グルナ(タンザニア)
2021年のノーベル文学賞が決定しました!
以上、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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