最近全く洋楽関連の記事を書いていないので、洋楽について。
新型コロナウイルスの影響で、身近に「死」を感じることが多くなったように思う。
身近な人が病に倒れ、死にゆく運命につくこともあるかもしれない。
そんなことを思いながら、The Verve(ザ・ヴァ―ヴ)の名曲The Drugs Don’t Work(ドラッグス・ドント・ワーク)を思い出した。
The Verve – The Drugs Don’t Work (Official Video)
イギリスの儚さと美しさ
まずは「The Drugs Don’t Work」という曲について説明する必要があるかもしれない。
この曲は、The Verveの3枚目のアルバムUrban Hymns(アーバン・ヒムス)からの2枚目の先行シングルとして、1997年9月1日ーーダイアナ妃が事故で亡くなった翌日ーーにリリースされた曲である。
そして、全英チャート1位を獲得した曲である。
なお、アメリカではシングルとして発売されていないためチャート入りしていないが、仮に発売されていても絶対に1位は取れなかっただろう。
(収録アルバムUrban Hymnsはアルバムチャートで全英最高1位、全米最高23位である。)
このアルバム、そしてこの曲は、非常にイギリス的な曲なのではないかと思う。
イギリスのロック(UKロック)は、島国の陰鬱さを持つと言われる。このアルバムは、その陰のある儚さと美しさを伝えている。
「アメリカ的」でなく「イギリス的」な音楽とは何たるかを知ることができるのはこの曲である。
この曲は「ドラッグソング」なのか
ややアルバム紹介に話が逸れた。
「ドラッグス・ドント・ワーク」という曲名を見て、「薬が効かない」という薬物中毒患者の歌かと思う方もいるかもしれない。
実際にこの曲を描いたボーカルのリチャード・アシュクロフトは薬物中毒だった時期があり、彼の再起を促すためにノエル・ギャラガーはCast No Shadowという曲を書いている。(「(What’s The Story) Moning Glory?」の8曲目)
Oasis – Cast No Shadow (Official Lyric Video)
ーーだが、この曲は、薬物中毒の歌ではない。
冒頭でも述べたように、病気に侵されてもう薬も効かないような、最愛の人に贈るラブソングなのである。
ラブソングというのはもちろん広義のラブソングで、両親・祖父母などの家族に向ける歌でもある。
ーーもう薬は効かない、むしろ薬はあなたの体を悪くするだけかもしれない。
だが、私はあなたの顔を何度でも見にこよう。ーー
愛する人の別れと、愛をここまで儚くも美しく歌った曲があるだろうか。
この曲より美しい曲に、私は未だに出会っていない。
▼収録アルバム「Urban Hymns」。イギリスの歴史上18番目に売れた名盤である。
▼アシュクロフトについてノエルギャラガーが書いた「Cast No Shadow」が収録されたOasisの「(What’s the Story)Moning Glory?」。こちらはイギリスの歴史上5番目に売れた超名盤である(2020年現在、出典)。
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